動画・映像制作用語
【フィルムコミッション】
filmcommission
「フィルムコミッション」とは、地域活性化や観光振興のために、映画、テレビドラマ、CMなどの映像作品のロケーション撮影を誘致し、その撮影がスムーズに進行するように多角的にサポートする非営利団体のことです。
フィルムコミッション / Film Commissionは、FCと略されます。
多くの場合、自治体の観光振興課や商工課などを中心に組織されていて、ここ名古屋にも「なごや・ロケーション・ナビ」が映像を通じて、名古屋の魅力的な地域性を多くの人々に届けています。この用語辞典にも掲載している「名古屋市市政資料館」など、名古屋にもロケーション好適地が多数あります。
なお、映画制作にせよテレビCM制作にせよ、民間企業が営利目的に行う事業ですが、私たちのようなプロダクションが行う、企業のPRを目的とする映像(VP)のロケーションについては、公共性・話題性・コンテンツの拡散性が低く、インターネットでの再生数も見込めないため、地域にメリットがなく、FCに協力してもらうことはできません。
近年、地方自治体やFCが情報不足のうちに事業を進めたことでトラブルも発生しています。制作会社とFC・自治体相互の十分な情報共有と信頼性の確保が課題です。また、文化財など貴重な財産は地域のみなさんの誇りです。不注意に傷つけないための十分な配慮も必要です。
主な役割や活動内容
※協力してもらえる内容や責任の範囲は、FCによって異なるので、よく確認してください。
1. ロケーション撮影の誘致と支援
ロケ地の情報提供と紹介
映像制作者の企画内容や台本に基づき、その地域ならではの魅力的なロケ地(建物、自然、街並みなど)を提案し、写真や詳細な情報を提供します。
撮影許可の手続き支援
公的施設や道路、公園など、撮影に必要な許可申請を円滑に進めるための調整や情報提供を行います。場合によっては、申請手続きの代行も行います。
地元協力の調整
撮影現場周辺の住民や商店街、自治会などに対し、撮影への理解と協力を得るための働きかけを行います。
エキストラの手配
作品に必要なエキストラの募集や手配をサポートします。
関連業者の紹介
宿泊施設、食事(ロケ弁、ケータリング)、機材レンタル、レンタカー、技術スタッフなど、撮影に必要な地元業者の情報を提供し、手配を支援します。
ロケハン・撮影への同行
ロケハン(ロケーションハンティング)や実際の撮影に同行し、現場での調整やサポートを行います。
トラブル対応
撮影中の交通規制や住民との調整、天候によるスケジュール変更など、予期せぬ問題が発生した際にも対応します。
2. 地域活性化とPR
フィルムツーリズムの推進
ロケ地となった作品が公開された後、その場所が観光地として認知され、観光客が増加する「フィルムツーリズム」を促進します。
地域ブランドの向上
映像作品を通して地域の魅力を広く発信し、知名度や地域愛着度の向上に貢献します。
経済効果の創出
ロケ地での消費(宿泊、飲食、物品購入など)や、地元スタッフ・機材の活用により、地域経済に貢献します。
文化振興
映画祭や上映会の開催などを通じて、映像文化の振興にも寄与します。
3. 特徴
非営利団体
金銭の収受を伴わず、基本的に無償で制作支援を行います。
窓口の一本化
ロケーション情報の提供や許認可調整など、制作側の窓口を一本化することで、負担を軽減します。
作品内容への不干渉
作品内容の表現の自由を尊重し、内容によって支援の可否を決めないのが一般的です。ただし、ロケ候補施設の所有者・管理者は、作品内容に応じて可否を決定する権利を持ちます。
日本国内では、2000年に初めて設立されて以降、多くのフィルムコミッションが活動しており、その数は年々増加しています。ジャパン・フィルムコミッション(JFC)のような全国組織もあり、各地域のフィルムコミッションと連携しながら、日本の撮影環境の発展に貢献しています。
