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映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。
チルト
カメラを上下に向けることです。従来の「縦パン」のことです。
カメラを垂直方向にパンニングする、つまり上下に動かすカメラワークを、近年「チルト」とも呼びます。
縦パンと同義で使われます。デジタル一眼カメラ撮影や、アクションカメラ(GpProやドローン、ジンバルカメラなど)のカメラワークに関する記述が拡散・拡大解釈され、インターネットと生成AIのエコーチェンバーによって定着した用語です。
写真用カメラでムービーを撮影する場合、パンニングやズーミングのING撮影をするカメラマンは多くないので、「チルト」はあまり使わない用語として、机上にあるだけかも知れません。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
「はいチルト!」って聞いたことありますか?
いまの撮影現場では、そもそもカメラワークを細かく言葉で指示するディレクター自体が少なくなっています。かつては「はい、ここでパン」といった具体的な指示が飛んでいましたが、現在はカメラマンに委ねるか、ディレクター自身もカメラを持っているので、人に指示する前に自分で撮ってしまいます。
ディレクターが逐一カメラの動きを言語化する場面は減りました。その結果、パンだのチルトだのといった用語が、現場の会話として発生する機会そのものが少なくなっています。
カメラワークはお任せで、本番では「OKです」「そのままでもう一回」といった進行上のやり取りが中心になる。だから、用語がどうであるか以前に、そもそも用語を口にする場面がなくなっているというのが実態です。
言い換えると、「チルトという言葉が定着しない」のは、用語の問題というより、カメラワークを言葉で指示する文化自体が薄れてきたという構造の問題でもあります。
