あてがき
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps
「あてがき」とは、脚本を書く際に特定の俳優を念頭に置いて、その人の個性や演技の特徴を深く理解した上でキャラクターや台詞を創造する脚本執筆手法です。
二つの側面を持つアプローチ
一つは、俳優の持つ自然な魅力や話し方、これまでのイメージを活かしてキャラクターを構築し、その俳優が最も輝ける役柄を提供します。
もう一つは、俳優の基本的な資質を理解しながらも、これまでとは異なる新しいキャラクター像を提示し、俳優の潜在的な可能性や未開拓の演技領域を引き出すことです。
創造的な相互作用
優れたあてがきは、脚本家が俳優の内面や演技の幅を深く洞察し、「この俳優ならこの役をどう表現するか」「この俳優の新たな一面をどう引き出せるか」を考えながら執筆します。結果として、俳優にとって演じやすく、かつ新たな挑戦となる役柄が生まれ、観客にも予想を超える演技体験を提供できます。
効果と特徴
俳優の魅力を最大化しつつ作品全体のクオリティを高め、時には俳優のキャリアの転換点となるような役柄を創出する、日本の演劇・ドラマ業界でよく用いられる脚本技法です。いずれの場合も、そのドラマ作品の完成度を上げることが最終的な目的です。

【関連情報】
シナリオ作成技法について用いられる様々な用語
構成・構造に関する用語
三幕構成
序破急の流れで物語を組み立てる基本構造
起承転結
日本的な四段階構成です。
プロットポイント
物語の転換点
クライマックス
最高潮の場面を指します。
キャラクター創造の技法
キャラクターアーク
キャラクターの変化の軌跡
フォイル
主人公と対比される人物設定
アンサンブル
複数の主要キャラクターが絡み合う群像劇の手法です。
台詞・演出技法
サブテキスト
台詞の裏にある真意
モノローグ
独白
ヴォイスオーバー
ナレーション的な語り
フラッシュバック
過去の回想
フラッシュフォワード
未来の先取りを表現する技法
日本特有の技法
間(ま)
沈黙や空白の効果的な使用
引き
次への興味を持続させる終わり方
溜め
感情や緊張を蓄積させる演出
現代的な技法
メタフィクション
作品内で創作性を意識させる手法
ノンリニア
時系列を意図的に崩した構成