動画・映像制作用語
【カット編集】
cutediting
「カット編集」とは、もともとカットとカットをトランジションを用いずに編集する作業でしたが、ノンリニア編集ネイティブ世代では、「カット編集」はクリップ内のNG部分を削除(カット)することを指します
従来「カット編集」とは、映像編集において、ディゾルブやワイプといったトランジション(画像の切り替わりに用いられる効果)を介さずに、直接カットとカットを接続する手法だけを用いて行う編集作業のことを指しました。
トランジションが映像の切り替わりに「のりしろ」を与えるのに対し、カット編集は、素材そのものをダイレクトに繋ぎ合わせます。
ほぼ同義語として「カットつなぎ」があります。
用法
ディレクターが「このカットAと、このカットBを、カットでつないで」と言ったたら、エディターはカットAの後ろにカットBをトランジションなしできっちりくっつけて配置します。
背景
テープ編集時代のオフライン編集機材では、A/Bロールを「カットつなぎ」することしかできなかったことから、「ひとまずカット編集でいいから」と仮組みした映像を、本編集(オンライン編集)でトランジションなどの効果を付加していた経緯があります。
映像編集の基本「カット編集」
トランジションを使用せず、カットつなぎのみで構成する本来の意味の「カット編集」は、カット割りや映像編集の基礎を習得する上で極めて重要視されています。古典的な映像美学においては、トランジションは文章における接続詞のようなもので、「言わずもがな」な要素と捉える傾向があるためです。多くの芸術や創作において「無駄を削ぎ落とす」ことが重視されるように、シンプルなカットつなぎのみで映像作品を構築することに、熟練した創作者ほど高い価値を見出すのです。
映像編集の本質は、「コンティニュイティ(連続性)」という要素を、人間の心理や認知バイアスから引き出す、文学的あるいは哲学的な側面にあります。映像の真の力が、観客が自律的に意味や繋がりを認識することによって生まれると考えるならば、装飾的な要素を排した「カット編集」こそが、高度で洗練されたメッセージ性を宿していると言えます。
【関連用語】
1. トランジション
場面転換時に使用する映像効果です。ディゾルブ、ワイプ、フェード、フラッシュなど、様々な種類があり、シーンの展開や時間経過、場所の移動を表現します。特にディゾルブは二つの映像を重ねながら徐々に切り替える基本的な手法で、穏やかな場面転換に使用されます。ワイプは画面を押し出すように切り替わる効果で、メリハリのある展開を演出できます。
2. クロスフェード
音声分野におけるディゾルブに相当する技法です。あるサウンドトラックから別のサウンドトラックへと移行する際に、最初の音が徐々にボリュームを下げながら消えていき、同時に次の音が徐々にボリュームを上げながら現れてくる効果を指します。場面転換時の唐突さを避け、自然な音の流れを作り出すために使用されます。音楽の切り替えやアンビエンス(環境音)の転換、ナレーションの切り替えなど、様々な場面で活用されています。
3. フェードアウト
映像や音声が徐々に消えていく効果です。映像の場合は画面が徐々に黒や白などの単色に変化し、音声の場合は徐々に音量が下がって無音になっていきます。シーンの終わりや作品の終了時によく使用され、物語や内容に締めくくり感を持たせる効果があります。特に感動的なシーンの後や、重要な場面の余韻を残したい時に効果的です。
4. フェードイン
フェードアウトとは逆に、黒や白などの単色から徐々に映像が現れる効果、あるいは無音から徐々に音が大きくなっていく効果です。作品やシーンの開始時によく使用され、新しい場面への導入を滑らかに行う役割があります。朝の始まりや、新しいシークエンスの開始、夢から目覚めるシーンなど、状況の始まりを表現する際に効果的です。
5. ディゾルブ
二つ以上の映像や音声を重ね合わせる技法の総称です。オーバーラップもオーバーラップの一種と考えられます。映像の場合、複数の画面を同時に表示したり、一つの映像に別の映像を重ねたりする効果全般を指します。夢想シーンや回想シーン、複数の出来事の同時進行を表現する際などに使用されます。
【映像編集の基礎知識】
【カット割とはなにか】
【カメラワークとカット割】
【カット割りとカメラワークと編集】