動画・映像制作用語
【モーションコントロール】
motioncontrol
撮影技術における「モーションコントロール(Motion Control)」は、カメラや被写体の動きを精密にプログラムして、複雑で繰り返し可能な動きをコンピューター制御によって実現します。
複雑な動きを直感的に操作できるインターフェースや、キーフレームアニメーション、パスアニメーションなどの機能が備わっていて、被写体を動かすためのリグ(アームやターンテーブルなど)も同様にプログラム制御するものもあります。
また、モーションキャプチャーで記録した「現実の複雑で自然な動き」を、モーションコントロールシステムに入力することで、「プログラムされた精密な動き」としてカメラや被写体に実行させることができます。
特長
VFX(視覚効果)合成
実写映像とCG要素を違和感なく合成するために、同じカメラワークで複数の素材を撮影する必要がある場合に不可欠です。
ストップモーションアニメーション
コマ撮りアニメーションにおいて、カメラの動きを一定に保つことで、滑らかで安定した映像を作り出すことができます。
多重露光
同じシーンを異なる設定で複数回撮影し、後で合成することで、特殊な効果を生み出すことができます。
製品撮影
複雑なアングルや動きを毎回同じように再現することで、高品質で均一な映像を制作できます。
高精度なカメラワーク
プログラムされた通りに、ミリ単位、フレーム単位での正確な動きを実現します。
複雑な動きの再現
手持ちや通常の機材では難しい、複雑でダイナミックなカメラワークを可能にします。
効率的なワークフロー
事前に動きをプログラムすることで、撮影現場での試行錯誤を減らし、効率的な作業を実現します。
モーションコントロールを実現する機器
1. スライダー型モーションコントロールシステム
レールの上をカメラが水平移動するシンプルな構造で、比較的導入しやすいのが特徴です。小型軽量なものから、長尺で重量のあるカメラに対応できるものまであります。多くの場合、パンやチルト、フォーカスなどの制御ユニットを追加できます。
2. パン・チルト ヘッド型モーションコントロールシステム
カメラを水平方向(パン)と垂直方向(チルト)に回転させることに特化したシステムです。単体で使用するだけでなく、スライダーやジブアームなどと組み合わせて、より複雑な動きを実現できます。
3. マルチアクシス モーションコントロールリグ (ロボットアーム型など)
複数のモーターを搭載し、カメラのパン、チルト、ドリー、トラック、ペデスタル、ロール、フォーカス、絞りなどを同時に精密に制御できる、より高度なシステムです。VFXや製品撮影など、複雑な動きが求められる現場で使用されます。
4. ターンテーブル型モーションコントロールシステム
被写体を回転させることに特化したシステムです。製品の360度撮影や、特殊効果を用いた撮影などに利用されます。カメラ側の動きと組み合わせることで、より複雑な表現が可能です。

【関連用語】
1. モーションキャプチャ
人間の動きや物体の動きをデジタルデータに変換する技術のことです。簡単に言うと、人の動きをコンピュータに取り込む ことで、CGキャラクターやロボットなどにリアルな動きを与えることができます。
2. モーショングラフィックス
文字、イラスト、映像などの静止画に動きや効果を加え、動画を作成する手法です。まるでグラフィックが動いているかのように見えることから、この名がついています。
3. モーションピクチャー
一般的に映画や動画を指します。
4. モーションブラー
動きのある被写体や動いているカメラで撮影した際に、その動きによって像がぼやけて見える現象、またはその効果を指します。
5. スローモーション
通常よりも遅い速度で再生することで、動きを強調したり、肉眼では捉えられない瞬間を表現したりする撮影・再生技術。