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映像のちからで漁業を変革できないか

2 時間前
読了時間: 8分

海水温や海流の変化、担い手不足など、漁業を取り巻く環境は大きく変化しています。映像は、海中環境の可視化、熟練漁師の判断や技術の継承、養殖監視、漁獲記録、水産研究の共有などに活用できます。SynAppsは、映像をPR手段にとどめず、海や漁業の変化を記録・蓄積し、学習や判断に活かすための情報資産として使えないかを提案します。



はじめに


海の中では何が起きているのか。

魚はどこにいるのか。海水温の変化によって漁場はどう変わったのか。魚の大きさや数はどう変化しているのか。養殖魚はどのような状態にあるのか。

漁業には、人間の目から直接見ることのできない情報が数多くあります。

近年、日本近海では海水温の上昇や海流の変化などによって、魚種や漁場にも変化が生じています。これまで獲れていた魚が獲れなくなり、逆に別の魚が獲れるようになった地域もあります。

一方で、漁業従事者の減少や高齢化によって、長年培われてきた漁の技術や判断を次の世代へどう伝えるかという問題もあります。

こうした漁業の課題に、映像をもっと利用できないか。

SynAppsはそう考えています。


網に入った魚群を撮影するダイバー


海の中を「見える情報」にする


農業では、畑へ行けば作物を見ることができます。

漁業ではそうはいきません。

海面から見える情報は限られ、漁業者は海況、潮流、水温、天候、魚群探知機の情報、過去の経験などから海中の状態を推測しています。

水中カメラ、ROV(水中ドローン)、ソナー、魚群探知機、海洋観測データなどを組み合わせれば、これまで推測するしかなかった海中の状態を、映像として見ることができます。

