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映像制作業界で今、起こっていること

更新日:10月9日

スマホ時代の映像制作


21世紀初頭まで、映像を作るには、高価な機材とプロの技術が必要でした。テレビCMや企業のPR動画は、数百万円から数千万円かかることも珍しくありませんでした。

ところが今は、YouTuberや個人クリエイターが、手頃な機材でPR動画をどんどん作っています。誰でも映像を作れる時代になりました。すでに「今更言うな!」と言われることです。



「安すぎる」動画編集の仕事


インターネット上には、動画編集の仕事がたくさん募集されています。しかし、その報酬を見ると驚きます。


1日働いて5,000円〜10,000円


これは、コンビニやファストフード店でアルバイトするより安い金額です。



本当に「誰でもできる仕事」?


こうした仕事の中身を見ると、長回しした撮影素材の要らないところを削除して、テロップを入れるだけというので、この価格で仕方がないかな、とは思います。ソフトの使い方を覚えれば誰でもできます。将来はAIが自動でやってくれるかもしれません。ただし時間だけは掛かるので大変な作業ではあります。


正直に言うと私たちがまる1日編集をしたら、10万円は軽く超えます。もちろん出来上がりは相応に違うはずです。その違いに価値を置かない仕事だからこそ、1日5,000円なのでしょう。



プロの映像制作は技術だけではない


  • 見る人の心を動かすストーリーを考える力

  • 何をどう撮れば伝わるか判断する演出力

  • 限られた時間で最大の効果を生む構成力


これらは、機械には真似できない「人間の創造性」です。



「動画」と「映像」という言葉の使い分け


映像業界の人たちは、意図的に言葉を使い分けることがあります。

  • 「動画」 = YouTubeやSNS用の、比較的シンプルなコンテンツ

  • 「映像」 = 企画・演出・撮影・編集すべてにこだわった作品


この使い分けには、「安易な低価格化に流されたくない」という、プロとしてのプライドが込められているのかもしれません。



これからどうなる?


今は過渡期です。二つの可能性があります:


楽観的シナリオ: 個人クリエイターたちが技術を磨き、短い動画でも深い表現ができるようになる。プロの技術と個人の自由さが融合した、新しい表現が生まれる。


懸念されるシナリオ: 「とにかく安く、速く」という流れが加速し、クリエイティブな仕事の価値がどんどん下がっていく。有能な人材が映像業界に入ってこない。



この話が私たちに投げかけるもの


これは映像業界だけの問題ではありません。


「AI+デジタル時代に、創造的な仕事の価値をどう守るか」


ライター、デザイナー、イラストレーター、音楽家...多くのクリエイターが同じ課題に直面しています。

便利で安いサービスを求める消費者と、創造的な価値を守りたいクリエイターたち。この両者のバランスをどう取るのか。

それが、デジタル+AI社会における大きな問いです。


「僕らは映像制作はできないですから」
「僕らは映像制作はできないですから」

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【執筆者プロフィール】

株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。

株式会社SynApps 会社概要はこちら → [当社について]  [当社の特徴]  [当社の実績]


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