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みなが川上で働きたいストレス社会

更新日:19 時間前

社会は「共同無責任」へ


ITサービスを提供している企業と、こちらが客として取引すると、最初の窓口担当は一人の営業さんだけど、ひとたび契約が成立すると、その後の対応はほとんどの場合、複数名のチームで対応されます。

ただし、チームと言っても、こちらからはチーム員が何名で、誰と誰と誰がメンバーなのか、個人名はわかりません。

豈図らんや、問い合わせをしてもちっとも回答が返ってきません。難題であればあるほど返ってきません。

ずいぶん前から、ビジネスではeメールに必ずチーム員や上司のC.C.が入っているのが普通になりましたが、あれはこうした状況のハシリだったんだなと思います。部員、課員のメールを全部チェックしていたら、上司はまったく仕事にりませんから、実際はチェックしていません。


「社会の川上」に暮らす人々のコミュニケーション行動


私的な人間関係におけるコミュニケーションを観察すると、その人の社会的立場が如実に表れることがあります。「先生」と呼ばれる職業の人々や、大企業に勤める多くの人々に共通して見られるのは、メールやSNSへの返信が遅い、あるいは自分から積極的にコミュニケーションを図ろうとしない傾向です。彼ら、いわゆる「社会の川上」に位置する人々は、このような無礼とも取れる対応をしても非難されることが少なく、それが当然であるかのように受け止められている節があります。



川上にいきたい人たちの増殖


IT企業の採用動画を撮影していると、転職後の感想としてよく聞く言葉があります。

「川上に来られてよかった」

たぶんコンピュータ情報システム関係の仕事の世界で言われ始めたと思いますが、大手から下請け、下請けと仕事が流れていく業界では、川下で働く者は川上から流れてくる無理難題に疲弊しているのだろうと思います。一方的に仕様書が送られてきて、問題点をみつけるのは下請け側の仕事で、その問題を川上に伝えても回答さえ寄越さない・・・というような。


この状況は情報システム業界だけでなく、建設や広告業界でも昔から有る構図ですから、ストレスの海は、今の社会に際限なく深く広がっているに違いありません。多くの人たちが川上に憧れてやまないこと、想像できます。



マネージメント=なんとかする


「マネジメント」日本語にすると「何とかする」。

あらゆるビジネスのプロジェクトがこの何とかする人がいるから、なんとか回っています。

長い長い川に、このなんとかする人、マネージメントする人がひとりしかいないなら、その川から獲れる生産量はたかが知れているでしょう。大勢のスタッフがいるのに、実際に働いているのは少数の人だけ。よくある話のようです。

みなが川上志向で「何とかするのは川下のやつ」と考えているのなら、日本のGDPも平均給料も伸びるはずがありません。



コミュニケーションのストレスを減らしたいという願い


それほどこの世の中は、ストレスが多い。ストレスの源は人と人のコミュニケーション。コミュニケーションは面倒臭いし、難しい。ひとつ間違えるとストレスを増幅するだけだから、できれば避けて通りたいのがコミュニケーション。

だから川上に行きたいと願うのも無理はありません。

川上からは、一方的に指示を投げつけても文句は返ってきませんから。


みんなで満遍なく働くしかない


ちゃんとコミュニケーションしませんか?

誰もが社会に生きる人間なのですから。

みなでストレスを公平に分担する。

そうすれば日本の物価も給料もGDPも上がるに違いありません。


ちなみ映像制作という仕事は、プロデューサーやディレクターが川上2番目(最上流はクライアント、時に更に代理店が間に入る)で「何とかする」仕事をしています。

ですから、この業界もプロデューサーやディレクターがボトルネックになって、総生産量には限界があるのが現実です。労働生産性が低い産業の典型です。


ところで、この業界にも時々川上に行きたいと一般企業(広告を発注する側)に転職する人がいますが、こういう人の仕事は請けないほうが得策です。

ストレスを溜め込む川下の住人

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