ジンバル
映像制作用語辞典 | 株式会社SynApps
ジンバルは、カメラやスマートフォンなどの機器を安定させて滑らかな映像を撮 影するための装置です。モーターとジャイロセンサーを組み合わせて、装置本体の傾きや振動を打ち消し、常にカメラを水平に保ちます。
ジンバルの仕組み
ジンバルの主な構造は、3つの軸(パン軸、チルト軸、ロール軸)で構成されています。各軸にモーターとジャイロセンサーが搭載されており、これらの働きによってカメラを安定させます。
パン軸: カメラを左右に回転させる軸です。
チルト軸: カメラを上下に傾ける軸です。
ロール軸: カメラをロールさせる軸です。
ジャイロセンサーが装置の傾きを感知すると、モーターが動作し、カメラを元の位置に戻すことで、常に水平な状態を維持します。
ジンバルの機能
手ブレ補正: 手持ち撮影でも、手ブレを大幅に抑え、滑らかな映像を撮影できます。
安定した映像: 走りながらの撮影や、移動中の撮影でも、安定した映像を撮影できます。
クリエイティブな撮影: ジンバルを使うことで、滑らかなパンニングやチルト、ドリーショットなどの撮影が可能になり、表現の幅が広がります。
ジンバルの種類
手持ち型ジンバル: 小型で軽量なジンバルで、スマートフォンや小型カメラに取り付けて使用します。
三脚に取り付けるジンバル: 三脚に取り付けて使用するジンバルで、より安定した撮影が可能です。
クレーンに取り付けるジンバル: クレーンに取り付けて使用するジンバルで、高い位置からの撮影や、大規模な撮影現場で使用されます。
ジンバルの活用例
動画撮影: YouTube動画、Vlog、映画、ドラマなど、様々な動画撮影で活用されています。
ライブ配信: スマートフォンでのライブ配信で、安定した映像を配信できます。
スポーツ撮影: スポーツイベントの撮影で、動きの速い被写体を追いかける際に役立ちます。
ジンバル衝動買いの末路
手頃な価格で購入できるジンバル機器ですが、衝動的に購入したけれど、結局箪笥の肥やしになることがおおい、カメラアクセサリーの代表格です。
理由
重量と取り回しの問題
カメラとレンズを載せたジンバルは想像以上に重く、長時間の撮影では腕や肩が疲れてしまいます。気軽に持ち出そうと思っても、準備や片付けが面倒で、結局軽いカメラだけで済ませてしまうことが多くなります。
バランス調整の難しさ
レンズを変えるたびにバランスを取り直す必要があり、これが思った以上に時間がかかって面倒になります。撮影現場でサッと使えないと、だんだん使わなくなってしまいます。
技術習得の時間不足
ジンバルは単に取り付ければ良いものではなく、歩き方や動かし方にコツがあります。プロのような滑らかな映像を撮るには練習が必要ですが、忙しい日常の中でその時間を確保するのは難しいものです。
期待値と現実のギャップ
YouTubeなどで見るプロの映像に憧れて購入するものの、実際に使ってみると思ったような映像が撮れず、がっかりしてしまうことが多いです。
手持ち撮影の手軽さ
多少ブレても、気軽に撮れる方が継続的に撮影を楽しめるという現実があります。ジンバルは確かに素晴らしい道具ですが、それを活かすための時間と労力を投資できるかどうかが、使いこなせるかどうかの分かれ道になっているのだと思います。

【関連情報】
1. スタビライザー
カメラの振動や揺れを軽減し、安定した映像を撮影するための機器の総称です。ジンバルもスタビライザーの一種ですが、他にもショルダーマウント、ボディマウント、スプリングアーム式など様々な種類があります。デジタルスタビライザーでは、センサーやジャイロスコープを使用して振動を検知し、電子的に補正を行います。特に手持ち撮影やムービングショットでは、安定した映像を得るために不可欠な機材となっています。選択する際は、カメラの重量や撮影スタイル、必要な安定性の程度を考慮します。
2. スムースモーション
なめらかな動きで撮影された映像や、その撮影技法を指します。ジンバルなどの機材を使用することで、歩行や走行時でも滑らかな動きを実現できます。ドリー撮影やクレーン撮影と比べて、より自由な動きや狭いスペースでの撮影が可能です。特に追従ショットやPOVショット(主観視点)で効果的で、視聴者に臨場感を与えることができます。最近では、電動ジンバルの普及により、一人でも高度なスムースモーション撮影が可能になっています。
3. モーションコントロール
電動式のジンバルやスタビライザーで、カメラの動きを精密にコントロールする技術です。プログラム可能な動きのパターンを設定したり、ジョイスティックでリモート操作したりすることができます。タイムラプス撮影や複雑なカメラワークを要する場合に特に有効です。また、同じ動きを正確に再現できるため、VFX合成を前提とした撮影でも重宝されます。最新のシステムでは、AIを活用した被写体追従機能なども実装されています。
4. バランシング(キャリブレーション)
ジンバルやスタビライザーの重心を適切に調整する作業です。カメラの重量や形状に応じて、各軸のバランスを細かく調整し、最適な安定性を得ます。適切なバランス調整は、機材の性能を最大限に引き出し、モーターへの負荷を軽減する上で重要です。また、バッテリーの持続時間にも影響を与えるため、長時間の撮影では特に慎重な調整が必要です。経験と技術を要する作業で、撮影前の重要な準備工程となっています。
5. フォローフォーカス
ジンバルを使用した撮影時に、被写体にピントを合わせ続けるシステムです。無線式のフォーカスコントロールを使用することで、カメラの動きに影響を与えずにピント調整が可能です。ワイヤレスフォローフォーカスシステムと組み合わせることで、一人でも複雑なカメラワークとピント合わせを実現できます。最新のシステムでは、自動追従機能やタッチスクリーンでのコントロールなど、より直感的な操作が可能になっています。