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映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。
トラック
映像や音響技術においては、時間軸をもったレイヤーの概念と、ムービーカメラを移動させることを指します。(詳細は以下)
1. 専用記録レーンとしてのトラック
陸上トラック競技の「レーン」のように、時間軸に沿ってそれぞれのレーンに、さまざまな素材を配置・管理するような概念です。この概念は、時間軸をもった複数のコンテンツを同期させる(タイミングくを合わせる)ために使われる技術で、古くは音楽制作に使用されたマルチトラックレコーダーに遡ります。
映像素材(カメラ、テロップ等)や音声素材(セリフ、BGM等)を、それぞれ専用の「レーン」に並べたのち、重ねたり、タイミングを調整したり、様々なエフェクトを施したのち、ひとつのコンテンツとして書き出します。
2. カメラワークとしてのトラック
カメラを物理的に移動させることです
トラックイン(Track In)/ドリーイン(Dolly In)
カメラを被写体に向かって前進させる動き。
トラックアウト(Track Out)/ドリーアウト(Dolly Out)
カメラを被写体から後退させる動き。
トラッキングショット
移動しながら被写体を追いかけるように撮影するショット。レールやドリーを使う場合もあります。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
現在の映像技術における「トラッキング(Tracking)」は、一言で言えば「映像内の特定の対象を追いかけ、その動きや形状の変化を数値データ(座標など)に置き換える作業」を指します。
具体的にどのような「データ化」が行われているのか、主な3つのカテゴリーに分けて整理します。
1. 2Dトラッキング(点と面)
映像内の特定の「点」や「特徴的なパターン」を追いかける技術です。
ポイントトラック: 特定の点(例:人の目や看板の角)のXY座標をデータ化します。
平面トラック
スマートフォンの画面や壁などの「面」をデータ化します。
用途
映り込んでしまった不要なものを消す(バレ消し)、動く対象にテロップを追従させる、顔にモザイクをかける、など。
2. 3Dトラッキング(カメラトラッキング)
カメラ自体の動き(パン、移動)やレンズの情報を解析し、仮想的な3D空間を構築します。
データ化の内容
実世界のカメラが「どこにあり、どの方向を向いているか」という3次元の軌跡をデータ化します。
用途
実写映像の中に、あたかもそこにあるかのように3DCGのキャラクターや建物を合成する(マッチムーブ)。
3. オブジェクト・フェイシャルトラッキング
対象物の形状や立体的な動きそのものをデータ化します。
ボディー・フェイシャル
人の関節の動きや表情(口の動き、眉の上がり方)を数値化します。
データ化の内容
リグ(骨組み)の回転角や、メッシュ(表面の網目)の変形データ。
用途
モーションキャプチャ、Vチューバーのキャラクター操作、俳優の顔を別の人物に差し替えるデジタルダブルなど。
「形象」のデータ化が進む現代
最近ではAI(機械学習)の進化により、座標追従だけでなく、「セグメンテーション(対象物の境界線を自動で切り抜く)」という形での形象のデータ化も「トラッキング」の一環として行われるようになっています。
