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映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。
IR(アイアール)ビデオ
IRはInvestor Relationsの略であり、企業が株主や投資家に対して、経営状況や財務情報、事業戦略などの情報を適切に開示し、コミュニケーションを図る活動のことです。IRビデオは映像コンテンツのジャンルのひとつです。
いわゆる「会社案内」のように自社の概要(社名、住所、事業内容など)を広範に説明するものではなく、ステークホルダー(株主などの利害関係者)に対して経営状態を説明して、自社への信頼を勝ち取り、投資を促すことが第一の目的です。
IRビデオは、メッセージや数字だけでなく、映像ならではの感情的な共感、直感的な理解が得られるよう工夫することが重要です。
1. 主要なIR情報の個別テーマ
経営戦略・ビジョン
企業の長期的な成長戦略や経営目標
新規事業や市場開拓の計画
経営陣の考え方やリーダーシップ
業績・財務情報
売上高、利益、キャッシュフローなどの財務諸表
業績の推移や分析
財務状況の健全性
事業内容・技術
主要な事業領域や製品・サービス
技術開発や研究成果
市場における競争力
ESG情報
環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する取り組み
企業の社会的責任
持続可能な成長への貢献
株主還元
配当政策や自社株買い
株主優待制度
2. 映像表現が効果的な項目
経営戦略・ビジョン
経営陣のインタビューやメッセージ映像
事業の成長ストーリーをドラマ仕立てで紹介
事業内容・技術
製品やサービスのデモンストレーション映像
工場の生産ラインや研究開発の様子を紹介
技術の仕組みや効果をCGやアニメーションで解説
ESG情報
環境保護活動や社会貢献活動の現場映像
社員のインタビューや活動レポート
持続可能な社会への貢献をイメージ映像で表現
企業のブランディング
企業の価値観や理念を映像で表現する
従業員の働く風景やインタビューなどで企業の雰囲気を伝える。
企業イメージを向上させ、投資家からの信頼を得る。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
IR情報は一般社会に向けた「会社案内」に含める場合もありますが、その場合は平易なレベルにとどまるため、近年はステークホルダーや投資家向けに、財務情報だけでなく、企業価値を最大化するための社会課題への取り組みなどを「専門レベル」で映像化する「IRビデオ」が、一つのジャンルとして定着しました。
IRビデオ制作上の留意点
投資家という特殊な視聴者を想定した正確性と信頼性の担保が最重要です。
経営陣のメッセージや業績データ、事業内容の説明において事実誤認や誇張表現は許されず、法務・IR部門との綿密な確認プロセスが不可欠となります。また金融商品取引法などの規制に抵触しないよう、将来予想に関する表現や競合比較には細心の注意を払う必要があります。
映像表現においては、過度な演出や感情的な訴求よりも、データの可視化や事業内容の分かりやすい説明といった情報伝達の明瞭性を優先します。ただし単調にならず、グローバル投資家も視聴することを考慮し、国際的なビジネスコミュニケーション水準に適った品質とプロフェッショナルな仕上がりが求められます。
さらに多言語対応や字幕、ウェブサイトでの公開を前提とした技術仕様、決算発表のタイミングに合わせた厳格な納期管理も重要です。企業価値を正しく伝え、投資判断の材料となる情報を適切に提供するという、IRビデオ特有の目的を常に意識した制作姿勢が求められます。
