動画・映像制作用語
【プラットフォーム】
platform
「プラットフォーム(Platform)」とは、何かを支える土台・基盤です。
日本の鉄道駅の「ホーム」は、このPlatformの略語ですが、現代のPlatformは、新しいビジネス分野の用語として頻繁に使用される言葉になっています。
1. IT・テクノロジー分野
特定の機能やサービスを提供するための基盤となる環境を指します。その上で、他のソフトウェアやサービス、アプリケーションなどが動作したり、開発されたりします。
OS (オペレーティングシステム)
Windows、macOS、Linux、Android、iOS などは、アプリケーションが動作するための基盤となるプラットフォームです。
ハードウェアプラットフォーム
特定のアーキテクチャを持つコンピュータやデバイス(例:Intel x86、ARM)も、ソフトウェアが動作する基盤となります。
ソフトウェアプラットフォームクラウドプラットフォーム
AWS、Google Cloud Platform、Microsoft Azure などは、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラストラクチャや、様々なサービスをクラウド上で提供し、アプリケーション開発や運用を支援するプラットフォームです。
アプリケーションプラットフォーム
特定の種類のアプリケーションを実行・開発するための環境(例:Java VM、.NET Framework)。
ソーシャルメディアプラットフォーム
Facebook、Twitter、Instagram などは、ユーザー同士の交流や情報発信の場を提供するプラットフォームです。
ECプラットフォーム
Amazon Marketplace、楽天市場、Shopify などは、オンラインでの商品販売を支援するプラットフォームです。
ゲームプラットフォーム
PlayStation、Nintendo Switch、Xbox などは、ゲームソフトが動作するハードウェアとソフトウェアの基盤です。
2. ビジネス分野におけるプラットフォーム
複数の異なるグループ(例:買い手と売り手、コンテンツクリエイターと視聴者)を結びつけ、相互に価値を提供するための仕組みを指します。
マッチングプラットフォーム
Uber(乗客とドライバー)、Airbnb(宿泊施設提供者と旅行者)
マーケットプレイス型プラットフォーム
Amazon Marketplace、メルカリ(売り手と買い手)
コンテンツプラットフォーム
YouTube、Spotify(クリエイターと視聴者)
3. その他の分野におけるプラットフォーム
政治
政党の綱領や政策を「プラットフォーム」と呼ぶことがあります。これは、支持を集めるための基盤となる考え方や目標を示すものです。
建築・土木
駅のホームや、作業を行うための足場などを「プラットフォーム」と呼びます。これは、文字通りの「土台」としての意味合いです。
【関連用語】
1. ネットワーク効果(Network Effect)
プラットフォームの価値は、その利用者の数が増えるほど向上するという現象です。より多くの買い手が集まるECプラットフォームは売り手にとって魅力的になり、より多くの売り手が集まることで買い手にとっても利便性が高まります。同様に、多くのユーザーが参加するSNSは、情報交換やコミュニケーションの場としての価値が増します。
ネットワーク効果は、プラットフォームビジネスの成長と競争優位性の源泉となります。先行して規模を拡大したプラットフォームは、さらなる利用者を惹きつけやすく、競合他社に対する参入障壁を築きやすい傾向があります。
2. エコシステム(Ecosystem)
プラットフォームを中心として、様々なパートナー企業、開発者、サービスプロバイダーなどが連携し、相互に価値を提供し合う生態系のような構造を指します。プラットフォーム提供者は、API(Application Programming Interface)などを公開し、外部の参加者が独自のアプリケーションやサービスを開発・提供できるようにすることで、エコシステムを形成・拡大します。
強力なエコシステムは、プラットフォームの提供する価値を多様化し、利用者の満足度を高めます。また、外部のイノベーションを取り込むことで、プラットフォーム自身の進化を加速させる効果もあります。
3. 両面性(Two-Sided Market / Multi-Sided Platform)
多くのプラットフォームは、性質の異なる複数の顧客グループ(例:買い手と売り手、広告主とコンテンツ提供者、ドライバーと乗客)を結びつけ、それぞれのニーズを満たすことで価値を創造します。これらの顧客グループは、プラットフォームを介して相互に影響を与え合います。
プラットフォーム事業者は、それぞれの顧客グループの規模や行動を考慮し、適切な価格設定や機能設計を行う必要があります。一方のグループへのインセンティブが、もう一方のグループの参加を促すといった、両面性ならではの戦略が重要になります。
4. API(Application Programming Interface)
ソフトウェアやアプリケーション間で情報をやり取りするための規約やインターフェースです。プラットフォーム提供者がAPIを公開することで、外部の開発者はプラットフォームの機能やデータを利用して、独自のアプリケーションやサービスを開発することができます。
APIは、プラットフォームのエコシステムを構築・拡大するための重要なツールです。APIを通じて、多様な外部サービスとの連携が可能になり、プラットフォームの機能拡張や新たな価値創造が促進されます。
5. ロックイン(Lock-in)
利用者が特定のプラットフォームやサービスに強く依存し、他のプラットフォームへの移行が困難になる状態を指します。これは、乗り換えコスト(時間、労力、データ移行の負担など)が高い場合に起こりやすくなります。
プラットフォーム事業者は、独自の機能やデータ、コミュニティなどを構築することで、利用者のロックインを図り、長期的な顧客関係を築こうとします。一方で、過度なロックインは利用者の不満を招き、競争を阻害する可能性もあります。現在、EUや日本において、公正な取引のための規制案の法制化が進められています。