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BtoB映像制作をどう発注するか
企業が決めること、制作会社が提案すること、両者で決めることを分けて考えると、映像制作の発注方法が見えてきます。
このページで考えること
映像制作会社へ何を伝えればよいのか。予算や見積はどう考えるのか。相見 積もりでは何を比較するのか。発注の基本を整理します。
発注企業が映像制作の専門家になる必要はありません。一方で、制作会社にすべて任せればよいわけでもありません。目的、対象、用途、予算、納期を共有し、そこから制作仕様を一緒に決めていきます。
映像制作会社へ相談するとき、「どこまで決めてから問い合わせればよいのか分からない」という担当者は少なくありません。
会社案内映像を作りたい。新製品を紹介したい。展示会で使う映像が必要になった。
そこまでは決まっていても、尺、構成、撮影方法、スタッフ、CGなど、具体的な制作方法までは分からない。それで当然です。
BtoB映像制作の発注工程は、企業の目的を具体的な制作仕様へ変えていくプロセスです。
企業側は「制作方法」まで決めなくていい
映像を作ろうとすると、インタビュー形式にする、ドローンを使う、CGを入れる、3分程度にするといった制作方法から考えたくなることがあります。
しかし、それらは目的を実現するための手段です。
企業側がまず考えるべきなのは、なぜ映像が必要なのか、誰に伝えたいのか、何を実現したいのか、どこで使うのか、いつ必要なのか、どの程度の予算を考えているのか、といった企業側にしか分からない条件です。
撮影方法や表現手法は、その条件を理解したうえで制作会社が提案できます。
「何を作りたいか」より「なぜ必要なのか」
たとえば、「3分の製品紹介映像を作りたい」という相談があったとします。
制作会社は、3分の映像を作ることはできます。
しかし、誰が見るのか、どこで使うのか、何を理解してほしいのか、なぜ3分なのかが分からなければ、それが適切な仕様なのか判断できません。
「何を作りたいか」は相談の入口になります。しかし、制作会社が知りたいのは、その奥にある「なぜそれを作りたいのか」です。
企業側にしか分からないこと
制作会社がどれだけ企業について調べても、外部からは分からないことがあります。
なぜ今、この映像が必要なのか。誰に見せたいのか。社内でどんな課題があるのか。営業現場で何に困っているのか。製品について何を理解してもらいたいのか。いつ、どこで使うのか。社内では誰が関係するのか。
賢い発注は、完成する映像を細かく指定することではなく、映像を作る背景や条件を制作会社へ伝えることから始まります。
制作会社が考えること
企業から目的や条件を聞いたら、それを実際の映像制作へ変換するのが制作会社の仕事です。
どのような構成が適しているのか。何分程度必要なのか。実写で見せるべきか。CGが必要なのか。インタビューを使うのか。何日撮影するのか。どんなスタッフが必要なのか。どのような制作工程にするのか。
制作会社は、企業から言われた制作方法をそのまま実行するだけではなく、目的に対してどのような映像が適切なのかを提案する役割を持っています。
両者で決めるのが「仕様」
企業側が目的や条件を伝え、制作 会社が制作方法を提案する。
そのやり取りによって、何を作るのか、どんな内容にするのか、何を撮影するのか、どこまでCGを作るのか、どんなスタッフ構成にするのか、どのような工程で制作するのかが具体的になります。
仕様とは、企業の要件と制作会社の専門性をすり合わせた結果として決まるものです。
予算も制作条件の一つ
映像制作を相談するとき、予算を先に伝えることに抵抗を感じる場合があります。
しかし映像制作では、同じ目的でも複数の実現方法があります。
撮影を1日にするか3日にするか。少人数で撮影するか、大きなスタッフ編成にするか。社員に出演してもらうか、プロの出演者を使うか。実写で説明するか、CGを作るか。
予算の目安が分かれば、制作会社は限られた予算を何に使うべきかを考えることができます。
予算が決まっていない場合はどうするか
すべての企業で、相談開始時に予算が決まっているとは限りません。
初めて映像を作る場合には、「そもそも、どのくらいかかるのか分からない」ということもあります。
その場合は、予算が未定であることをそのまま伝えればよいでしょう。
重要なのは、金額だけを聞くことではありません。何に費用がかかり、その費用によって何が実現できるのかを理解することです。
納期は「完成希望日」だけではない
企業映像には、展示会、新製品発表、採用活動、株主総会、社員研修など、使用開始日が決まっているものがあります。
その日までに、企画、シナリオ、社内確認、撮影、CG制作、編集、ナレーション収録、試写、修正、最終承認を終える必要があります。
納期は制作会社だけのスケジュールではなく、発注企業の意思決定を含めたプロジェクト全体の条件として考える必要があります。
見積金額だけでは比較できない
複数の制作会社から見積を取ると、金額に大きな差が出ることがあります。
しかし、3社が同じものを作るとは限りません。
撮影日数が違う。スタッフ数が違う。CGの量が違う。企画やシナリオ制作の範囲が違う。ナレーションの有無が違う。修正対応の条件が違う。
映像制作の見積は、金額と仕様をセットで見る必要があります。
相見積もりには二つの考え方がある
複数社へ見積を依頼する場合には、大きく二つの方法があります。
一つは、同じ仕様を提示して価格を比較する方法です。
もう一つは、目的や条件だけを伝え、各社に企画や制作方法を提案してもらう方法です。
この場合は、各社が提案するもの自体が違います。
仕様を比較するのか、提案を比較するのか。ここを混同すると、見積比較が難しくなります。
見積は「制作内容の確認書」でもある
見積書というと、金額を確認する書類だと思われがちです。
しかし映像制作では、企画、撮影、スタッフ、機材、CG、編集、ナレーション、音楽など、何に費用が発生するのかが示されます。
見積を見ることで、制作会社がどのような制作を想定しているのかも分かります。
発注後に仕様が変われば、費用も変わる
作が始まった後で、撮影場所を増やしたい、CGを追加したい、出演者を追加したい、構成を大きく変更したい、ということもあります。
必要な変更であれば、変更すること自体に問題はありません。
発注時に仕様を明確にするのは、変更を禁止するためではなく、変更前と変更後で何が変わったのかを双方が判断できるようにするためです。
制作会社選びでは、実績の見方も変わる
制作会社を選ぶとき、多くの人が制作実績を見ます。
それは重要です。
ただし、「映像が格好いい」「有名企業の実績がある」ということだけで、自社に適した会社かどうかは判断できません。
どのような案件を多く経験しているのか。企業についてどう理解しようとするのか。目的をどのように把握するのか。何を重要な情報と判断するのか。制作工程をどう考えているのか。
映像制作会社によって、得意な領域だけでなく、映像制作そのものに対する考え方が違います。
発注に必要な情報を三つに分類する
映像制作に慣れていない担当者が、映像制作の専門的な仕様まで企業側で決めてしまう必要はありません。
反対に、「何も分からないので全部お任せします」では、制作会社は企業が何を実現したいのか判断できません。
企業が決めること:目的、対象、用途、予算、納期などの条件。
制作会社が提案すること:企画、構成、表現方法、制作方法、制作体制など。
両者で決めること:実際に何をどこまで作るのかという制作仕様。
映像制作の発注とは、完成品の形を細かく指定することではありません。
企業の目的と条件を制作会社へ伝え、専門家の提案を受けながら、作るべき映像を一緒に定義する作業です。