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映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。

シズル

食品の美味しそうな様子を視覚的に表現することを指します。まるで、料理の香りが鼻をくすぐるような、食欲を刺激する映像表現です。これが転じて様々な場面の生々しさを映している映像を「シズル感がある」ということもあります。

シズルを解説するイメージ(監修・神野富三)

よくあるシズル表現



クローズアップ

食品の断面、盛り付け、食材の質感などをクローズアップで撮影することで、細部まで表現し、リアルな美味しさを伝えます。


スローモーション

食品が調理される様子や、口に運ぶ瞬間をスローモーションで撮影することで、時間の流れをゆっくりと見せ、視覚的なインパクトを与えます。


マクロ撮影

食品の表面の細かな凹凸や水滴などを、肉眼では見えないほどのクローズアップで撮影することで、質感や立体感を際立たせます。


照明

食品の色や光沢を最大限に引き出すための照明テクニックが重要です。


食材を切る音、揚げる音、飲み物を注ぐ音など、聴覚的な要素もシズル感を高める上で欠かせません。




よくあるシズルの目的



食欲の刺激

食欲をそそることで、商品の魅力をアピールし、購買意欲を高めます。


ブランドイメージの向上

高品質な食材や丁寧な調理工程を視覚的に表現することで、ブランドイメージ向上に繋がります。


商品の差別化

競合他社との差別化を図り、自社の商品を記憶に残るものにします。




よくあるシズル場面



テレビCM

食品や飲料のCMで最もよく見られる表現手法です。


料理番組

料理の過程を魅力的に見せるために、シズル感が求められます。


ウェブサイトやSNS

食品の販売促進のために、シズル感のある画像や動画が活用されます。

TomizoJInno.jpeg

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。

映像制作会社としての視点


シズル感の危機とその背景


「広告臭さ」の忌避

現代の消費者は、過剰に演出された「いかにも広告らしい」表現を避ける傾向があります。SNSで自然なコンテンツに慣れているため、作り込まれたシズル感が不自然に映り、共感を得にくくなっています。


デジタルコンテンツの特性

デジタル広告は短尺化が進み、スキップ機能も一般的です。そのため、じっくりシズル感を味わう間もなく、瞬間的なインパクトが求められるようになりました。膨大な情報の中で埋もれないためには、単なる美味しさ以上の要素が必要です。


AI生成技術の台頭

AIが短時間で大量かつ高品質な画像を生成できるようになり、シズル感のある表現が容易になりました。これにより、画一的なシズル表現が市場に氾濫し、差別化が難しく、飽きられやすくなっています。AI生成物への「本物らしさ」の欠如も影響するかもしれません。


多様な価値観と共感の重視

今日の消費者は、商品の美味しさだけでなく、サステナビリティ、製造背景のストーリー、企業の姿勢など、より多角的な情報を重視します。単に食欲を刺激するだけでなく、商品の背景にある物語や共感できる要素を伝える広告が求められるようになっています。


これらの複合的な要因により、広告におけるシズル感の役割や表現方法は大きな転換期を迎えています。今後は、いかに自然で信頼性の高い形で、消費者の心に響く「本物」の感情や体験を伝えるかが課題です。

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