企業PR映像制作が「企業小説」と似たアプローチをとる理由
- Tomizo Jinno

- 7月23日
- 読了時間: 4分
更新日:10月23日
企業の魅力を伝える手法として「企業小説」があります。もし外部の作家に依頼するなら、あなたはどのようなプロセスを想像するでしょうか。
まず、膨大な資料提供と詳細な説明が必要になるはずです。経営理念、事業の変遷、現場の実情、業界の課題——作家が企業の本質を理解できるよう、時間をかけて情報共有を行うでしょう。
作家は事実を正確に把握した上で、読者の心を動かすフィクションの要素を織り交ぜます。この「事実に基づいた創造」こそが、説得力のある企業小説の条件です。
たとえフィクション要素が含まれていても、業界関係者が読んで「これは的確だ」と感じる内容でなければ、企業PRとしての価値はありません。業界常識を無視した描写は、かえって企業の信頼を損なう結果を招きます。
実は、企業PR映像制作でも全く同じことが言えます
映像制作においても、この原則は変わりません。
「広告映像はすべて事実でなければならない」と考える方もいますが、複雑な仕組みや機能を説明する際、比喩やストーリーといったフィクションの手法を用いることで、視聴者の理解を大きく促進できます。B2B向けの広告映像でも、ドキュメンタリー的手法とドラマ仕立ての手法、どちらも有効な表現手段です。
ただし、どのような表現手法を選ぶにせよ、制作者が「事実をすべて知っている」ことが大前提です。
優れた企業小説を書くために作家が必要とする情報と同じように、映像制作者にも深い理解が不可欠です。具体的には、以下の要素について把握する必要があります。
事実の正確な把握 - 企業の実態、業界の現状
課題の本質的理解 - 解決すべき問題の構造
社会的立場の認識 - 業界内での位置づけ、役割
未来への方向性 - 企業のビジョン、戦略
制作目的の明確化 - 何を、誰に、どう伝えるか
最適な手段の選択 - 表現方法、アプローチ
「自動車会社ならこのパターン」「流通業ならこの手法」といった画一的なアプローチは存在しません。それぞれの企業が持つ独自の価値、課題、目標に応じたオーダーメイドの表現が求められます。
もし制作者が「どんな業界でも同じ作り方で対応できる」と考えているなら、それは顧客企業を軽視している証拠です。このような姿勢を「高を括る」と言いますが、真剣に企業PRに取り組む姿勢とは正反対のものです。
「とりあえず見積もりを」という依頼が危険な理由
詳細な情報交換なしに見積もりを求めることは、「高を括った対応で構いません」と言っているようなものです。
あなたの事業は、深く考えなくても誰にでも理解できる単純なビジネスでしょうか。おそらく、そうではないはずです。
だからこそ、面倒に感じられても、まずは詳細な情報共有から始めていただきたいのです。口頭での説明で構いません。企業の実情、課題、目標、制作の目的などを、ぜひお聞かせください。
制作者の想像力を引き出すために
私たち映像制作者は、クライアントとの対話を通じて「想像力」を働かせます。まだ頭の中で整理しきれていない構想でも、全く問題ありません。
お客様の思考を整理し、映像として表現可能な形に構築することこそ、私たち映像制作者の専門性です。この工程なしに、説得力のある映像シナリオは生まれません。
優れた企業PR映像は、制作者とクライアントの深い相互理解から生まれます。あなたの事業の価値を最大限に引き出す映像を作るために、まずは詳しくお話を聞かせてください。
どのような些細なことでも、私たちにとっては貴重な手がかりです。ぜひ一度、名古屋での映像制作は私たちにお任せください。
(2025年10月23日改稿)

【関連記事】
【執筆者】
本記事はこれまでにJR東海、トヨタ自動車、NTT西日本、ブラザーグループなど、名古屋を中心とした地域の幅広い業界の、企業課題をテーマとしたBtoB映像をシナリオから撮影、編集、録音まで一貫して制作してきた、映像制作会社 株式会社SynApps代表が執筆しました。




コメント