テイク
撮影、録画、録音において、最善を期すために同じことを繰り返す場合の、それぞれの試行、試行回数、試行結果を指します。「テイク」は、映像制作、音楽制作、写真撮影など、様々なクリエイティブ分野で用いられる用語です。より良い作品を生み出すために、何度も「 テイク」を重ねることがあります。
具体的には、以下の意味合いが含まれます。
1. 試行
撮影や録音の1回の実行。演技や演奏などのパフォーマンスの1回の実施。
2. 試行回数
影や録音などを繰り返した回数。「テイク1」、「テイク2」のように、各試行を区別するために使われます。
3. 試行結果
撮影や録音された素材。パフォーマンスの出来具合。
4. 採用を決めること
「テイク」は、「採用する」という意味で使われることもあります。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
クライアント立ち合いでの撮影や録音では、テイクを何回まで行うのが適切か?という判断も、重要なクライアントコミュニケーションです。演者・クライアント・技術・制作サイドの4者が納得する「黄金の着地点」を見つけるのは、ディレクターの腕の見せ所でもあります。
結論から言えば、「2〜3テイク」を標準的なベースラインとしつつ、そこに「安心感」と「探究心」を肉付けしていくのが、現場の空気を円滑にするコツです。
1. 「テイク1でOK」が不安を招く理由と対策
テイク1で即OKを出すと、クライアントは「えっ、他の可能性を試さなくていいの?」「本当に今のチェックした?」と不安になります。
「キープ」を確保する
1回目が完璧だったとしても、「今の最高ですね! 念のため、もう少し勢いをつけたバージョンも抑えていいですか?」と提案します。
比較対象を作る
最低でも2テイク(あるいは毛色の違う3テイク目)を録ることで、「やっぱり1回目が一番でしたね」という比較による納得感を提供できます。
2. 「テイク5以上」が不信感を生む理由と対策
何度も繰り返すと、現場に「何が正解かわかっていない」という空気が流れます。
「変化」を与える
同じ指示で何度もやらせるのはNGです。「次は〇〇を強調して」「語尾を少し上げ目で」など、明確に異なるオーダーを出します。
「部分録り」に切り替える
全体がいいのに一箇所だけ気になるなら、そこだけを録り直すことで、演者の疲弊と現場の停滞感を防げます。
3. ディレクターとしての「見せ方」のコツ
結局のところ、テイク数は「数」そのものよりも「意図」が伝わっているかが重要です。
言語化の徹底
「もう一回」ではなく「テイク1は丁寧すぎたので、もう少し会話っぽく」と理由を添える。
クライアントを巻き込む
テイク2が終わった時点で「今のでほぼ完璧ですが、何か気になる点はありますか?」と一言振る。これにより、クライアントも「自分も制作に参加している」という当事者意識を持ち、テイク数に対する不満が出にくくなります。
現場の雰囲気は、ディレクターが「正解を知っている」という自信を見せることで安定します。
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関連用語など
1. OKカット
撮影したテイクが合格で、本編での使用が確定したカットを指します。現場ではディレクターが「OK!」と明確に発声し、全スタッフにその判断が共有されます。特にドラマやCMなど、演出意図が明確な撮影では、演技、カメラワーク、照明、音声など、すべての要素が求める水準に達していることを意味します。OKが出た時点で、そのカットの撮影は完了となり、次のカットの準備に移ります。OKは編集で確実に使用されるカットとして認識されます。
2. NGカット
テイクとして不適切で使用できないと判断されたカットを指します。演技の失敗、セリフの間違い、カメラミス、外部音の混入など、理由は様々です。NGの場合、すぐに再テイクの準備に入るため、スタッフは素早い切り替えが求められます。編集作業では使用されないことが前提のカットです。
3. キープ
OKとまでは言えないが、使用できる可能性のあるカットとして保管されるものを指します。現場では「キープで」という簡潔な指示で使われます。より良いテイクを目指して撮影を継続する場合や、編集段階での選択肢として残しておく場合に使用されます。特に表現の幅を持たせたい場合や、複数のバリエーションを確保したい場合に重要な判断基準となります。録画記録には必ず明記します。
4. リテイク
撮影、録音をし直すことを「リテイク」といいます。
5. だめだし
「だめだし」は、日本語で「だめ」と「出す」を組み合わせた言葉で、主に以下の二つの意味で使われます。
否定的な評価や意見を伝えることある物事や人物に対して、悪い点や改善すべき点を指摘することです。例えば、企画書の内容に不備があったり、プレゼンテーションのやり方がうまくいかなかったりした場合に、「その企画書にはだめだしが入った」「プレゼンの仕方について、先輩からだめだしをもらった」といったように使います。
最終的な確認や指示を出すこと特にクリエイティブな分野や制作現場で使われることが多く、完成間近の作品や企画に対して、最終的な修正指示や承認を行うことを指します。
この二つの意味合いは状況によって使い分けられますが、どちらも改善や完成度を高めるための指摘というニュアンスが強い言葉です。
