動画・映像制作用語
【タイムストレッチ】
timestretching
「タイムストレッチ」とは、音声や音楽などのオーディオ素材のピッチ(音程)を変えずに、再生時間やテンポ(速さ)を変更する機能のことです。
タイムストレッチの機能は、映像にも適用できますが、オーディオのタイムストレッチは音程を維持したまま再生時間を変更するのに対し、映像のタイムストレッチは視覚的な要素(動きの速さ)を変更します。ただし、映像に付随する音声も同時にタイムストレッチされることが一般的です。そのため、映像の速度を変更する際には、音声のピッチやテンポが不自然にならないように調整が必要となる場合があります。
音声のタイムストレッチの仕組み
タイムストレッチの技術は複雑で、様々なアルゴリズムが存在します。基本的な考え方としては、オーディオ信号を細かく分割し、それぞれの断片を時間軸上で適切に配置し直すことで、全体の長さを変更します。この際、元の音程を維持するために、様々な信号処理技術が用いられます。
注意点
タイムストレッチの処理を行うと、音質が劣化する可能性があります。特に、極端なストレッチやコンプレッションを行うと、不自然な音になったり、ノイズが発生したりすることがあります。高性能なソフトウェアやアルゴリズムを使用することで、音質の劣化を最小限に抑えることができます。
現代のDAW(Digital Audio Workstation:音楽制作ソフト)や音声編集ソフトには、高性能なタイムストレッチ機能が搭載されていることが一般的です。
映像のタイムストレッチ
多くの主要な映像編集ソフトウェア(Adobe Premiere Pro、Final Cut Pro、DaVinci Resolveなど)には、高度な映像タイムストレッチ機能が搭載されています。これらのソフトウェアでは、単に再生速度を変更するだけでなく、フレーム補間などの技術を用いて、より自然で滑らかなスローモーションや早送り効果を実現できます。
タイムストレッチ機能が搭載されている映像編集ソフト
Adobe Premiere Pro
Final Cut Pro
DaVinci Resolve
Avid Media Composer
Adobe Premiere Elements
CyberLink PowerDirector
VEGAS Pro (旧 Sony Vegas Pro)
Filmora (Wondershare)
DaVinci Resolve (Studio版ではない無料版)
OpenShot Video Edito
Shotcut

【関連用語】
1. タイムリマップ
音声や映像の時間軸を非線形に伸縮させる機能。特定の部分だけ速度を上げ下げしたり、逆再生したりと、自由度の高い時間操作が可能。音楽制作では、独特のリズムや効果、映像編集ではスローモーションや早送りなどの特殊効果に用いられる。
2. ピッチシフター
音声や楽器の音程(ピッチ)を上下に変化させる機能。音の高さは変わるが、再生時間は維持される。音楽制作では、ハーモニーの作成、特殊効果、声質の変化などに使用。ライブパフォーマンスのエフェクターとしても活用される。
3. フォルマントシフト
音色の特性を決定づけるフォルマント(周波数成分の強調)を変化させる機能。ピッチを変えずに声質や楽器の音色を変化させることが可能。声の性別を変えたり、楽器のキャラクターを強調したりする際に用いられる。
4. オートチューン
ボーカルなどの音程を自動的に修正するプラグイン。本来の音程から外れた部分を補正し、正確なピッチに近づける。音楽制作において、ボーカルのピッチ補正や、意図的に機械的な効果を出すために使用される。
5. メロダイン
音程、リズム、音量、フォルマントなどをグラフィカルに編集できる高度なオーディオ編集ソフト。オートチューンよりも細かく、手動で音程を修正したり、フレーズのタイミングを調整したり、音色を変化させたりすることが可能。プロの音楽制作現場で広く使われる。