映像は単に海中を撮影するためのものではありません。

海の状態を知るためのデータの一つとして利用できます。



漁師の「判断」を映像で残す


長年漁業に携わってきた人は、さまざまな情報から漁場を判断しています。

海の色。

波。

風。

潮の流れ。

鳥の動き。

季節。

魚群探知機の反応。

過去の漁獲状況。

経験を積んだ漁師にとっては当たり前の判断でも、それを言葉だけで次世代へ伝えることは簡単ではありません。

実際の操業を撮影しながら、

「今、何を見たのか」

「なぜここで網を入れるのか」

「この魚群探知機の表示をどう読んでいるのか」

「なぜ今日は漁場を変えるのか」

を記録する。

作業だけではなく、判断の根拠まで映像に残すことができれば、漁業技術の継承にも役立ちます。



海洋環境の変化を映像で記録する


海水温、潮流、塩分、溶存酸素量など、海に関する数値データはさまざまな形で観測されています。

そこに映像を加えることができます。

同じ海域を継続して撮影する。

海藻の状態を見る。

魚種の変化を見る。

海底の状態を見る。

定置網に入る魚の種類や大きさを記録する。

養殖場の状態を継続的に撮影する。

数値だけでは分からない変化を映像として残すことで、海洋環境の変化を別の角度から捉えることができます。

長期間蓄積された映像は、将来の研究資料にもなり得ます。



漁獲物を撮影するだけでもデータになる


水揚げされた魚をカメラで撮影する。

一見すると単純なことですが、継続して行えば大きな意味を持つ可能性があります。

魚種。

数量。

大きさ。

色。

傷。

成熟状態。

混獲された魚。

これらを画像や映像として記録し、日時、漁場、水温、漁法などの情報と関連づける。

さらにAIによる画像解析を利用すれば、魚種判別やサイズ測定、数量計測などを自動化できる可能性があります。

映像は、人が見るための記録から、コンピューターが解析するためのデータへと用途を広げています。



養殖業では映像が「観察装置」になる


養殖では、生き物の状態を継続して観察することが重要です。

魚の泳ぎ方。

餌への反応。

魚群の密度。

魚体の状態。

網の汚れ。

死魚の発生。

水中カメラを設置すれば、こうした状態を継続して確認できます。

さらに水温、酸素濃度、給餌量などのデータと映像を組み合わせれば、

「魚の動きが変わったとき、海中では何が起きていたのか」

を後から確認することもできます。

遠隔監視やAI画像解析と組み合わせれば、映像は養殖場を監視するセンサーの一つになります。



漁業機械や新しい技術を可視化する


漁業でも機械化、情報化、自動化が進んでいます。

魚群探知機。

ソナー。

自動選別機。

水中ドローン。

養殖設備。

給餌装置。

漁船の省エネルギー技術。

衛星データを利用した漁場予測。

こうした技術は、機械そのものを撮影するだけでは十分に伝わりません。

機械が何を検出しているのか。

取得したデータをどう判断するのか。

導入することで操業がどう変わるのか。

人間が行っていた作業の何を機械が担うのか。

実写、3DCG、インフォグラフィックを組み合わせれば、機械内部や海中で起きていることまで可視化できます。

SynAppsがこれまで企業の研究開発や産業技術を映像化してきた経験を活用できる分野です。



水産研究の成果を現場へ伝える


大学、水産研究機関、自治体、漁協、企業では、さまざまな研究が行われています。

海洋環境。

魚類生態。

資源管理。

養殖。

疾病。

餌料。

漁具。

海洋観測。

しかし、その成果が論文や報告書だけで伝えられている場合、漁業現場や一般社会からは理解しにくいことがあります。

調査船で何を調べているのか。

海中で何を計測しているのか。

実験によって何が分かったのか。

新しい技術によって何が変わるのか。

研究現場そのものを映像化することで、研究成果をより具体的に伝えることができます。



魚が食卓に届くまでを見えるようにする


消費者がスーパーや鮮魚店で見る魚は、水産業の最終段階です。

その前には、

漁場探索。

操業。

船上での処理。

水揚げ。

選別。

競り。

加工。

冷蔵・冷凍。

輸送。

という長い過程があります。

魚の価格が上がったときにも、その背景は消費者からほとんど見えません。

不漁なのか。

燃油価格なのか。

魚種が変化したのか。

漁場が遠くなったのか。

物流コストなのか。

映像によって漁業の過程を見せることは、「漁師は大変だ」と訴えるためではありません。

水産物がどのように生産され、私たちのところへ届いているのかを社会が知るための情報をつくることです。



漁業という仕事を伝える


漁業の担い手不足は深刻な問題です。

2026年の水産白書でも、水産業の担い手確保が独立したテーマとして取り上げられています。

漁業に興味を持つ人が知りたいのは、海の美しさや大漁の場面だけではありません。

何時に出港するのか。

船の上で何をするのか。

どれくらい体力が必要なのか。

どんな資格が必要なのか。

収入はどのように決まるのか。

天候によって仕事はどう変わるのか。

危険はどこにあるのか。

漁がない日は何をしているのか。

実際の仕事を映像で見せることは、漁業への就業を考える人にとって重要な判断材料になります。



「漁業の映像を作る」ことが目的ではありません


SynAppsは、「漁業PR動画を作りませんか」と提案したいわけではありません。

考えたいのは、

漁業が抱えている課題の中に、映像を使うことで改善できるものがないか

ということです。

例えば、

  • 熟練漁師の技術と判断を記録する

  • 海中環境を継続して観察する

  • 海水温や海況データと映像を関連づける

  • 漁獲物を映像データとして蓄積する

  • 養殖魚の状態を遠隔監視する

  • AIによって魚種や数量を判別する

  • 漁業機械や新技術の仕組みを可視化する

  • 水産研究の成果を現場へ伝える

  • 漁業という仕事を次世代へ伝える

  • 生産者と消費者の情報の隔たりを小さくする

こうした用途では、映像は広告ではなく、漁業を支える情報技術の一つになります。



映像を「記録」から「知識」に変える


例えば、日本各地の漁港や漁場で撮影された映像を蓄積することを考えてみます。

「北海道・ブリ・海水温」

「三陸・サケ・定置網」

「伊勢湾・海底・貧酸素」

「養殖マダイ・摂餌行動」

と検索すると、そのときの海中映像、漁獲状況、海水温、気象条件、漁業者のコメントなどを見ることができる。

そのような漁業映像データベースがあれば、映像は過去を記録するだけのものではなくなります。

海の変化を比較する。

地域を越えて情報を共有する。

研究に利用する。

若い漁業者が学ぶ。

AIが解析する。

長期間蓄積された映像そのものが、漁業の知識資産になります。



見えない海を、見える知識に


SynAppsは約40年にわたり、企業の研究開発、技術、製造工程、教育、研修などを映像化してきました。

見えない現象を可視化すること。

複雑な技術を理解できる形にすること。

人が持っている知識を映像として残すこと。

これまで企業映像制作で培ってきたこうした経験を、漁業にも利用できないかと考えています。

漁業者、漁業法人、漁協、自治体、大学・研究機関、漁業機器メーカー、養殖事業者、食品企業、IT企業など、漁業の未来に課題を感じている皆様からのお話をお聞きしたいと思っています。

最初から「映像を作りたい」という相談である必要はありません。

漁業の現場にある課題をお聞きし、その中に映像が役に立つ部分があるかを考える。


映像のちからで、漁業を変革できないか?

SynAppsは、この問いに関心を持つ皆様との取り組みを求めています。

映像制作を発注する企業担当者のための情報発信です。

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執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。

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