ORIENTATION / PRODUCTION COMPANY
映像制作会社には「指向性」がある
制作会社によって、映像制作で何を重視するかは違います。
このページで考えること
制作会社を「何が作れるか」だけでなく、「映像制作において何を重視する会社なのか」という観点から見る意味を考えます。
テレビ、広告、映画、Web、SNS、企業映像。主として経験してきた領域が違えば、制作で重視するものや判断の仕方にも違いが生まれます。BtoB映像制作会社という考え方は、その違いを見るための一つの物差しです。
映像制作会社を探すとき、多くの企業がまず制作実績を見ます。
会社案内を作ったことがあるか。製品紹介の実績があるか。CGを制作できるか。インタビュー撮影が得意か。
どんな映像を作れる会社なのかを確認することは、もちろん重要です。
しかし、もう一つ見ておきたいことがあります。その制作会社は、映像制作において何を重視しているのか。
映像制作会社には、それぞれ経験してきた領域があります。テレビ番組、CM、映画、Web広告、SNS動画、企業映像。
使うカメラや編集ソフトが同じでも、映像の目的や視聴者が違えば、制作するときに重視することも違います。
私たちは、こうした違いを制作会社の「指向性」と考えています。
映像制作会社は、すべて同じ仕事をしているわけではない
「映像制作」という言葉には、非常に広い仕事が含まれています。
テレビ番組を作る。CMを作る。映画やドラマを作る。ミュージックビデオを作る。SNS動画を作る。企業の製品や技術を紹介する。社員教育映像を作る。
どれも映像制作です。撮影、録音、編集、CGなど、共通する技術も多くあります。
しかし、それぞれの映像が果たす役割は同じではありません。
目的が違えば、同じ技術を使っていても、制作プロセスで重視するものは変わります。
BtoBとBtoCでは、映像制作で重視するものが違う
一般消費者を対象とする映像では、まず見てもらわなければ始まりません。
興味を引く。感情を動かす。印象に残す。短時間で魅力を伝える。
こうしたことは重要です。
一方、BtoB映像では別の条件があります。視聴者が技術者である。商談の中で使用する。専門的な情報を正確に説明する。社内教育として使用する。限られた取引先だけに見せる。
どちらが優れているという話ではありません。目的や対象が違えば、映像制作で重視するものも違う、ということです。
制作経験は、判断の仕方にも影響する
制作会社は、案件を経験することでノウハウを蓄積します。
テレビ番組を長く作ってきた会社なら、視聴者を飽きさせない構成や演出について豊富な経験があるでしょう。
広告を多く作ってきた会社なら、短い時間で商品を印象づける表現に強いかもしれません。
映画やドラマの制作経験が多ければ、物語や演技、映像表現について高い専門性を持っているでしょう。
同じようにBtoB映像を多く作ってきた会社では、企業から専門情報を聞き取る、事業や技術を理解する、複数の関係者と内容を確認する、専門情報をシナリオへ整理する、制作仕様と見積を対応させる、といった経験が蓄積されていきます。
どの分野を主として経験してきたかは、単なる実績の違いではありません。制作にあたって何を確認し、何を重視し、どのように判断するかにも影響します。
同じ「製品紹介」でも考え方は変わる
たとえば、新しい産業機器を紹介する映像を作るとします。
製品を魅力的に撮影し、テンポよく編集し、印象的な音楽を付ける。それによって製品への興味を高めることができます。
それが目的なら、適切な表現です。
しかし、映像を見るのが導入を検討している技術者なら、従来方式と何が違うのか、どのような条件で性能を発揮するのか、導入すると何が変わるのか、どんな工程で使用するのか、といった情報が必要かもしれません。
同じ製品紹介映像でも、目的と対象によって、何を重視して設計するかは変わります。
「映像として魅力的」と「目的に適している」は同じではない
映像制作者は、映像を作ることが仕事です。
だから当然、面白い映像にしたい、美しい映像を撮りたい、新しい表現を使いたい、印象的な編集をしたい、という意識を持っています。
それ自体は、映像制作者に必要なものです。
しかしBtoB映像では、それだけで制作方法を決めることはできません。
「映像として魅力的か」だけではなく、「企業の目的に対して、この表現が適切か」という視点からも判断します。
BtoC主体の制作会社とBtoB主体の制作会社
