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カット

①カメラを止めて撮影を止めること。②カメラを回し始めてから止めるまでの一続きの映像(本来はショット)。③ショットから切り出した映像。④複数の映像を繋ぎ合わせる際の切り替え点。などを指します。映像の区切りや繋ぎ目のことを「カット」と言うことができますが、日本での「カット」は「ショット」同じ意味で使われることもあります。

映像制作プロセスにおける「カット」は、日本では主に以下の意味で使用されています。



①「撮影の終了」の意味


カメラを止めること

監督が「カット!」と叫ぶことで、撮影が終了することを意味します。

1つのシーンを撮影する際、カメラを一度止めると、その撮影区間を1つの「ショット」と呼びます。



②日本での現実的な使われ方


・カット=ショット



③ショットから必要な部分を抜き出したクリップ



④ 編集における切り替え


映像の繋ぎ目

複数のクリップを繋ぎ合わせる際に、クリップの終わりと次のクリップの始まりが接する部分のことを「カット」と呼びます。


編集行為

複数のショットを繋ぎ合わせる編集作業そのものを指す場合もあります。

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執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。

映像制作会社としての視点


様々な場面で様々な意味で使われる「カット」ですが、「ショット」「クリップ」との使い分けは、実際の現場での以下ような傾向があります。


1. カット (Cut)


「構成と演出」の単位として最も頻繁に使われます。


  • 実情: アニメやドラマの制作現場では「カット割り」「カット1」と呼び、「ひとつの画角(アングル)で成立している最小の構成単位」を指します。

  • ニュアンス: 視聴者が目にする「画面の切り替わり」に注目した言葉です。「このカット、もう少し長く残して(尺を伸ばして)」といった演出意図を伝える際に多用されます。



2. ショット (Shot)


「撮影・技術」の単位として使われます。


  • 実情: 主にカメラマンや監督が現場で使います。カメラを回し始めてから止めるまでの一連の動作(テイク)を指すことが多いです。

  • ニュアンス: 撮影の「手法」に重きを置いた言葉です。「引きのショット(全景)」「寄り(アップ)のショット」など、カメラの構え方やサイズを議論する際に使われます。

  • 日本独自の傾向: アニメ業界では「カット」が主流ですが、実写映画やCM制作では世界標準に合わせて「ショット」と呼ぶことで、より専門的・技術的なニュアンスを強める傾向があります。



3. クリップ (Clip)


「データ管理・編集ソフト」の単位として使われます。


  • 実情: 撮影後のデジタルデータとしての素材を指します。Premiere ProやDaVinci Resolveなどの編集ソフトのタイムライン上に並ぶ「ひと塊のデータ素材」のことです。

  • ニュアンス: 演出意図よりも「モノ(ファイル)」としての扱いに近いです。「SDカードからクリップを読み込む」「不要なクリップを削除する」といった、PC作業の文脈で使われます。


監督が現場で「今のカット、良かったね!」と言った場合、それは「(今撮った)ショットの内容が、(作品の)カットとして成立している」という意味です。

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カットを解説するイメージ(監修・神野富三)

​関連用語など

1. マスターショット


シーン全体を一つの広いショットで撮影したカットを指します。通常、シーンの冒頭で撮影され、登場人物全員の位置関係や空間全体を把握できる画角で撮られます。編集時の基準となるショットとして重要で、これに続くカットはマスターショットを基準に構成されていきます。特に複数の出演者が登場するシーンでは、演技の連続性やタイミングを確保する上で重要な役割を果たします。また、予期せぬ編集上の問題が発生した際の保険としても機能します。エスタブリッシュショットとも言います。



2. インサートカット


主要なアクションの間に挿入される短い補足的なショットです。例えば、時計の文字盤、手紙の文面、ドアノブを掴む手元など、詳細な情報や重要な小道具を見せるために使用されます。主要なカットの間に編集で組み込まれ、物語の展開や心理描写を補強する役割を果たします。また、カットとカットの接続を自然にするためのつなぎとしても使われ、編集のリズムを整える効果もあります。



3. ブリッジカット


異なるシーンやカットを自然につなぐために使用される中継的なショットです。例えば、街並みのショットや時計の映像など、場面転換や時間経過を示すために使用されます。視聴者の理解を助け、物語の流れをスムーズにする効果があります。また、異なる場所や時間への移行を違和感なく行うために重要な役割を果たし、作品全体のペース配分にも影響を与えます。



4. リアクションショット


他の登場人物やイベントに対する反応を捉えたカットです。主要なアクションを見ている人物の表情や態度を撮影し、感情的な反応や心理的な変化を表現します。特に会話シーンでは、話している人物だけでなく、聞いている人物の反応も重要な情報となります。編集時には、アクションとリアクションの適切なバランスとタイミングが重要で、シーンの緊張感や感情の機微を伝える上で効果的です。



5. エスタブリッシングショット


シーンの冒頭で使用される、場所や状況を確立するための広角のカットです。建物の外観や街並み、部屋全体など、これから展開される場面の舞台を示します。視聴者に場所や時間帯、雰囲気などの情報を提供し、続くシーンへの導入として機能します。物語の展開上、重要な位置づけとなる場所を印象付けたり、場面転換を明確にしたりする効果があります。マスターショットとも言います。

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