動画・映像制作用語
【カフ】
cough
「カフ」とは、一般的に出演者自身で操作するマイクのON/OFFスイッチのことです。
この「カフ」は英語のcough=咳のことで、つまり番組中に咳払いやくしゃみなど、放送に不要な音が入るのを防ぐために、出演者が手元でマイクをOFFにできる装置です。手元と言っても、マイク自体についているスイッチではなく、大概は喋りながら手が届く距離のテーブルの上にあります。
他にもオンエア中、出演者同士がリスナーに聞かせたくない会話をする際や、アナウンサーがCMや曲明けのタイミングで、自分のマイクをONにするなど、番組進行に合わせて操作します。
主にラジオ放送のスタジオで使われますが、テレビ放送でも使っている場合があります。私たちが利用するMAスタジオのアナブースにもあります。
カフ(スイッチ)の定番は、フェーダーのようなレバーになっているタイプですが、これはボリュームを制御しているわけではなく、いっぱいまで動かしたところでON/OFFになります。音量調整は調整室のミキサーが行っています。
カフをOFFにすると、アナブースのマイクは音を拾わないため、OFFの間は次の原稿の確認や、ゲストとの打ち合わせなどをすることができます。調整卓に座るミキサーさんは、いちいちフェーダーを操作する必要がないため、他の音源の操作に集中できます。実際、アナウンサーや出演者の話の終わりや、始まりを確実に察知することは、非常に神経を使うもので、ときにタイミングを誤ることもありますので、このカフは大変大切なものです。

【関連用語】
1. フェーダー (Fader)
音響ミキサー(コンソール)に備わっている、音量レベルを調整するための操作子です。スライド式や回転式のものがあり、各マイクや音源の音量を上げ下げしたり、消音(ミュート)したりするために使用されます。放送中、出演者の声量バランスやBGMの音量などをリアルタイムで調整するのに不可欠です。
2. TBスイッチ (TalkBack switch)
放送スタジオと調整室の間で、音声による連絡を取るためのスイッチです。アナウンサーや出演者がこのスイッチを押しながら話すことで、その声がサブのディレクターやミキサーに聞こえます。生放送中、指示や確認事項などをスムーズに伝達するために使用されます。
3. アクセント辞典
日本語の単語の発音におけるアクセント(高低)を示す辞典です。放送では正確な発音が求められるため、アナウンサーや出演者が発音に迷った際に参照します。声を録音、放送するスタジオにはほぼ必ず1冊は備えられています。
4. 龍角散 (りゅうかくさん)
日本の伝統的な喉の薬です。粉末状で、喉の痛みや炎症、声がれなどに効果があります。生放送で声を酷使するアナウンサーや出演者にとって、喉のケアは非常に重要であり、常備薬としてスタジオに置かれていることがあります。
5. 金魚鉢 (きんぎょばち)
音声専門のスタジオのアナウンサーブース(アナブース)は、一般に非常に狭く、高度な防音性のために外部から遮断された環境で、調整室と隔てる壁に小さく分厚いガラスが嵌っているだけです。そのため、このアナブースがまるで「金魚鉢」のようであることから、自虐的にこう呼ばれることがあります。