空耳ナレーション
- Tomizo Jinno
- 2016年4月1日
- 読了時間: 3分
更新日:3月31日

この度、とってもショッキングなことがありました。
先日、MA(映像に音声をつけるスタジオ作業)スタジオでナレーションの録音を行い、ミックスダウンを含め10分の映像の音つけ作業を目論見通りの時間で終えました。
で、自社に音声データを持ち帰り映像に貼りあわせる作業をしていると・・
ギョッ! ナレーションの読みが間違っているではないか!
具体的には「先ほど」が「先こど」、「後ほど」が「後こど」に聞こえるのだ。
「おかしい・・・」
スタジオではオペレーター、ディレクターはもちろん、クライント、代理店合わせて合計6人の人間が、何度も聞いて確認したはずなのだ。
映像ビジネス30年、こんな経験は初めて。
中でも僕は非常に細かいことに気付く性格で、この手の間違いには確実に気付いてきたはず。それがスタジオを出るまで気付かないとは・・・。
かなりのショックである。
「俺も耄碌したか・・・」
MAミキサーも
すぐさまMAスタジオの担当者に電話してチェックしてもらうと
「確かに『先こど』って言ってますね」
「僕もこういう経験は初めてです」
とのこと。
ディレクターも
さらに同じく音声データを持ち帰ったディレクターに電話してみると、すで聞いたようで
「びっくりしたんですけど、読み間違えています」と開口一番。
いやー、こんなことってあるのか?
リテイクの相談もあり、ナレーターの所属事務所に連絡してみると、
「(マイクを吹かないよう)破裂音を抑えようとして、そういうことが起こることがある」と教えてくれました。
ナレーターさんを責めるつもりは全くありません。やはり何がショックかと言ったら、この明らかに別な言葉に聞こえる音を見逃した(聞き逃した)自分です。
人の喋りというのは普通、ネイティブの言語に関しては文脈で予想しながら聞いているので、少々子音が聞き取れ無くても、母音とイントネーション、アクセントで意味を理解できてしまいます。翻って、人はあまり厳密に音声のひとつひとつを聞いているわけではないのです。むしろ予想した通りの音に聞いてしまう(聞きたい音に聞こえてしまう)傾向さえあります。
しかし、プロはそれではいかんでしょう。
この道のプロならば、これは気付かなければいけません。
ということで、今回は自戒の意味を込めて、こういうことがあった、ということを告白、記しておきます。
ちなみに、この録音の顛末はどうなったか?クライアントに連絡すると・・・
「え? 神野さん、考えすぎですよ〜。」
「ちゃんと『先ほど』に聞こえますって!」
「え、ほんと?」
でリテイクなし、と相成りました。
僕って気にしすぎ!?
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