動画・映像制作用語
【Final cut】
finalcut
「Final cut(ファイナルカット)」とは、公開前の映画の最終決定版のこと、あるいはそれを決定する権利、またはAppleが開発・販売する、Mac用のノンリニアビデオ編集ソフト「Final Cut Pro」の通称です。
一般的によく「映画やテレビ番組などの映像作品において、ディレクターやプロデューサーによって承認された、一般公開される最終的な編集版」という説明がされますが、ファイナルカット(最終編集版)が、必ずしもプロデューサーやディレクターの純粋な承認だけで決まるわけはなく、多くの場合、その背後には出資者、つまりスタジオや製作委員会、配給会社などの意向が色濃く反映されています。
権利としてのファイナルカット
単に「最終編集版」という成果物だけでなく、その成果物を承認・決定するプロセスにおける権限を指す言葉としても使われます。例えば、「監督がファイナルカット権を持っている」と言えば、その監督が製作会社やプロデューサーの干渉なしに、作品の最終的な編集を自分の意思で決定できるという意味になります。
VP制作におけるファイナルカット
クライアントがある企業PRビデオの製作などにおいては、ファイナルカットの判断は当然クライアントに委ねられます。ディレクターやプロデューサーは、クライアントの意向を満たすため、最大限の努力をする責任があります。

【関連用語】
1. ディレクターズ・カット
映画、テレビドラマ、ドキュメンタリーなどの映像作品において、監督が本来意図した内容に再編集した版を指します。ファイナルカットが製作会社や配給会社の商業的判断で変更されることがあるため、監督が望む完全な形として後日リリースするものです。ただし、監督が自身の意図するバージョンをリリースしたいと強く望んでいても、それが実現するかどうかは、商業的な見込みに左右されます。製作会社や配給会社は、追加の編集費用、プロモーション費用、ディスク制作費用などを投じてでも、その「ディレクターズ・カット」が新たな収益を生み出す可能性、あるいは作品の評価を再構築することで長期的なブランド価値を高める効果があるか、といった点を総合的に判断されます。
2. Adobe Premiere Pro(アドビ プレミアプロ)
現在のノンリニア編集ソフトにおいて最も高いシェアを持つと広く認識されています。WindowsとMacの両方に対応しており、Adobe Creative Cloudのエコシステム(Photoshop, After Effects, Illustratorなど)との連携が非常に強力です。
3. DaVinci Resolve(ダビンチ・リゾルブ)
近年、急速にシェアを伸ばしています。特にカラーグレーディング機能において業界標準とされており、非常に強力です。無料版でもプロレベルの機能が使えるため、個人クリエイターや中小規模のプロダクションでの採用が増えています。Mac、Windows、Linuxに対応しています。
4. Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)
Appleが開発・販売しているため、Macユーザーに特化しています。Macのハードウェアとソフトウェアに最適化されており、高速な処理と直感的な操作性が特徴です。プロの映像制作現場でも多く利用されていますが、近年はPremiere ProやDaVinci Resolveに押され気味という見方もあります。