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動画・映像制作用語辞典 | 名古屋映像制作研究室

シンメトリー

映像制作における「シンメトリー(Symmetry)」とは、フレーム内の構図や被写体の形状、紋様が、画面縦の中心線を挟んで左右対称であることを言います。

ネット上には画面の中心線や中心点を基準として、左右、上下、あるいは回転において要素が対称的に配置されている状態を指すという記述も見られますが、映像業界ではあまり使われません。

古くから「対称」であることは「美しい」とされ、見る人に安定感や調和、静けさ、荘厳さといった印象を与える構図です。映像撮影においてもフレーミングの基本のひとつです。


シンメトリーは、安定的で誰でも思いつく構図ですので、カメラやデザインを始めたての頃は多用しがちですが、安易に依存すると品位を低下させる危険があります。経験を積んだクリエーターには、微妙に崩すことを喜びにしている人もいます。



シンメトリカルな被写体をシンメトリーに撮影するには


1. わずかなズレが目立つ

シンメトリーな被写体は、完璧な対称性を持っているからこそ、カメラの向きや角度がほんの少しでもずれると、その非対称性が非常に目立ってしまいます。カメラを正対させる技術が重要です。


2. 単調になりやすい

正面からのシンメトリーな構図は、安定感がある反面、変化が少なく、単調で面白みに欠ける映像になりやすいことがあります。被写体の奥行きや立体感が表現しにくく、平坦な印象になることがあります。


3. フォーカス合わせのシビアさ

シンメトリーな被写体全体に均等にフォーカスを合わせる必要がある場合、フォーカスの深さ(被写界深度)を適切にコントロールする必要があります。


4. ライティングの難しさ

正面からの直接的な光は、シンメトリーな形状を強調する一方で、陰影が少なく、のっぺりとした印象を与えがちです。左右対称のライティングを心がける必要がありますが、完全に均等にすることは難しく、わずかな差が目立ってしまうことがあります。




撮影時の注意点



ライブビュー機能と拡大表示

ライブビュー機能で細部を確認しながら、拡大表示でピントの精度を高めます。


グリッド表示と水準器

ファインダーやライブビューに表示されるグリッド線や水準器を活用し、水平・垂直を厳密に調整します。


丁寧なフレーミング

わずかなズレも許容しないつもりで、丁寧にフレーミングを行います。


ライティングの工夫

直接光だけでなく、間接光や複数の光源を組み合わせることで、陰影をコントロールし、立体感を出すことを試みます。左右の光量を微調整することも重要です。


構図の工夫

単純な正面構図だけでなく、前景や背景に要素を取り入れたり、ローアングルハイアングルからわずかに変化を加えたりすることで、単調さを回避します。


撮影後の調整

画像編集ソフトで、わずかな歪みや色のバランスなどを微調整することも有効です。

<h1 class="font_0">シンメトリー</h1>

​【関連用語】

1. 三分割構図-二分割構図


写真や映像の構図を決定する上で最も基本的な手法の一つです。画面を縦横それぞれ3つ(三分割構図)または2つ(二分割構図)に分割し、その交点や線上に被写体を配置することで、安定感があり、かつ視覚的にバランスの取れた構図を作ることができます。



2. 黄金比


画面を約1:1.618の比率で分割する構図法です。三分割構図よりもさらに洗練された比率とされ、古くから芸術作品で用いられてきました。被写体をこの分割線上や交点に配置することで、自然で美しいバランスを実現できます。特に風景写真や建築物の撮影で効果を発揮し、人間の目が最も心地よく感じる構図の一つとされています。デジタルカメラやビデオカメラの中には、黄金比のガイドラインを表示できる機能を搭載しているものもあります。



3. アイライン


人物の視線の高さやその方向性を考慮した構図法です。三分割構図と組み合わせて使用されることが多く、被写体の視線の先に適切な余白(アイルーム)を設けることで、画面に方向性と奥行きを持たせます。特に人物を撮影する際に重要で、視線の方向に余白を設けることで、その人物の表情や心理をより効果的に表現できます。複数の人物が登場するシーンでは、視線の交わり方にも注意を払う必要があります。



4. センターフレーミング


被写体を画面の中央に配置する構図法です。二分割・三分割構図とは異なるアプローチですが、特定の効果を狙う場合に使用されます。例えば、被写体の重要性や威厳を強調したい場合や、完全な対称性を表現したい場合に効果的です。ウェス・アンダーソン監督の作品のように、意図的にセンターフレーミングを多用することで、独特の視覚スタイルを確立している例もあります。



5. リーディングライン


視線を誘導する線的要素を利用した構図法です。道路、川、線路などの直線的な要素や、曲線的な要素を使って、観者の目を特定の方向に導きます。三分割構図と組み合わせることで、より効果的な視覚的ナラティブを構築できます。これらの線は、実際の物理的な線だけでなく、光や影、色の配置によっても作り出すことができます。



6. ダイナミックシンメトリー


より複雑な幾何学的構図法です。画面を対角線や三角形で分割し、その交点や線上に被写体を配置します。三分割構図を基本としながら、より動的で緊張感のある構図を作り出すことができます。特に、動きのあるシーンや劇的な効果を狙う場合に有効です。また、複数の被写体の関係性を視覚的に表現する際にも活用されます。デジタル時代になり、これらの複雑な構図を即座に確認できるようになったことで、より積極的に活用されるようになっています。

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