動画・映像制作用語
【カメラワーク】
camerawork
「カメラワーク」とは、映像作品において、カメラを操作して映像をどのように見せるかという技術のことです。カメラの位置・角度、動き、レンズの操作などを意図を持って動かすことによって、映像に多様な意味合いや感情、情報を付加することができます。
カメラワークという言葉はムービー、スチールともに使用されますが、ムービーカメラは時間軸に沿った変化を含めた表現であり、スチールカメラは瞬間を切り取る表現ですので、同じカメラワークでも概念が異なる場合もあります。
中でも、パンニングやズーミングなど、カメラワークが生む動き自体が演出要素になるショットでは、ディレクターは編集時に、動き出しや止めのタイミングをナレーションのキーワードとリンクさせるかも知れません。したがってカメラワーク前後の「止め」は5~10秒保持すべきです。またカメラワークのing時間(スピード)もディレクターとよく相談しましょう。場合によっては、被写体の動きに同期させることもあります。その場合はディレクターのキューをもらいましょう。
1. フレーミング
画面の中に被写体をどのように配置するかという「構図」を調整します。被写体を中心に置くか、左右どちらかに寄せるか、背景をどのように入れるかなどによって、視線の誘導や物語の意図を伝えることができます。
2. カメラの位置と角度
ハイアングル(見下ろす)、ローアングル(見上げる)、水平アングルなど、被写体に対するカメラの高さや角度によって、被写体の印象や状況の見え方が大きく変わります。
3. カメラの動き
パン(カメラの振り)、ドリー(カメラ自体の水平移動)、トラック(被写体の追随)、ブーム(カメラ位置の空間移動)、ズームイン・アウト(レンズによる画角の変更)など。臨場感や躍動感、あるいは特定の感情を強調する効果を生み出します。
スチールカメラの場合の「流し撮り」。
4. レンズの操作
焦点距離の選択(広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズなど)やズーム操作によるショットサイズの連続的な変化、絞りの調整など。これによって、ショットサイズや被写界深度(ピントが合っている範囲)が変わり、画面の印象や注目させたいものが変化します。
5. 露光の調整
シャッタースピード、フレームレート、露出に関する調整も映像の雰囲気や意図を効果的に伝えるための重要なカメラワークの一部と言えます。
6. 特機の操作
クレーン、ジブクレーン、レールドリー、タイヤドリー、スライダー、ジンバル、モーションコントロールなど、カメラを装着して、移動ショットを撮影するための様々な機材の操作も、重要なカメラワークと言えます。

【関連用語】
1. パンニング
パンニングとは、フレーミングAからフレーミングBに向けてカメラ(レンズ)を向けるカメラワークです。
2. ズームイン・アウト
レンズの焦点距離を変化させることで、被写体を拡大・縮小させる効果。カメラ自体は移動せず、あたかも被写体が近づいたり遠ざかったりするような印象を与えます。感情の高まりや、注目点を強調する際に用いられます。
3. トラック
カメラを水平方向に移動させる撮影方法。被写体と並走したり、周囲を回り込んだりすることで、スピード感や移動感を表現します。登場人物の視点や、空間内の関係性を視覚的に示したい場合にも有効です。
4. クレーン
クレーン(ジブアーム)を用いてカメラを上下、斜めに移動させる撮影方法。高い視点からの俯瞰や、低い位置からの見上げなど、ダイナミックな視点の変化を生み出します。壮大なスケール感や、登場人物の感情的な動きを強調する際に用いられます。
5. ドリー
カメラ全体を被写体に対して前後に移動させる撮影方法。被写体に近づくことで心理的な圧迫感や親密さを、遠ざかることで孤独感や別れを表現します。登場人物と共に移動するような主観的な視点を作り出すことも可能です。
6. カメラ割り
複数台のカメラを配置した収録や生放送に際して、進行台本に沿ってあらかじめ、どのカメラで、何を(誰を)どう(アングル、ショットサイズ、カメラワーク)狙うかを決めることです。