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映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。
編集
映像をつなぎ合わせることで、制作者の意図を表現し、見る人に情報を伝え、創作物としての価値を高める作業です。一般的には撮影された映像、あるいはすでに編集され完成された映像について、その一部を別の一部あるいは全体と接続して、一連の映像とすることを繰り返す作業です。また付随する音声だけを操作したり、音楽を挿入する作業も編集の一部です。
物理的な接続作業という意味だけでなく、映像素材に新たな意味と構造を与える創造的な作業です。文章を編集するように、映像素材を精査し、意図的に選択、配置、調整することで、作品全体のメッセージや感情を効果的に伝えることを目的としています。
1. 情報の整理と構成
編集は情報の整理と構成の役割を担います。撮影された映像素材は、しばしば膨大で、そのままでは冗長であったり、焦点が不明確であったりします。編集者はこれらの素材を注意深く検討し、物語やテーマに沿って必要な部分を抽出し、不要な部分を削除します。そして、抽出された映像を意味のある順序で繋ぎ合わせることで、作品全体の流れを構築します。
2. 意図的な情報の取捨選択
編集は意図的な情報の取捨選択を通じて、作品に特定のメッセージや感情を込める役割を果たします。編集者はどの映像を使用し、どのように繋ぎ合わせるかという選択を通じて、視聴者の注意を特定の箇所に誘導したり、特定の感情を喚起したりすることができます。例えば、テンポの良いカットの連続は緊張感や高揚感を演出し、ゆっくりとしたカットの連続は静けさや哀愁を表現することができます。また、特定の映像を強調したり、特定の映像を省略したりすることで、作品のテーマやメッセージを強調したり、暗示したりすることができます。
3. 映像に新たな意味を与える
編集は映像に新たな意味を与える役割も担います。カットのつなぎ方や順番を変えるだけで、同じ映像素材でも全く異なる意味や印象を生み出すことができます。例えば、ある人物の笑顔の後に悲劇的な映像を繋げれば、その笑顔は悲しみを増幅させる効果を持ちます。また、複数の視点からの映像を組み合わせることで、出来事の多面性を表現したり、視聴者の解釈を誘導したりすることも可能です。
4. 芸術的な創造行為としての側面
編集の過程は映像素材という素材を組み合わせ、加工することで、独自の表現を生み出すからです。このプロセスでは美的センス、物語構成力、そして視聴者の心理を理解する能力が求められます。映像素材を単なる映像の羅列から、感情を揺さぶり、思考を刺激する創造物へと昇華します。
5. 時間と空間の操作
編集は時間と空間を操作する役割も担います。映像編集では、時間の流れを圧縮したり、拡張したり、逆転させたりすることができます。また、異なる場所で撮影された映像を繋ぎ合わせることで、時間や空間を超えた物語を創造することも可能です。
6. 音響・視覚効果との連携
編集は音響効果や視覚効果と連携することで、作品の表現力を高める役割も担います。音楽、効果音、ナレーションなどの音響要素と、テロップ、特殊効果、色彩調整などの視覚要素を組み合わせることで、映像に深みと豊かさを与えることができます。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
「編集」の本質
「編集」とは、事実を恣意的に切り取り、再構成する作業です。
この職能は視聴者の認知を誘導する力を持っています。従って悪用すれば特定な人々や広く社会を不安に陥れるかも知れません。インターネットや生成AIによって、世界はますます分断を深めていることから、映像編集者の善良な志が尊重される社会の実現が望まれます。
事実誤認を誘導する編集は、厳に慎まなくてはなりません。
