動画・映像制作用語
【ルミナンスキー】
luminancekey
「ルミナンスキー」は、映像の輝度(明るさ)に基づいて特定の部分を透明にするための機能です。ある明るさ以上の部分、または以下の部分を抜き取り、背景を合成したり、特定のエフェクトを適用したりする際に用いられます。
ルミナンスキーは、クロマキー合成(特定の色を透明にする機能)と同様に、映像編集において非常に重要なテクニックの一つであり、合成映像の作成や特殊効果の演出など、幅広い用途で活用されています。特に、背景の色が単色でない場合や、オブジェクト自体に様々な色が含まれている場合に、輝度を基準として透過処理を行えるルミナンスキーは有効な手段となります。
できること
1. 明るい部分の透過
例えば、白い背景で撮影されたオブジェクトを抜き取り、別の映像素材と合成することができます。白い部分が透明になり、下のレイヤーの映像が表示されます。
2. 暗い部分の透過
逆に、暗い背景で撮影されたオブジェクトを抜き取ることも可能です。黒い部分が透明になり、下のレイヤーが透けて見えます。
3. 特定の輝度範囲の透過
ある特定の明るさの範囲を指定して透明にすることもできます。これにより、映像の中で特定の明るさを持つ要素だけを抜き出すといった応用的な使い方も可能です。
4. グラデーションの作成
ルミナンスキーの設定を調整することで、透明化の境界をぼかし、滑らかなグラデーションを作り出すことができます。これにより、映像素材同士を自然に合成したり、フェードイン・アウトのような効果を表現したりすることが可能です。
利用法
ルミナンスキーの使い方はソフトウェアによって異なりますが、一般的には以下の手順で行われます。
1. エフェクトの適用
編集ソフトのメニューから「ルミナンスキー」または類似の名称のエフェクトを選択し、透明にしたい映像素材のクリップに適用します。
2. キーイングの設定
エフェクトの設定画面で、透明にする輝度の範囲を指定します。スライダーを操作して明るさの閾値を調整したりします。
3. 許容値の調整
透明にする範囲の境界線を調整します。許容値を大きくすると、指定した輝度に近い明るさの部分も透明になりやすくなります。
4. プレビュー
設定を変更しながらプレビュー画面で結果を確認し、意図した通りに透明化されているかを確認します。
5. 必要に応じて調整
境界線のぼかし具合や、透明化の度合いなどを細かく調整し、最適な結果を得られるようにパラメータを調整します。
【関連用語】
1. クロマキー(Chroma Key)
特定の色を透過させて合成を行う技術です。ルミナンスキーが輝度情報を基準にするのに対し、クロマキーは色情報を基準に合成を行います。主に青や緑の背景(ブルーバック・グリーンバック)を使用し、その色を透過させて別の映像を合成します。天気予報の背景合成やバーチャルスタジオなどで広く使用される基本的な合成技術です。色の選択や照明の調整が重要で、被写体に背景色が反射しないよう注意深いセッティングが必要です。最新のソフトウェアでは、色範囲の詳細な調整や、エッジの処理なども高度に制御できるようになっています。
2. カラーレンジ(Color Range)
映像の色情報の範囲を指定して合成や編集を行う技術です。ルミナンスキーが白から黒までの明度範囲を使用するのに対し、カラーレンジは色相や彩度の範囲を使用します。例えば、特定の色の物体だけを抽出したり、指定した色範囲にエフェクトを適用したりすることができます。デジタル編集ソフトウェアでは、カラーピッカーやスポイトツールを使用して直感的に範囲を指定できます。精密な色調整や部分的な色補正にも活用される重要な機能です。
3. デンシティ(Density)
映像の濃度や密度を表す概念で、ルミナンスキーにおける透過度の制御に重要な要素です。映像の明暗の度合いを数値化したもので、これを基準に合成や編集の強度を調整します。例えば、フィルム撮影における露出や、デジタル映像の輝度レベルの調整に使用されます。適切なデンシティ設定により、自然な合成効果や滑らかなグラデーションを実現することができます。最新のグレーディングシステムでは、より詳細なデンシティコントロールが可能です。
4. マットキー(Matte Key)
映像の不透明度を制御するためのキー信号を生成する技術です。ルミナンスキーと同様に、明暗の情報を基に合成を行いますが、より複雑な形状や段階的な透明度の制御が可能です。例えば、3DCGとの合成や、複雑な形状の物体の抽出などに使用されます。デジタル編集では、マットチャンネルとして別途保存し、後工程での調整や再利用が可能です。高度な合成効果を実現するための基本的な技術として重要です。
5. スピルサプレッション(Spill Suppression)
キー合成時に発生する背景色の映り込み(スピル)を抑制する技術です。ルミナンスキーでは輝度の反射が、クロマキーでは色の反射が問題となります。これらの不要な反射を除去または軽減することで、より自然な合成結果を得ることができます。特に人物の髪の毛や半透明の物体の合成時に重要となります。最新のキーイングソフトウェアでは、自動的なスピル除去機能や、詳細な調整オプションが提供されています。