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3D映像

「3D映像」とは、人間の両眼視差の仕組みを利用し、左右の目にわずかに異なる2つの映像を見せることで、平面的なスクリーン上に奥行き(立体感)を知覚させる技術です。

奥行き感は、両眼の視線が交差する位置(輻輳)や左右の網膜像のズレ(視差)を脳が統合処理することで生じます。一般に、視聴者が不快感なく立体感を享受できるよう、左右映像の垂直方向のズレや時間のズレがないことが重要とされます。



制作方法:撮影方式と3DCG


3D映像の制作方法には、主に実写によるステレオ撮影と、コンピューターで生成する3DCGの二つの方式があります。


1. 実写によるステレオ撮影


人間の両眼と同様に、視差を持った左右の映像を同時に記録する方法です。

  • 二眼式カメラ(ステレオカメラ): 左右2つのレンズとセンサーが一体となった専用カメラを用います。レンズの間隔(基線長)は、人間の目と近い60~70mm程度が一般的です。

  • 二台のカメラを使用したリグ撮影: 2台の一般的なカメラを専用のリグに設置し、厳密に同期させて撮影します。


2. 3DCGによる制作


Maya、Blenderなどの3DCGソフトウェアで、仮想空間内にモデルを作成し、左右2つの仮想カメラを設定してレンダリングすることで、立体映像を出力します。実写と異なり、完全に正確な視差量を自由に設定・制御できるため、破綻のない立体感を容易に作れるのが最大の利点です。

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編集方法と注意点


3D映像の編集は、左右の映像を精密に調整し、視聴者が快適に感じる立体感を追求する工程です。

  1. 同期と位置合わせ: 左右の映像の時間的ズレと、カメラ設置時のわずかな垂直方向のズレ(上下ズレ)を完全に一致させます。この上下のズレは強い不快感を引き起こすため、最も重要な調整点です。

  2. 視差調整(デプス編集): 左右の映像の水平方向のズレを調整し、飛び出し感や奥行き感をコントロールします。画面の基準面(ゼロ視差)をどこに設定し、どの程度立体感を出すかをカットごとに設計します。

  3. ジオメトリー補正: トーイン撮影で発生した台形歪みなどを補正し、映像の整合性を取ります。

  4. フォーマットへの変換: 左右の映像を、視聴環境に合わせたサイドバイサイド、トップアンドボトム、アナグリフなどのフォーマットに変換し書き出します。

制作上の注意点として、カットが切り替わる際に視差量が急激に変化しないよう、緩やかに繋ぐことが重要です。また、飛び出しすぎた被写体が画面枠で途切れると窓の違和感(ウィンドウ・バイオレーション)が生じ、不快感の原因となるため、飛び出し量を適切に制御することが求められます。



視聴方法:立体感を再現する主な表示方式


3D映像の視聴方式は、専用メガネを必要とするメガネ式と、メガネを必要としない裸眼式に大別されます。


メガネ式(高画質・広視野角)

メガネ式は、専用メガネを装着することで左右の映像を分離し、それぞれの目に異なる映像を届けます。


アクティブシャッター方式

左右の映像を高速で交互に表示し、メガネの液晶シャッターを同期させて開閉させることで、左右の目にフル解像度の映像を送ります。高画質ですが、メガネに電源が必要で、ちらつきを感じる場合があります。


パッシブ偏光方式

左右の映像を縦のライン(行)ごとに交互に並べて表示し、メガネの偏光フィルターで映像を振り分けます。メガネは軽量で安価ですが、映像の解像度が縦方向に半分になります。多くの3D映画館(RealD方式など)で採用されています。


アナグリフ方式

赤色と青色(シアン)などの補色フィルターを通して映像を重ね、同じ色のメガネで分離するもので、手軽ですが、色が失われ画質が大幅に低下します。



裸眼式(利便性重視)


裸眼式は、メガネなしで立体視を実現しますが、視聴できる位置が限定されます。


パララックスバリア方式

ディスプレイ前面に細いスリット状の遮光膜(視差バリア)を配置し、光の進行方向を制御して左右の目に異なる映像を届けます。携帯ゲーム機などで採用されていました。


レンチキュラーレンズ方式

ディスプレイ前面のレンズが光を曲げることで、複数の視点(マルチビュー)の映像を異なる角度に発信します。近年は、視聴者の目の位置に合わせて映像を動的に制御する視線認識型の裸眼3Dディスプレイも開発されています。

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