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卓(たく)

放送、映像、舞台、音響、照明業界で「卓」と言えば、一般的には調整卓(ちょうせいたく)のことを指します。映像や音声信号を調整、切り替え、ミックスなどを行ったり、照明や舞台装置を遠隔操作するための機材が多数配置された操作盤のことです。

「卓」英語では「コンソール」ですので、音響卓はミキシングコンソールともい言われます。

この「卓」は単なる操作・調整装置だけでなく、監視装置や計測装置を接続した複雑な系統を少人数で集中コントロールできるよう構成されているシステムを指します。スタジオに設備されているものばかりでなく、コンサートイベントなどでは、それぞれの機能を持った装置は現場で組み立てられ、機器の周辺には無数のケーブルが接続されている卓が見られます。

近年では、IP(インターネットプロトコル)によるネットワーク技術の導入が急速に進んでおり、放送・映像業界の「卓」を取り巻く環境も大きく変化しています。

​【関連記事】

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​【関連情報】

1. 音響調整卓(サウンドコンソール/ミキシングコンソール)


大規模コンサートでは、膨大な数の入力チャンネルと出力バスを処理できる、高性能なデジタルミキシングコンソールが主流です。


DiGiCo (SDシリーズ, Quantumシリーズ)

高音質と圧倒的なチャンネル数、柔軟なルーティング、直感的な操作性で世界のトップクラスのライブサウンドで圧倒的なシェアを誇ります。特にQuantumシリーズは、より高度なDSP処理能力と新しいユーザーインターフェースが特徴です。


Solid State Logic (SSL Liveシリーズ)

スタジオ機器で培った高音質技術をライブサウンドに持ち込み、クリアでパワフルなサウンドを実現します。


Yamaha (RIVAGE PMシリーズ, DM7シリーズ)

信頼性と操作性、サポート体制が充実しており、幅広い規模のコンサートで採用されています。DM7シリーズはDante標準搭載など、IP化への対応も進んでいます。


Avid (VENUE | S6Lシリーズ)

Pro Toolsとの連携が強力で、レコーディングやポストプロダクションとのシームレスな統合が可能です。


Lawo (mc²シリーズ)

放送局向けの高品質なシステムで知られ、近年はライブサウンドにも進出しています。IPネイティブな設計が特徴です。



特徴


Dante, MADI, RavennaなどのIPオーディオネットワーク対応

多数のチャンネルを低遅延で伝送し、システムの拡張性と柔軟性を高めています。


豊富なDSP(デジタルシグナルプロセッサー)

各チャンネルにEQ、コンプレッサー、ゲート、リバーブ、ディレイなどのエフェクトを内蔵し、外部機器なしで高度なサウンドメイクが可能です。


大規模な入出力とルーティング機能

数百チャンネル以上の入力を処理し、多数のモニターミックスやエフェクトセンドを同時に管理できます。


シーンメモリとオートメーション

曲やシーンごとに設定を瞬時に切り替えたり、フェーダーやパラメーターの動きを自動化したりすることで、複雑な演出に対応します。


イマーシブオーディオ(立体音響)システムとの連携

ヤマハのAFC Imageなど、音像を3次元的に配置・移動させるシステムと連携し、より没入感のあるサウンド体験を提供します。



2. 映像調整卓(ビデオスイッチャー/メディアサーバー)


大規模コンサートでは、複数のカメラ映像、VTR、CG、メディアサーバーからの映像などをリアルタイムで切り替え、合成し、巨大なLEDスクリーンやプロジェクションマッピングに表示します。


ビデオスイッチャー


Ross Video (Carboniteシリーズ, Acuityシリーズ)

多機能で信頼性が高く、様々な入出力フォーマットに対応します。


Blackmagic Design (ATEM Constellationシリーズ)

コストパフォーマンスに優れながらも、大規模な入出力と多機能を備えています。


Grass Valley (K-Frameシリーズ)

放送業界で培われた技術を活かし、安定した高品質な映像処理を実現します。


Sony (XVSシリーズ)

ライブプロダクション向けに設計されており、4K/HD対応やIP化への対応が進んでいます。



メディアサーバー


disguise (旧d3)

高解像度の映像コンテンツを複数出力し、プロジェクションマッピングやLEDウォールに同期させて表示するのに最適です。複雑な3Dプロジェクションマッピングやインタラクティブな演出に不可欠です。


Green Hippo (Hippotizer)

ライブパフォーマンスに特化したメディアサーバーで、直感的な操作と強力なリアルタイム映像処理能力が特徴です。


Resolume Arena

VJやリアルタイム映像合成に適したソフトウェアベースのメディアサーバーで、柔軟な映像演出が可能です。



特徴


4K/8K対応とHDR(ハイダイナミックレンジ)

より高精細で鮮やかな映像表現が求められています。


IPビデオ伝送(SMPTE ST 2110など)

映像信号のIP化により、伝送の効率化とシステムの柔軟性が向上しています。


ジェネレーター機能

リアルタイムでCGやグラフィックを生成し、映像演出に組み込むことができます。


マルチスクリーンマネジメント

複数のLEDスクリーンやプロジェクターに異なる映像をシームレスに出力・表示するシステム。



3. 照明調整卓(ライティングコンソール)


大規模コンサートの照明は、多数のムービングライト、LEDパーライト、ストロボ、レーザーなどを複雑に制御し、楽曲や演出に合わせて光を動かし、色を変え、効果を作り出します。


MA Lighting (grandMA3シリーズ)

世界中の大規模コンサートやツアーで最も広く使われているコンソールの一つです。圧倒的な機能性、柔軟性、操作性、そして安定性が特徴です。


Chamsys (MagicQシリーズ)

高機能でありながら比較的手頃な価格帯で、幅広い現場で利用されています。


ETC (Eos Family)

シアター照明で定評があり、細やかな調光制御やキュー(場面)管理に優れています。ライブコンサートでも導入が増えています。


Avolites (Titanシリーズ)

直感的なインターフェースとパワフルな機能で、スピーディーなプログラミングが可能です。



特徴


DMX, Art-Net, sACNなどのネットワークプロトコル対応

多数の照明器具を効率的に制御します。


高度なプログラミング機能

シーン、チェイス、エフェクトなどを細かく設定し、複雑な光のシーケンスを組むことができます。


3Dビジュアライザー連携

実際の機材を設置する前に、PC上で照明の動きや効果をシミュレーションできます。


メディアサーバーとの連携

映像と照明の同期を強化し、一体感のある演出を実現します。



4. 舞台装置制御システム


大規模コンサートでは、昇降するセット、移動するステージ、回転する舞台、LEDパネルの開閉など、様々な舞台装置がコンピュータ制御されています。


WICKE Stage Control (例: Motion Control Systems)

舞台機構制御に特化したシステムを提供しており、高精度な位置決めと安全性を確保します。


Tait (Navigator Automation System)

世界的に有名な舞台装置メーカーTaitが提供するオートメーションシステムで、複雑な舞台の動きをプログラムし、同期させることができます。


カスタムメイドのPLC(プログラマブルロジックコントローラ)システム

大規模なイベントでは、特定の演出に合わせてカスタムで開発されたPLC制御システムが導入されることも多いです。



特徴


コンピュータ制御による高精度な動作

複数の装置をミリ単位で正確に同期させながら動かすことができます。


安全システム

異常停止機能やフェイルセーフ機構など、安全性を最優先した設計がされています。


シーンプログラミング

音楽や演出のタイミングに合わせて、装置の動きをプログラムし、自動実行できます。


緊急停止機能

異常事態が発生した場合に、全ての装置を瞬時に停止させる機能が備わっています。

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