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動画・映像制作用語

【CC0】

cczero

「CC0(シーシーゼロ)」とは、クリエイティブ・コモンズが提供する「著作権を可能な限り放棄し、作品をパブリックドメインに提供する」ことを表明する手段のひとつです。

クリエイティブ・コモンズのライセンス(CCライセンス)が「All Rights Reserved(すべての権利を保持)」と「Some Rights Reserved(一部の権利を保持)」の間に位置し、著作権者が利用条件を明確にすることで、利用を促進するものであるのに対し、CC0は「No Rights Reserved(いかなる権利も保持しない)」という考え方を表明するものです。

具体的には、CC0を適用した作品は、作者が以下の意思表示をしていることを意味します。


1. 著作権の放棄

作者が作品に対する著作権(および著作隣接権)を、法的に可能な最大限の範囲で放棄することを宣言します。


2. パブリックドメインへの提供

作品を、誰でも自由に利用できる「パブリックドメイン」の状態に置くことを目指します。


3. 無条件かつ永続的な利用許諾

もし著作権法上の権利が完全に放棄できない場合でも、作者はそれらの権利について無条件かつ永続的な利用許諾を与え、権利行使をしないことを確約します。



実際の利用


最も自由な利用

CC0で公開された作品は、原則として、誰でも、いかなる目的(商用利用含む)でも、クレジット表示なしで、自由に複製、改変、配布、上演・演奏などができます。


クレジット表示の不要

他のCCライセンスとは異なり、作者のクレジット表示(氏名、作品タイトルなど)は必須ではありません。ただし、慣習として表示されることは推奨されます。


改変の自由

改変禁止(ND)の制約がなく、自由に改変・翻案して二次的著作物を作成できます。


法的制約の最小化

法的な制約を極力排除し、利用者が作品を最大限に活用できることを目的としています。


学術・データ分野での活用

特に科学データ、オープンデータ、歴史的資料、NFTアートなど、再利用や共有が重要視される分野で広く活用されています。



注意点


「完全な放棄」の難しさ

各国の著作権法によっては、著作者人格権のように、作者が完全に放棄できない権利も存在します。CC0は、そういった権利についても最大限の配慮を求め、権利行使をしないことを確約することで、事実上のパブリックドメイン状態を目指します。


他の法的制約

CC0は、クリエイティブ・コモンズという非営利団体が提供する「著作権」に特化したひとつのツールであり、著作権を放棄して作品をパブリックドメインに提供するためのものです。

したがって、CC0が効力を持つのは著作権(および著作隣接権)の範囲内であり、日本を含む各国の民法や関連法規によって保護されている肖像権、プライバシー権、商標権といった、著作権とは別の性質を持つ権利には一切影響を与えません。

CC0(シーシーゼロ)

​【関連用語】

CC0が扱うのは「著作権(と著作隣接権)」のみ


CC0は、作者が自身の著作権(Copyright)および著作隣接権(Related Rights)を、法的に可能な最大限の範囲で放棄し、作品をパブリックドメインに提供することを意図したものです。これは、「アイデアや表現を保護する権利」としての著作権に特化しています。

具体的に、CC0によって放棄または許諾されるのは、以下のような著作権上の権利です。


複製権

作品をコピーする権利


公衆送信権

インターネットなどで作品を公開する権利


翻案権

作品を改変して二次的著作物を作成する権利


頒布権

作品を流通させる権利


上演・演奏権、上映権、展示権

作品を公に発表する権利




CC0が扱わない「その他の権利」の具体例


しかし、一つの「作品」には、著作権以外の様々な法的権利が複合的に関わっている場合があります。CC0はこれらの「その他の権利」には一切影響を与えません。そのため、CC0が適用された作品であっても、利用者はこれらの権利についても個別に確認し、適切に対応する必要があります。

主な「その他の権利」の例を挙げます。



1. 肖像権(Right of Publicity / Right to one's own image)


人の顔や姿が無断で撮影されたり、公開・利用されたりしないように主張できる権利です。有名人であれば、その肖像から生じる経済的利益(パブリシティ権)も含まれます。
CC0との関係

たとえCC0で公開された写真であっても、そこに特定の人物が写っている場合、その人物の肖像権は放棄されていません。もしその写真を商用利用したり、人物の意図しない形で利用したりすると、肖像権侵害となる可能性があります。利用者は、写っている人物から別途許諾を得る必要があります。

CC0の美しい風景写真の中に、見知らぬ通行人が写り込んでいる場合、その通行人の顔が明確に判別できるような拡大利用や、広告への利用は避けるべきです。


2. プライバシー権(Right to Privacy)


 個人の私生活に関する情報や、個人が特定できる情報が、本人の意に反して公開・利用されないように主張できる権利です。
CC0との関係

CC0で公開されたデータや写真に、個人の住所、電話番号、健康情報などのプライベートな情報が含まれている場合、その著作権は放棄されていても、情報主体のプライバシー権は保護されます。これを無断で公開・利用すれば、プライバシー侵害となる可能性があります。

CC0で公開された手書きのメモ帳の写真に、個人の電話番号や住所が記載されている場合、その部分を隠さずに利用することはプライバシー侵害になり得ます。


3. 商標権(Trademark Rights)


商品やサービスを識別するために使用されるロゴ、マーク、名称などを保護する権利です。登録された商標は、特定の企業や団体が独占的に使用でき、他者が無断で使用することを禁止できます。
CC0との関係

 CC0で公開された画像やデザインの中に、登録された企業のロゴや商標が含まれている場合、その著作権は放棄されていても、商標権は放棄されていません。これを無断で商品化したり、特定の企業を連想させる形で利用したりすると、商標権侵害となる可能性があります。

CC0で公開された街の風景写真に、有名な企業の看板やロゴが大きく写り込んでいる場合、その写真を企業の広告や、競合商品のパッケージデザインに利用すると、商標権侵害や不正競争防止法に抵触する恐れがあります。


4. 特許権(Patent Rights)


発明や考案を一定期間独占的に実施できる権利です。技術的なアイデアやプロセスを保護します。
CC0との関係

CC0は著作物(表現)に関するものであり、特定の技術的アイデアや発明に関する特許権には影響を与えません。



なぜこれらの権利に影響しないのか?


これらの権利は、著作権とは法的な保護の対象や目的が異なるためです。著作権は「表現」を保護するのに対し、肖像権は「人格」や「個人情報」、商標権は「ブランドの識別力」を保護します。CC0は著作権の放棄を宣言するものであり、著作権以外の法的領域にまでその効力が及ぶことはありません。




利用者が配慮すべきこと


作品の内容をよく確認する

人物、企業ロゴ、プライベートな情報などが含まれていないか。


利用目的を考慮する

特に商用利用や、作品のイメージを損なう可能性のある利用の場合は慎重になる。


疑わしい場合は利用を避けるか、権利者に直接確認する

不明な点があれば、安全を期して利用を控えるか、元の作者や写っている人物・企業に直接問い合わせる。

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