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クリエイティブコモンズ

「クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons, CC)」は、インターネット時代における新しい著作権のあり方を提案する国際的な非営利組織です。または、この組織が提供するライセンス制度(CCライセンス)そのものも指しています。

クリエイティブ・コモンズの基本理念


従来の著作権制度の課題と解決策

従来の著作権法は「すべての権利を保持(All Rights Reserved)」を前提としており、作品を利用する際には原則として著作者から個別に許諾を得る必要がありました。インターネット上で作品を共有・再利用する場面では、この手続きが煩雑で、文化や情報の流通を妨げる要因となることが指摘されていました。

クリエイティブ・コモンズ(CC)は、この課題を解決するために、著作者が著作権を保持したまま、特定の条件下での利用を事前に許可する仕組み(意思表示ツール)として設計されました。


「Some Rights Reserved」(一部の権利を保持)という考え方

CCは、従来の「All Rights Reserved」と、完全な権利放棄である「No Rights Reserved(パブリックドメイン)」の中間に位置します。著作者は一部の権利を保持しつつ、利用条件を明示することで、作品の自由な使われ方を柔軟にコントロールできるようになっています。


4つの基本要素と6つのライセンス

クリエイティブ・コモンズは、以下の4つの要素を組み合わせることで、著作者がどのように作品を利用してほしいかを明確に設定できるようにしています。


BY(表示)

著作者名やクレジットを表示することを求める


NC(非営利)

営利目的での利用を禁止する(※営利/非営利の判断は国や文脈で異なる場合があり、利用者側の解釈が求められます)


ND(改変禁止)

作品の改変を禁止する(※翻訳も「改変」に含まれるため、翻訳も不可)


SA(継承)

改変した場合、その二次的著作物にも同じライセンスを適用することを求める

なお、CC0を除くすべてのCCライセンスにはBY(表示)が含まれており、クレジット表示は必須となっています。これらを組み合わせた6種類のライセンスが提供されています。

  1. CC BY

  2. CC BY-SA

  3. CC BY-ND

  4. CC BY-NC

  5. CC BY-NC-SA

  6. CC BY-NC-ND

利用者は、これらのライセンス条件に従う限り、個別の許諾を得ることなく作品を複製・共有できます。改変可能なライセンスの場合は、二次創作や翻案も行えます。ただし、ND(改変禁止)を含むライセンスでは、改変や翻訳を含む二次創作はできません。


CC0(シーシーゼロ)について

クリエイティブ・コモンズは、ライセンスとは別に、著作者が可能な範囲で著作権およびそれに関連する権利(著作隣接権、データベース権など)を放棄し、作品をパブリックドメインとして提供するためのツール CC0 を提供しています。

CC0が適用された作品は、原則として、複製・改変・再配布を含め、営利・非営利を問わず自由に利用できます。ただし、各国の法制度によっては、著作者人格権など一部の権利を完全に放棄できない場合があります。


クリエイティブ・コモンズの設立経緯

クリエイティブ・コモンズは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本部を置く非営利団体です。

2001年に、スタンフォード大学ロースクールのローレンス・レッシグ教授を中心に設立され、2002年12月に最初のCCライセンスが公開されました。CCは、同大学のサイバー法研究での議論を背景として誕生し、インターネット時代に適合した著作物流通の仕組みとして開発されました。

また、フリーソフトウェア財団(FSF)が提唱する「自由な利用を保つための条件付き共有(コピーレフト)」の思想や、GPLライセンスの仕組みが、広義の思想的背景としてCCの発想に影響を与えています。ただし、GPLはソフトウェアを対象とするライセンスであり、CCはソフトウェアではなく文章・画像・音楽などの創作物を対象とする独自の仕組みとして設計されています。

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<h1 class="font_0"><strong>クリエイティブコモンズ</strong></h1>

​【関連情報】

日本における活用状況と実例


日本国内では、クリエイターの間での認知度にまだ課題があるとの調査結果も見られますが、実際の活用は進展しています。


Wikipedia

クリエイティブ・コモンズ表示-継承ライセンス(CC BY-SA)の下で運営されており、日本語版も含めて多くのユーザーが自由に記事を編集・共有できる環境を提供しています。YouTubeでは投稿者が映像コンテンツにCCライセンスを適用でき、CCライセンス付き動画の検索機能も実装されており、制作会社や個人クリエイターが自身の作品を広く共有する手段として活用されています。


Flickr

ユーザーが写真にCCライセンスを適用可能で、CCライセンス付き画像の検索機能により、適切な条件で利用できる画像を簡単に見つけることができます。Internet Archiveでは書籍、音楽、映像などの多様なコンテンツがCCライセンスで提供されており、文化的資源の保存と共有に貢献しています。名古屋をはじめとする各地域の制作会社や映像クリエイターも、これらのプラットフォームを通じて自身の作品を世界に発信する機会を得ています。


Unsplash

著作権フリー(CC0ライセンス)の素材を提供し、商用利用も含めて自由な利用を可能にしています。教育分野では、Khan Academyが無料の教育映像をCCライセンスの下で配布し、世界中の学習者に高品質な教育コンテンツを提供しています。このような映像教材は、名古屋の教育機関でも積極的に活用されており、地域の教育水準向上に貢献しています。


日本の公的機関

国立情報学研究所では情報教育教材などをCCライセンスで公開しています。また、公共的な情報資源の共有を目的としたオープンデータの取り組みでも、CCライセンスが積極的に活用されるケースが増えています。

文化庁の調査研究においても、クリエイティブ・コモンズを積極的に活用することで著作物の意思表示システムの普及や世界的な互換性を確保する方策が有効であるとの見解が示されており、公的な支持も得ています。



課題


最も顕著な問題は「営利目的」と「非営利目的」の線引きの曖昧さです。NCライセンスでは「非営利目的」を条件としますが、その定義が曖昧で、利用者が判断に迷うケースが頻繁に発生しています。例えば、個人ブログに広告が掲載されている場合や、企業の社内研修で使用する場合などの扱いが不明確です。


「改変禁止」の解釈についても課題があります。NDライセンスにおける「改変禁止」の範囲について、どこまでが改変に当たるのか厳密な判断が困難な場合があります。フォーマット変換や表示サイズの調整なども改変に含まれるのかという疑問が生じます。


認知度の向上も重要な課題です。特に日本では、クリエイターの間でのCCライセンスの認知度が十分でないという状況があり、普及促進のための教育や啓発活動が必要です。

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