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フィルターバブル
インターネット検索やSNSなどのアルゴリズムによって、ユーザーの興味や関心に合わせて情報がパーソナライズされ、あたかも泡(バブル)の中に閉じこもったように、自分が見たい情報ばかりが表示される現象のことです。
フィルターバブルという言葉は、環境活動家 イーライ・パリサー Eli Pariserが著書 「The Filter Bubble」に書いたと言われています。
1. 認識発生装置
フィルターバブルは、インターネットブラウザに仕込まれたアルゴリズムによって引き起こされます。アルゴリズムは、ユーザーの過去の検索履歴、閲覧履歴、いいね!などの情報に基づいて、ユーザーが興味を持つ可能性の高い情報を優先的に表示します。その結果、ユーザーは自分にとって快適な情報ばかりを目にするようになり、異なる意見や視点に触れる機会が減少し、それが事実であるという認識が発生します。
2. 危険性
フィルターバブルの危険性は、ユーザーの視野が狭まり、多様な価値観を受け入れにくくなります。また、誤った情報や偏った情報に気づきにくくなる可能性もあります。さらに、社会的な分断や対立を招く可能性も指摘されています。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
フィルターバブルの概念を理解する上で最も身近な例が、YouTubeのレコメンド機能です。
YouTubeを例にしたフィルターバブルの構造
私たちがYouTubeを開くと、ホーム画面には自分の好みにぴったりの動画が並びます。これは一見便利なサービスですが、論理的には以下のようなプロセスで「バブル」が形成されていきます。
情報の選別(パーソナライズ)
YouTubeのアルゴリズムは、あなたが過去に最後まで視聴した動画や「高く評価」した動画を分析します。例えば、特定の政治的信条を持つチャンネルや、特定のダイエット法を推奨する動画を好んで見ていると、AIは「このユーザーにはこの系統の情報が最適だ」と判断します。
反対意見の不可視化
アルゴリズムの目的は「ユーザーの滞在時間を最大化すること」です。そのため、ユーザーが不快に感じたり、興味を示さなかったりする「自分とは異なる視点の動画」は、おすすめリストから自然と排除されていきます。
認識の固定化
結果として、画面上には自分の考えを肯定・補強する情報ばかりが溢れるようになります。利用者は、自分の見ている世界(バブルの中)が「世の中の標準」であると錯覚し、バブルの外側にある多様な視点や客観的な事実に気づくことが極めて困難になります。
なぜこれが問題なのか
フィルターバブルの恐ろしさは、利用者が「自分で情報を選択している」と思い込んでいる点にあります。実際には、アルゴリズムという「透明なフィルター」によって、あらかじめ偏った情報だけが差し出されているのです。
YouTubeで特定のジャンルに没頭すればするほど、その泡は厚くなり、外側の世界との接点が失われていく。これがフィルターバブルが現代の情報社会において警戒されている理由です。
このアルゴリズムの仕組みから抜け出すために、あえて「興味のない」動画を検索してみたり、シークレットモードを活用したりする方法があります。
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