動画・映像制作用語
【実景】
jikkei
実景とは、ドラマや映画のシーンの中で、出演者以外の場所や風景を指します。具体的には、街並み、自然風景、室内など、物語の舞台となる背景となる部分です。実景は、物語の世界観を表現し、視聴者にリアリティを与える上で重要な役割を果たします。
1. 実景の役割
世界観の構築
作品の時代背景、地域、雰囲気などを視聴者に伝える重要な要素です。例えば、古都の街並みは歴史ドラマ、近代的な高層ビルはSF映画といったように、物語の世界観を視覚的に表現します。
リアリティの演出
実在の場所を撮影することで、作品にリアリティを与え、視聴者を物語の世界に引き込むことができます。
物語の進行を助ける
実景は、物語の進行に合わせて変化したり、新たな情報を提供したりすることで、物語を推進させる役割も担います。
2. 実景撮影の注意点
時間帯
時間帯によって、同じ場所でも全く異なる雰囲気になります。
天候
天候は、作品の雰囲気を大きく左右します。
季節
季節によって、植物の生長や建物の様子が変化するため、物語の季節に合った場所を選ぶ必要があります。
構図
実景をどのように画面に収めるか、構図も重要な要素です。
近年インカメラVFXなどの技術の進化によって、役者抜きの実景の価値も上がっています。より美しく、ダイナミックで、制作する映像の目的に合致した実景ロケーションの探索が重要になってきています。
【関連用語】
1. ロケーションハンティング
実景撮影のための撮影場所を探す作業です。脚本やイメージに合った場所を探し、撮影の許可取得や実現可能性の確認を行います。考慮すべき要素として、場所の雰囲気、日照条件、音環境、電源確保、駐車スペース、待機場所、トイレなどの設備面、地域住民への配慮などがあります。また、季節や時間帯による景観の変化、天候による影響、交通アクセスなども重要な検討項目です。現地での詳細な写真撮影や測量も行い、撮影計画の基礎資料を作成します。
2. アンビエントサウンド
実景撮影地の自然な環境音のことです。鳥の声、風の音、波の音、街の喧騒など、その場所特有の音響環境を指します。後の音声編集で必要となるため、撮影時に別途収録することも多くあります。また、撮影時の不要な環境音(航空機、工事音など)を避けるための時間帯設定も重要です。実景の臨場感を高めるために、これらの環境音を効果的に活用することが求められます。
3. スカウティング
実景撮影前の下見作業です。監督、撮影監督、美術監督などの主要スタッフが現地を確認し、具体的な撮影プランを立てます。カメラポジション、照明の配置、セットの追加、美術的な調整点などを検討します。また、日の出・日の入りの時間やその方向、天候による影響なども確認します。この段階で必要な許可申請や地域との調整事項も明確にし、本番に向けての準備を進めます。