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PLANNING / SCENARIO
なぜBtoB映像制作には企画・シナリオが必要なのか
企画は企業の目的と情報を映像へ設計すること。シナリオは、その設計を制作前に検討・共有できる形にするものです。
このページで考えること
企画を「面白いアイデア」、シナリオを「ナレーション原稿」と捉えず、企業映像の基本設計書と考えます。
撮影や編集より前に、何を誰にどう伝えるのかを決める。BtoB映像制作では、この「作る前に考える工程」が、内容・品質・予算・合意形成を支えます。
企業について調べ、製品や技術を理解し、伝えるべき情報が見えてきた。
しかし、それだけでは映像にはなりません。
何を伝えるのか。どの順序で伝えるのか。何を映像で見せるのか。何を言葉で説明するのか。そして、限られた時間の中で何を優先するのか。
集めた情報を一つの映像へ組み立てる工程が必要です。その中心に、企画とシナリオがあります。
企画は「面白いアイデアを考えること」だけではない
映像制作で「企画」というと、斬新なアイデアや面白い演出を考える仕事だと思われることがあります。
もちろん、表現上のアイデアも企画の一部です。
しかし、BtoB映像制作では、その前に考えることがあります。
なぜ映像を作るのか。誰に見せるのか。その人に何を理解してもらうのか。その先で、どのような判断や行動につなげたいのか。企業が持つ情報のうち、何を伝える必要があるのか。
BtoB映像における企画とは、企業の目的と情報を、映像として実現可能な方法へ変換することです。
情報を集めただけでは伝わらない
企業の中には多くの情報があります。
製品の特徴、技術の仕組み、開発の背景、導入効果、製造工程、企業理念、社員の経験。
これらがすべて事実として重要であっても、順不同に並べれば分かりやすい映像になるわけではありません。
たとえば新技術を説明する場合でも、従来方式の問題から説明するのか、新技術の特徴から見せるのか、実際の使用場面から入るのか、開発者の言葉から始めるのかで、視聴者の理解の仕方は変わります。
何を伝えるかだけでなく、どの順序で理解してもらうかを考える必要があります。
映像で見せること、言葉で説明すること
映像制作では、すべてを言葉で説明する必要はありません。
製品の動きなら、実際に見せた方が早いことがあります。製造工程なら、現場を撮影することで理解できることがあります。構造や原理なら、CGや図解の方が適しているかもしれません。
一方で、映像だけを見ても意味が分からないものもあります。
なぜその工程が重要なのか。従来方式と何が違うのか。その技術によって何が可能になったのか。こうしたことは、ナレーション、テロップ、インタビューなどで補う必要があります。
映像制作では、何を見せ、何を言葉にするかを設計します。
シナリオはナレーション原稿ではない
シナリオという言葉から、ナレーターが読む文章を思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし、BtoB映像制作でシナリオを重視する理由は、ナレーションを書くためだけではありません。
どの情報を、どの順序で伝えるのか。どんな映像を使うのか。どこでインタビューを入れるのか。どこにCGや図解が必要なのか。どんな言葉で補足するのか。
シナリオは、まだ存在しない映像を、制作前に検討できる形へ置き換えた基本設計書です。
なぜ映像をいったん言葉にするのか
完成していない映像について話し合うことは、意外に難しいものです。
「先進的な感じにしたい」「技術力が伝わる映像にしたい」「もっと分かりやすくしたい」といった言葉から思い浮かべる映像は、人によって違います。
発注担当者が考えている完成像と、制作会社が考えている完成像が同じとは限りません。しかも企業案件では、さらに上司や関係部署などが加わります。
映像という、まだ存在しないものについて合意するために、いったん言語化する。これがシナリオの重要な役割です。
シナリオは完成映像を縛るものではない
では、シナリオに書いた通りに一字一句、一カットずつ作らなければならないのでしょうか。
そうではありません。
撮影現場で、企画時には想定していなかった良い場面が見つかることがあります。インタビューで、予想していなかった重要な話が出てくることもあります。編集してみると、構成を変えた方が伝わりやすいと判断する場合もあります。
シナリオの目的は、何を目的として作っているのかという基準を共有したうえで、必要な変更を判断できるようにすることです。
変更しやすい段階で決める
映像制作には、後戻りしやすい工程と、しにくい工程があります。
ナレーションの一文を書き換えることは比較的簡単です。しかし撮影が終わった後で「別の工程を撮るべきだった」と分かれば、再撮影が必要になります。
工場なら生産予定を調整し直す。出演者なら再び日程を確保する。遠方ならスタッフがもう一度移動する。CG完成後に説明内容が変われば、CGも作り直します。
変更しやすい段階で、決められることを決めておく。そのためにもシナリオがあります。
絵コンテはいつ必要なのか
映像制作では、シナリオとともに絵コンテを使うことがあります。
絵コンテは、画面構成や撮影方法などを視覚的に共有するために有効です。
しかし、すべてのBtoB映像で最初から詳細な絵コンテが必要とは限りません。
企画初期には、この情報は必要か、事実関係は正しいか、この順序で理解できるか、この内容を公開してよいか、といった情報や構成そのものについて議論することが最優先です。
まず情報と構成をシナリオで整理し、そのうえで画面を事前に決める必要がある部分について絵コンテを作る。両者は役割と制作段階が違います。
シナリオは制作スタッフの共通設計図でもある
シナリオを見るのは、クライアントだけではありません。
ディレクター、カメラマン、照明スタッフ、CGクリエイター、編集者、ナレーター。
制作に関わる人が、何を作るのかを理解するためにも使います。
シナリオは、発注企業と制作会社の間だけでなく、制作プロジェクト全体で完成像を共有するための設計図でもあります。
シナリオから制作仕様が見えてくる
シナリオによって何を作るかが具体化すると、必要な制作作業も見えてきます。
どこで撮影するのか。何日撮影するのか。どんなスタッフが必要なのか。出演者は必要か。CGはいくつ必要か。ナレーションは使うのか。
こうした条件が分からなければ、必要な作業量も正確には分かりません。
シナリオは、映像の内容を設計するだけでなく、制作仕様を具体化する基礎にもなります。
企画・シナリオは「作る前に考える」ためにある
映像制作には、多くの技術があります。撮影、照明、録音、CG、編集、音楽、ナレーション。
しかし、どれほど高い技術を使っても、何を伝えるべきか、誰に伝えるのか、どのように理解してもらうのかが曖昧なら、その技術をどこへ向ければよいのか決まりません。
企画とは、企業の目的と情報を、実現可能な映像へ設計すること。シナリオとは、その設計を制作前に検討し、共有し、合意できる形にすること。
ただし、企業案件では、シナリオができたから制作へ進めるとは限りません。誰がその内容を確認し、誰が最終的に決定するのか。企業という組織で映像を作る以上、次に必要になるのが合意形成です。