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階調

画像の明るさや色の変化をどれだけ細かく表現できるかを示す概念です。映像技術では、階調を高くすることで、よりリアルで美しい映像を表現できます。例えば、HDR(ハイダイナミックレンジ)技術は、階調を大幅に向上させることで、明暗差の大きいシーンでも、細部まで鮮明に表現できます。

1. 明るさの段階

画像の中で最も明るい部分から最も暗い部分まで、明るさの段階をどれだけ滑らかに表現できるかを表します。


2. 色の段階

色の濃さや鮮やかさの変化をどれだけ細かく表現できるかを表します。



3. 階調の重要性

階調が高いほど、画像はより自然で豊かな表現になります。階調が低いと、明るさや色の変化が階段状になり、不自然な印象を与えます。




階調の種類



明度階調

明るさの段階数


色階調

色の濃さや鮮やかさの段階数



階調の表現方法


階調は、ビット数で表現されます。例えば、8ビット階調では256段階の明るさや色を表現できます。ビット数が大きいほど、より多くの段階を表現でき、階調は高くなります。

映像制作会社としての視点


「階調」の問題は制作者の手を離れたところで起こる場合があります。視聴環境やデバイスの性能差の問題です。編集スタジオやMAスタジオで観た映像と、見え方がまったく違うということが起こりますので、あらかじめその映像の使用環境を念頭においた設定が必要です。


1. デバイスのパネル性能による「黒潰れ」と「白飛び」

視聴者が「最新のiPhone(有機EL)」で見ているか、「古いオフィスの安価な液晶モニター」で見ているかで、階調の表現幅(ダイナミックレンジ)は劇的に変わります。


  • 問題点: 制作モニターでは綺麗に見えていた「暗いグレーのスーツの質感」や「夜景のディテール」が、性能の低いモニターではただの真っ黒(黒潰れ)として表示されます。

  • ビジネスへの影響: 例えば、高級車の内装を紹介する映像で、革の質感が潰れて「ただの黒い塊」に見えてしまえば、製品の魅力は全く伝わりません。


2. 屋外や明るいオフィスでの「視認性低下」

外光が画面に映り込むような明るい環境では、人間の目は「微妙な階調の差」を認識できなくなります。


  • 問題点: 淡い色使いや、繊細なグラデーションを多用した「洗練されたデザイン」の映像は、明るい場所で見ると「何も映っていない(または白飛びしている)」ように見えてしまいます。

  • ビジネスへの影響: 展示会会場の明るいブースや、移動中のタクシーサイネージなどで流す映像の場合、階調を重視しすぎた「繊細な表現」は、情報を一切伝えない「無」の映像になってしまうリスクがあります。


3. スマホの「自動輝度補正」による階調の強制変化

スマートフォンの多くは、周囲の明るさに合わせて画面の輝度やコントラストを自動で調整します。


  • 問題点: デバイス側が勝手にコントラストを強めることで、制作者が意図した滑らかな階調が強制的に派手な(階調の乏しい)絵に変換されてしまいます。

  • ビジネスへの影響: 化粧品やアパレルなど「色の正確さ」がブランド価値に直結する業界では、デバイス側の補正によって「本来の色や質感」と異なるイメージが定着してしまう懸念があります。


ビジネス映像としての「階調」の着地点

視聴環境を制御できないビジネス映像においては、「最高の階調を追求する」ことよりも、「どんなに最悪な視聴環境でも、情報が破綻しない階調設計にする」ことが実務上の正解になります。


  • 安全策: 重要な情報は、階調に頼らず「コントラスト(明暗差)」をはっきりさせて配置する。

  • 確認工程: 制作モニターだけでなく、あえて「安価なPCモニター」や「外光の入るスマホ」でチェックし、意図した情報が消えていないかを確認する。

Tomizo JIinno

執筆者・神野富三
株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー

​大学時代のラジオ番組の構成演出に始まり、映像ディレクター・プロデューサーとして、40年以上の業界経験を基に映像業界に関する知見を発信しています。

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階調を解説するイメージ(監修・神野富三)

​関連用語など

1.  ビット深度

  • 階調数を表す単位で、1つのピクセルが持つ色情報の量を示します。

  • ビット深度が高いほど、より多くの色を表現でき、階調も豊かになります。

  • 例えば、8ビット深度では2の8乗=256色、10ビット深度では2の10乗=1024色を表現できます。

  • 近年では、10ビットや12ビットのビット深度を持つカメラやディスプレイが登場しており、より豊かな階調表現が可能になっています。



2. ダイナミックレンジ

  • 画像や映像の中で、最も明るい部分と最も暗い部分の輝度差のことです。

  • ダイナミックレンジが広いほど、明暗差の大きいシーンでも、白飛びや黒つぶれを抑えて、豊かな階調を表現できます。

  • 例えば、太陽光が差し込む室内など、明暗差が大きいシーンでも、ダイナミックレンジが広いカメラで撮影すれば、明るい部分から暗い部分まで、階調豊かに表現できます。

  • HDR(ハイダイナミックレンジ)技術は、ダイナミックレンジを大幅に向上させることで、よりリアルな映像表現を可能にします。



3. トーンカーブ

  • 画像の明暗を調整するためのグラフです。

  • トーンカーブの横軸は入力階調、縦軸は出力階調を表します。

  • トーンカーブを操作することで、特定の階調範囲の明るさを調整したり、コントラストを強調したりすることができます。

  • 例えば、明るい部分をより明るく、暗い部分をより暗くすることで、コントラストを強調することができます。

  • トーンカーブは、画像編集ソフトなどで、細かく調整することができます。



4. ガンマ値

  • 画像の明るさを調整するためのパラメータです。

  • ガンマ値を調整することで、中間階調の明るさを変更し、画像の印象を変えることができます。

  • ガンマ値が高いほど、中間階調が明るくなり、全体的に明るい印象になります。

  • ガンマ値が低いほど、中間階調が暗くなり、全体的に暗い印象になります。

  • ガンマ値は、ディスプレイやカメラの設定などで調整することができます。



5. ディザリング

  • 階調数が少ない環境で、より多くの色を表現するために、複数のピクセルを組み合わせて擬似的に中間色を表現する技術です。

  • 例えば、256色しか表現できない環境でも、ディザリング処理を行うことで、より多くの色を表現することができます。

  • ディザリングには、様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。

  • ディザリングは、デジタルカメラやプリンターなどで、広く利用されています。

これらの用語を理解することで、階調の表現方法や、画像・映像の品質を向上させるための技術について、より深く理解することができます。

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