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動画・映像制作用語

【エディトリアル】

editorial

「エディトリアル(Editorial Use Only)」とは、主にストックフォトやストックフッテージの分野で使われるライセンスの種類で、その素材の利用目的を「報道、教育、解説、批評」といった非商業的な利用に限定するものです。

商品やサービスの販売促進、広告、ブランドイメージ構築など、直接的または間接的に金銭的な利益を生み出す可能性のある商用目的での利用は一切認められていません。



なぜエディトリアル素材が存在するのか?


この制限が設けられる主な理由は、画像や映像に写り込んでいる人物の肖像権(Publicity Rights)や、建物、芸術作品、商標などのプロパティリリース(Property Release)が取得されていないためです。


肖像権の未取得

例えば、街中で撮影された人々の顔がはっきりとわかる写真や、イベントで有名人が写っている写真などがこれに該当します。これらの写真を広告に使うと、写っている人の同意なしにその人のイメージが商品の宣伝に使われることになり、肖像権の侵害となる可能性があります。


プロパティリリースの未取得

特定のブランドロゴ、特徴的なデザインの建物、著名な彫刻や絵画、私有地などが写っている場合です。これらの所有者や管理者の許可(プロパティリリース)なしに商業的に利用すると、所有者の権利を侵害したり、その商標が誤解を招く形で使われたりする恐れがあります。


これらの権利処理は非常に手間と費用がかかるため、ストック素材サイトでは、権利処理がされていないが、ニュースや教育目的であれば社会的な意義のある素材を「エディトリアル」として提供しています。



エディトリアル素材の具体的な利用例


エディトリアル素材は、以下のような用途で利用できます。


ニュース報道

新聞記事、テレビのニュース番組、オンラインニュースサイトなどで、事件や出来事、人物、場所を説明するために使用されます。


ドキュメンタリー

特定のテーマや人物、歴史的出来事を深く掘り下げる番組や映像作品。


教育目的

教科書、学習資料、学術論文、大学の講義スライドなどで、視覚的な情報を提供するために使用されます。


解説・批評

雑誌の特集記事、ブログのコラム、書籍などで、特定の社会問題や文化現象について論じる際に挿入される画像や映像。


純粋な情報提供

旅行ガイドブックの景色写真(ただし、建物によっては商用利用不可の場合も)、歴史的なイベントの写真など。


重要なのは、これらの利用が「事実を伝える」「知識を広める」「意見を述べる」といった情報提供・解説の目的であり、「何かを売る」「誰かのイメージを高める」といった商用目的ではないという点です。



利用上の注意点


ストックフッテージにおけるエディトリアルライセンスの、例えば「教育目的」は、「報道、教育、解説」という範疇から、「純粋な情報の提供・解説」という意図であれば合致すると解釈できる場合があります。しかし、私たち映像制作会社が、学校や公共団体から企画制作を受託する映像コンテンツが「教育目的」であっても、受託行為は商業目的ですので、利用が許される可能性は低いです。


エディトリアル素材を利用する際は、提供元のライセンス規約を熟読することが不可欠です。誤って商用利用してしまうと、法的な問題に発展する可能性があるため、特に注意が必要です。必ず自身でサービス提供業者に問い合わせて確認してください。

もし商用利用が必要な場合は、肖像権やプロパティリリースがクリアされた「ロイヤリティフリー」などの商用利用可能な素材を選ぶ必要があります。

エディトリアル

​【関連用語】

1. ストックフッテージ(Stock Footage)


様々な映像作品で繰り返し利用されることを想定して、あらかじめ撮影・編集された汎用的な映像素材です。風景、人物の日常動作、都市の情景、抽象的なアニメーションなど、幅広いテーマのものが存在します。映像制作者は、時間や予算を節約したり、自分で撮影が難しいシーンを補ったりするために活用します。有料・無料のストック素材サイトを通じて提供され、それぞれの利用規約(ライセンス)に従って使用されます。高品質なものが多く、イメージシーンや海外シーンなど多様なプロジェクトに利用できます。



2. パブリックドメイン(Public Domain)


著作権やその他の知的財産権による保護期間が終了したり、そもそも保護の対象外であったり、あるいは権利者が自発的に権利を放棄したりした作品や情報のことです。これにより、誰でも自由に、許可なく、無料で利用できる状態になります。古典文学、古い絵画、歴史的写真などがこれに該当し、新たな創作活動や研究の土台として、社会全体の文化や知識の発展に貢献しますます。ただし、気をつけるべき点もありますので、よく調査して使用しましょう。



3. CC0(シーシーゼロ)


非営利団体・クリエイティブ・コモンズが提供するライセンスの一つで、著作者が自身の著作物に対する著作権を含む権利を放棄し、作品をパブリックドメインとして公開することを意味します。これにより、利用者はクレジット(著作者表示)の有無にかかわらず、自由に複製、改変、配布、公開、さらには商用利用を含むあらゆる目的で作品を利用できます。著作権法上完全な権利放棄ができない国もあるため、CC0では「権利放棄できない場合は無条件のライセンス供与」という仕組みも含んでいます。



4. クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons)


インターネット時代の著作物利用を促進するための、ライセンス体系を提供する非営利団体です。著作者が自身の作品に対し、「著作権を完全に放棄せず、一部の権利を留保しながら、特定の利用条件を設けて一般に公開する」という意思表示をするためのツールを提供しています。例えば、「著作者を表示すれば商用利用も可能」といった柔軟な組み合わせがあり、これにより、利用者は著作権法を気にしすぎることなく、安心して著作物を活用できます。



5. ロイヤリティフリー(Royalty-Free)


一度料金を支払ってライセンスを取得すれば、追加の利用料(ロイヤリティ)を支払うことなく、何度でも自由に利用できるライセンス形式です。写真、イラスト、音楽、映像など、様々なデジタルコンテンツに適用されます。利用回数や利用期間による制限がなく、利用者のコスト管理がしやすいのが特徴です。ただし、「著作権が完全に放棄されている」わけではなく、利用規約には使用目的や方法に関する制限(例:再配布の禁止、特定の商用利用の制限)が設けられている場合があるため、注意が必要です。

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