動画・映像制作用語辞典 | 名古屋映像制作研究室
ベジェ
「ベジェ」とは、コンピューターグラフィックスなどで滑らかな曲線を描画するために用いられる数式で、特に「ベジェカーブ(曲線)」は、CADソフトやイラストレーターなどのドローソフト、フォントの作成、動画編集ソフトのアニメート機能などに広く利用されています。
1. 制御点による形状制御
曲線の形状は、いくつかの「制御点」と呼ばれる点によって決定されます。制御点を移動させることで、曲線の形状を直感的に調整できます。
2. 滑らかな曲線
ベジェ曲線は、数学的な計算に基づいて滑らかな曲線を描画します。これにより、手描きでは難しい複雑な形状も表現可能です。
3. 多様な応用
コンピューターグラフィックス、CAD、フォントデザイン、アニメーションなど、曲線の描画や、オブジェクトを捉えるカメラワークの動きなど、幅広い分野で利用されています。
4. 発明者「フランスの技術者ピエール・ベジェ氏」
自動車のデザインのために開発された技術ですが、その汎用性の高さから、現在では様々な分野で欠かせない技術となっています。
自動車産業でのニーズ
1960年代、自動車産業では、より滑らかで複雑な車体デザインが求められるようになっていました。しかし、当時の手作業によるデザイン手法では、これらの要求を満たすことが困難でした。そこで、コンピューターを用いて自由曲線を表現する技術が求められるようになりました。
ピエール・ベジェ氏の貢献
当時、フランスの自動車メーカー「ルノー」に勤務していたピエール・ベジェ氏は、このニーズに応えるために、ベジェ曲線を開発しました。ベジェ曲線は、制御点と呼ばれる点を用いて曲線を数学的に表現することで、滑らかで自由な曲線を描画することを可能にしました。
UNISURFシステムの開発
ベジェ氏は、ベジェ曲線を応用したCAD/CAMシステム「UNISURF」を開発しました。UNISURFは、自動車の車体デザインだけでなく、金型の設計や製造にも利用され、自動車産業の発展に大きく貢献しました。
ベジェ曲線の普及
ベジェ曲線は、その汎用性の高さから、自動車産業だけでなく、コンピューターグラフィックスやCAD、フォントデザインなど、様々な分野で利用されるようになりました。現在では、ベジェ曲線は、コンピューターを用いたデザインやアニメーション、コンピュータグラフィックスにおいて、欠かせない技術の一つとなっています。
ベジェ曲線の主な応用分野
CAD/CAM:自動車、航空機、船舶などの設計・製造
コンピューターグラフィックス:イラストレーション、アニメーション、ゲーム
フォントデザイン:TrueTypeフォント、PostScriptフォント
Webデザイン:SVG(Scalable Vector Graphics)
5. イーズイン・イーズアウトとベジェ曲線の関係
アニメーションの速度変化
映像編集における「イーズイン」「イーズアウト」は、アニメーションの速度変化を調整する機能です。「イーズイン」は、アニメーションの開始時に徐々に加速する効果を、「イーズアウト」は、終了時に徐々に減速する効果を与えます。
ベジェ曲線による制御
これらの速度変化は、ベジェ曲線を用いて滑らかに制御されます。映像編集ソフトでは、キーフレーム間の速度変化をベジェ曲線で調整することで、より自然で滑らかなアニメーションを実現しています。
より自然な動き
ベジェ曲線を使うことで、動きに緩急をつけることができ、機械的な動きではなく、より自然な動きを表現できます。

【関連用語】
1. 制御点(Control Point)
ベジェ曲線の形状を決定するために使用される点。
制御点の位置を調整することで、曲線の形状を自由に変えることができます。
2. アンカーポイント(Anchor Point)
ベジェ曲線の始点と終点を指します。アンカーポイントは、曲線の位置を固定するために使用されます。
3. ハンドル(Handle)
制御点から伸びる線のことで、曲線の方向と曲率を制御します。
ハンドルの長さと角度を調整することで、曲線の形状を細かく調整できます。
4. ノット(Knot)
スプライン曲線(複数の制御点を通る滑らかな曲線のこと)の制御点を繋ぐ部分です。ベジェ曲線は3次スプライン曲線の一種です。
5. キーフレーム(Key Flame)
映像編集ソフトにおける、アニメーションやエフェクトの開始点と終了点を指定するポイントです。