BtoB / BtoC
BtoBとBtoCでは、映像制作の何が違うのか
違うのは、映像のジャンルではありません。誰が、何のために映像を見るのかという前提条件です。
このページで考えること
BtoBとBtoCを「映像の見た目」ではなく、視聴者との関係や情報設計の違いとして整理します。
発注者が企業だからBtoB、という意味ではありません。対象者、前提知識、必要な情報、尺、評価方法、制作プロセスまで、映像制作で重視するものは変わります。
BtoBとBtoCという言葉は、一般には企業間取引と、企業から一般消費者への取引を区別するために使われます。
映像制作でも、この違いは重要です。
ただし、「企業が発注した映像=BtoB映像」という意味ではありません。
企業が発注するテレビCMやWeb広告の多くは、一般消費者に商品やサービスを知ってもらい、購入などにつなげるためのものです。発注者は企業でも、そこで行われているコミュニケーションはBtoCです。
一方、取引先への製品・技術紹介、営業支援、社員教育などでは、特定の企業や職種、専門家、社員などを対象に情報を伝えます。
違うのは映像のジャンルではありません。誰が、何のために映像を見るのかという前提条件です。
視聴者との関係が違う
一般消費者を対象とする映像では、視聴者がその情報を必要としているとは限りません。
テレビCM、Web広告、SNS動画などでは、興味のない人にも映像を見てもらう必要があります。そのため、注意を引く、短時間で理解できる、感情を動かす、記憶に残す、といったことが重要になります。
一方、BtoBでは、視聴者自身に映像を見る理由がある場合があります。製品の導入を検討している、新しい技術について調べている、商談で説明を受けている、業務を習得する必要がある、といった状況です。
BtoCではまず「見てもらう」ことが課題になる場合が多い。BtoBでは、見る理由を持っている人に、必要な情報をどう届けるかが課題になる場合があります。
視聴者の前提知識が違う
誰に向けて映像を作るかによって、必要な説明の水準も変わります。
一般消費者向けの映像なら、その商品や分野について初めて知る人でも理解できるように説明する必要があるでしょう。
しかし、BtoBでは視聴者が専門家であることがあります。製造設備の映像を、その設備を導入する技術者が見る。新素材の紹介映像を、製品開発担当者が見る。業務マニュアルを、その業務に従事する社員が見る。
対象者が何を知っていて、何を知る必要があるのか。そこから情報の水準を決めます。
情報を減らせば分かりやすくなるとは限らない
不特定多数へ伝える映像では、情報を絞ることが重要になる場合があります。
BtoBでも不要な情報を入れる必要はありません。しかし、専門的だから、細かいから、長くなるからという理由だけで情報を削ると、視聴者が判断するために必要な内容まで失うことがあります。
「この説明は難しいから削る」ではなく、「この対象者が目的を達成するために、この情報は必要か」と考えます。
映像の長さも目的から考える
近年は、動画は短い方がよいという考え方をよく目にします。不特定多数の視聴者を対象にする場合には、合理的な考え方です。
しか し、BtoB映像の尺も一律に短ければよいとは限りません。
3分で十分なら3分。10分必要なら10分。短さは目的ではなく、設計の結果です。
公開規模と価値は一致しない
映像というと、何人に見られたかが評価されやすい傾向があります。
しかし、BtoB映像には一般公開されないものもあります。重要な取引先だけに見せる映像、特定の技術者に説明する映像、社員教育に使う映像、社内で技術を継承するための映像などです。
100万人に見られても目的を果たせない映像がある一方で、20人にしか見られなくても大きな価値を持つ映像があります。
成功の基準が違う
営業支援なら、顧客が製品やサービスを理解し、商談を進める材料になったか。技術紹介なら、技術の特徴や優位性を対象者が正確に理解できたか。社員教育なら、必要な知識や手順を習得できたか。
重要なのは、最初に何を目的として作った映像なのかに戻って評価することです。
制作プロセスも変わる
BtoBとBtoCの違いは、完成した映像だけに現れるわけではありません。
企業のBtoB映像では、専門部署の確認、上司や経営層の承認、予算決裁など、複数の意思決定が関わる場合があります。
誰が何を決めるのか。どの段階で確認するのか。こうしたプロセスも映像制作の一部に なります。
BtoBとBtoCは映像ジャンルではない
インタビュー、ドラマ、ドキュメンタリー、CG、アニメーションなど、同じ表現手法をBtoBにもBtoCにも使えます。
違うのは、その手法を選ぶ理由です。
BtoBとBtoCは、映像の見た目やジャンルを分類する言葉ではなく、映像制作の前提条件を考えるための区分だと私たちは考えています。