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動画時代の学びと表現 - 思考力を守る言葉の重要性

更新日:10月7日


1. なぜ言葉が思考のOSなのか


現代社会では、映像や動画コンテンツが学習や情報発信の中心になっています。しかし、人間が高度な思考や社会活動を行えるのは、言葉という思考の枠組みを持つからです。言葉は、目や耳から入る情報を整理し、抽象化し、他者と共有するための認知の基盤として機能します。

動物も学習や判断を行いますが、思考は具体的な感覚や行動に直結したレベルに留まります。人間は言葉によって、過去・未来・仮定・抽象的概念を扱うことができるのです。つまり、言葉なしでは現代社会のような複雑なコミュニケーションや意思決定は困難です。



2. 動画のメリットと課題


動画は直感的で理解しやすく、感情にも訴える力があります。企業の教育やPRにも欠かせないツールです。しかし一方で、動画には次のような課題もあります。


受動的な情報取得になりやすい

流れる映像や音声をただ受け取るだけで、能動的な言語思考(分析・抽象化・批判)が不足する


理解が感覚レベルで止まりやすい

「わかった気になっているだけ」で、情報を自分の言葉で再構築できないことがある


解釈の統一が必要な場合、内容を単純化しすぎる傾向

誰が見ても同じ意味になるように演出すると、複雑な概念を伝えにくくなる


つまり、動画だけでは思考の深さや抽象化力を十分に育てることが難しいのです。



3. 言葉による思考の統合が不可欠


社会の課題や人間関係、ビジネスの意思決定は、単純な事象の組み合わせでは成り立ちません。複雑な情報を統合し、意味を理解するには言葉による思考が欠かせません。

動画や映像は、理解の「入口」として有効ですが、最終的に情報を整理し、概念や因果関係を把握するのは人間の言語思考です。言葉は単なるツールではなく、思考の枠組みであり、企業や教育現場でも習熟が不可欠です。



4. 映像制作会社としての提案


企業や教育現場で動画コンテンツを活用する場合、次の点を意識すると効果的です。


  1. 動画+文章・言葉の組み合わせ

映像で直感的理解を促し、文章やナレーションで抽象化・統合を補完する


  1. 視聴者に考える余地を残す演出

一方的な情報提供ではなく、問いかけや事例提示で能動的思考を誘導する


  1. 複雑な概念は段階的に提示

一度に全てを伝えず、動画でイメージをつかんだ後、言葉で整理・理解させる


こうすることで、動画の利便性を活かしつつ、思考力・言語理解力の低下を防ぐことができます。



5. まとめ

  • 言葉は人間の思考を支える「認知の枠組み」であり、動画だけでは代替できない

  • 動画は理解の入り口として有効だが、能動的な思考を誘導する設計が必要

  • 映像制作会社は「動画+言葉」の統合的コンテンツを提供することで、企業や教育の効果を最大化できる


言葉と映像を適切に組み合わせることは、現代社会での情報理解と意思決定を支える重要な戦略です。


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【執筆者プロフィール】

株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。

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