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動画・映像制作用語

【クリエイティブコモンズ】

creativecommons

「クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons, CC)」は、インターネット時代における新しい著作権のあり方を提案する国際的な非営利組織です。または、この組織が提供するライセンス制度(CCライセンス)そのものも指しています。

クリエイティブ・コモンズの基本理念


従来の著作権法では、作品を利用する際に作者から個別の許諾を得る必要があり、これがインターネット上での作品流通を妨げる要因となっていました。クリエイティブ・コモンズは、この課題を解決するため、作者が著作権を保持しながらも一部の権利を自由に使えるようにする意思表示システムを構築しました。


制度の核心「Some Rights Reserved」(一部の権利を保持)

従来の「All Rights Reserved」(すべての権利を保持)とは対照的に、作者が著作権を完全に放棄することなく、特定の利用条件下での自由な使用を許可できるようになっています。


4つの基本条件

作者は自身の作品をどのように使ってほしいかを、基本条件を組み合わせて設定できます。

BY(表示):作品のクレジット表示を求める条件

NC(非営利):営利目的での利用を禁止する条件

ND(改変禁止):作品の改変を禁止する条件

SA(継承):二次的著作物にも同じライセンスの適用を求める条件


このシステムにより、利用者は個別の許諾申請手続きを経ることなく、ライセンス条件の範囲内で作品を自由に共有、利用、翻案できるようになります。結果として作品がより多くの人に利用され、知識や文化の創造・普及が促進されることを目指しています。


CC0(シーシーゼロ)

CCライセンスとは別に、作者がすべての権利を放棄してパブリックドメインに作品を提供する「CC0(シーシーゼロ)」といライセンスも提供されています。

CC0が適用された作品は、著作者の許諾なしに、複製、改変、配布、上演、演奏など、あらゆる目的で自由に利用できます。



設立経緯


クリエイティブ・コモンズの本部は、アメリカ合衆国のカリフォルニア州にあります。

スタンフォード大学のサイバー法プログラムでの研究活動から生まれたプロジェクトとして、2001年にローレンス・レッシグ教授(当時スタンフォード大学ロースクール教授)が中心となってクリエイティブ・コモンズを設立しました。

また、フリーソフトウェア財団(Free Software Foundation, FSF)の、リチャード・ストールマンが提唱したコピーレフトの概念やGPLライセンスの仕組みが、クリエイティブ・コモンズのライセンス設計に大きな影響を与えました。したがって、学術的な母体はスタンフォード大学、思想的な母体はフリーソフトウェア財団と言えます。

クリエイティブコモンズ

​【関連用語】

日本における活用状況と実例


日本国内では、クリエイターの間での認知度にまだ課題があるとの調査結果も見られますが、実際の活用は進展しています。


Wikipedia

クリエイティブ・コモンズ表示-継承ライセンス(CC BY-SA)の下で運営されており、日本語版も含めて多くのユーザーが自由に記事を編集・共有できる環境を提供しています。YouTubeでは投稿者が映像コンテンツにCCライセンスを適用でき、CCライセンス付き動画の検索機能も実装されており、制作会社や個人クリエイターが自身の作品を広く共有する手段として活用されています。


Flickr

ユーザーが写真にCCライセンスを適用可能で、CCライセンス付き画像の検索機能により、適切な条件で利用できる画像を簡単に見つけることができます。Internet Archiveでは書籍、音楽、映像などの多様なコンテンツがCCライセンスで提供されており、文化的資源の保存と共有に貢献しています。名古屋をはじめとする各地域の制作会社や映像クリエイターも、これらのプラットフォームを通じて自身の作品を世界に発信する機会を得ています。


Unsplash

著作権フリー(CC0ライセンス)の素材を提供し、商用利用も含めて自由な利用を可能にしています。教育分野では、Khan Academyが無料の教育映像をCCライセンスの下で配布し、世界中の学習者に高品質な教育コンテンツを提供しています。このような映像教材は、名古屋の教育機関でも積極的に活用されており、地域の教育水準向上に貢献しています。


日本の公的機関

国立情報学研究所では情報教育教材などをCCライセンスで公開しています。また、公共的な情報資源の共有を目的としたオープンデータの取り組みでも、CCライセンスが積極的に活用されるケースが増えています。

文化庁の調査研究においても、クリエイティブ・コモンズを積極的に活用することで著作物の意思表示システムの普及や世界的な互換性を確保する方策が有効であるとの見解が示されており、公的な支持も得ています。



課題


最も顕著な問題は「営利目的」と「非営利目的」の線引きの曖昧さです。NCライセンスでは「非営利目的」を条件としますが、その定義が曖昧で、利用者が判断に迷うケースが頻繁に発生しています。例えば、個人ブログに広告が掲載されている場合や、企業の社内研修で使用する場合などの扱いが不明確です。


「改変禁止」の解釈についても課題があります。NDライセンスにおける「改変禁止」の範囲について、どこまでが改変に当たるのか厳密な判断が困難な場合があります。フォーマット変換や表示サイズの調整なども改変に含まれるのかという疑問が生じます。


認知度の向上も重要な課題です。特に日本では、クリエイターの間でのCCライセンスの認知度が十分でないという状況があり、普及促進のための教育や啓発活動が必要です。

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