動画・映像制作用語
【スタビライザー】
stabilizer
映像制作技術における「スタビライザー」という言葉は、いくつかの異なる場面で使用されますが、共通するのは「揺れを抑制」する機能であることです。
1. 映像編集ソフトの機能としてのスタビライザー
映像編集ソフトに搭載されているブレ補正機能を指します。撮影後の映像に対して適用し、手ブレなどを軽減して滑らかな映像にするためのものです。
この機能が非常に有効で、撮影時に「三脚がない!」という場合にも、高解像度でルーズ目に撮っておけば、スタビライズしてなんとか使えることがあることがあります。
どのように機能するのか?
トラッキング
ソフトウェアが映像の各フレームを分析し、特徴的な点(ピクセル)を追跡します。
動きの検出
フレーム間の追跡点の動きを比較することで、カメラの意図しない動き(揺れ、傾き、パンなど)を検出します。
補正
検出された動きとは逆方向の動きを映像に適用することで、ブレを打ち消します。具体的には、映像をわずかに移動、回転、拡大縮小させることで、画面の中心にあるべきものが常に中心に留まるように調整します。
クロップ
補正処理の過程で映像の端に空白が生じることがあります。そのため、わずかに映像をクロップ(切り取り)して、不自然な空白を隠す場合があります。
2. 撮影機材としてのスタビライザー (ジンバルなど)
カメラ本体に取り付けて使用する物理的な安定化装置を指します。モーターやカウンターウェイトなどを用いてカメラの揺れを吸収し、撮影時から安定した映像を記録することを目的としています。DJI RoninシリーズやZhiyun Craneシリーズなどが代表的です。
3. カメラ本体のスタビライザー
光学式手ブレ補正 (OIS: Optical Image Stabilization)
レンズ内の光学素子の一部、またはイメージセンサーそのものを、カメラの動きに合わせて物理的に動かすことで、光軸のずれを補正します。これにより、手ブレによる像のブレを直接的に打ち消します。
電子式手ブレ補正 (EIS: Electronic Image Stabilization)
撮影された映像の一部をクロップ(切り取り)、その切り取った範囲を動かすことで、あたかもカメラが安定しているかのように見せかけます。カメラ内のソフトウェア処理によって実現されます。

【関連用語】
映像編集ソフトに搭載されている主な映像補正機能
1. 基本的な補正
明るさ・コントラスト調整
彩度調整
ホワイトバランス調整
露出調整
ガンマ補正
シャープネス
ブラー(ぼかし)
2. 色調補正 (カラーコレクション/グレーディング)
HSL調整
カーブ
カラーホイール
LUT適用
セカンダリー
スコープ (ベクトルスコープ/ウェーブフォーム)
3. 歪み補正
レンズ補正
パース (パースペクティブ補正)
4. ノイズ除去
ノイズリダクション
5. その他
スタビライザー
フリッカー除去
オブジェクト除去
ローリングシャッター補正
ブリージング補正