映像制作会社を大きく見ると、一般消費者へ向けた映像を主としてきた会社と、企業活動の中で使われる映像を主としてきた会社があります。
実際には両方を制作する会社も多く、明確に二分できるものではありません。
ただ、主としてどちらの仕事を経験してきたかによって、制作の指向性には違いが生じます。
BtoCを主要としている制作会社では、より多くの人の関心を集め、感情を動かし、印象に残すことを重視する制作思想が形成されやすいでしょう。
BtoBを主要としている制作会社では、対象者、企業の目的、専門情報、制作条件、組織内の意思決定などを整理しながら映像を設計する経験が蓄積されます。
これは優劣ではありません。異なる目的の映像を作ってきた結果として、制作で重視するものや判断の仕方に違いが生じるということです。
BtoBを標榜する制作会社が少ない理由
映像制作会社のWebサイトを見ると、「CM」「企業VP」「採用動画」「YouTube」「SNS」「Web動画」など、制作物の種類によってサービスを分類している会社が多くあります。
一方で、自社を「BtoB映像制作会社」と位置づける会社は、それほど多くありません。
理由の一つは、BtoBという言葉自体が、映像制作会社を探す言葉として一般に定着していないことだと考えられます。
企業の担当者も、「映像制作会社」「動画制作会社」「会社案内 動画」「製品紹介 動画」などと検索することが多く、「BtoB 映像制作会社」という探し方をする人は、まだ限られています。
しかし、発注する側から見れば、BtoB/BtoCという区分には意味があります。
発注者が知らなければ、検索することもできない
企業の担当者が初めて映像制作会社を探すとします。
検索結果には、多くの制作会社が並びます。どの会社も、企画から対応、高品質な映像、豊富な実績、ワンストップ制作、といった説明をしています。
映像制作業界について詳しくなければ、それぞれの会社が何を重視して制作しているのか見分けることは容易ではありません。
映像制作会社には、主として対象としてきた領域による指向性の違いがある。そのことを知らなければ、その観点から制作会社を探すこともありません。
「何を作った会社か」だけでは見えないもの
制作実績を見ることは重要です。
しかし、会社案内映像を作った実績があるから、その会社がBtoB映像制作を得意としているとは限りません。
反対に、映像の見た目だけでは、その会社がどのような企画や制作プロセスを持っているか分かりません。
実績を見るときには、何を作ったかだけでなく、誰に向けた映像だったのか、何を目的としていたのか、どんな情報を扱ったのか、どのような課題に対応したのか、という背景を見る必要があります。
同じ「会社案内」「製品紹介」という分類でも、その中身は大きく違います。
制作会社の指向性は、Webサイトにも現れる
制作会社が何を重視しているかは、制作実績だけでなく、その会社が自分たちの仕事をどう説明しているかにも現れます。
映像表現について多く語っている会社。マーケティングについて多く語っている会社。ストーリーについて語る会社。撮影技術を強みにする会社。企業理解や情報整理を重視する会社。
どれが正しいということではありません。
その会社が、映像制作という仕事のどこに重点を置いているのかを見ることができます。
BtoB映像制作会社とは何か
では、BtoB映像制作会社とは、どんな会社でしょうか。
製品紹介や会社案内を作ったことがある会社、というだけでは十分ではありません。
企業の目的を理解する。対象となる視聴者を考える。企業が持つ事実や専門情報を理解する。必要な情報を整理する。企画とシナリオとして設計する。企業組織の意思決定を踏まえて制作を進める。制作仕様と費用を対応させる。そして、完成した映像を当初の目的に照らして評価する。
こうした考え方を、企業映像制作の基本として持っている会社を、私たちはBtoB映像制作会社と考えています。
制作会社選びに「指向性」という物差しを
映像制作会社を選ぶ方法として、価格、実績、映像の品質、制作体制、所在地など、さまざまな判断材料があります。
そこにもう一つ、「制作会社の指向性」という物差しを加えてみてはどうでしょうか。
どんな映像を多く作ってきたのか。誰に向けた映像を得意としているのか。企業についてどう理解しようとするのか。制作において何を重視しているのか。企画や表現を何を基準に選んでいるのか。
「何が作れる会社か」だけでなく、「映像制作において何を重視する会社なのか」という観点でも見る。
制作会社の「指向性」という考え方は、そのための一つの物差しになると思います。