top of page

映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。

クロマキー

映像合成技術の一つで、特定の色をキーにして、その部分を透明化し、別の映像と合成する手法です。一般的には、緑色の背景(グリーンバック)や青色の背景(ブルーバック)をキーにして使用されます。

クロマキーを解説するイメージ(監修・神野富三)

※キー:切り抜く範囲を指定するための「特定の色の情報」のこと。


クロマキーの仕組み


撮影

特定色の背景の前で被写体を撮影します。


キーイング

撮影した映像から、特定の色(キーカラー)を抽出し、透明化します。


合成

透明化された部分に、別の映像を合成します。



クロマキーの活用例


天気予報

気象キャスターが背景の映像に合成され、まるでその場所にいるかのように表現されます。


映画・ドラマ

特殊効果やCG合成、ロケ地の変更などに利用されます。


ニュース

 背景にニュース映像を合成したり、仮想スタジオで収録したりします。



クロマキーの利点


コスト削減

ロケ撮影の費用を抑え、スタジオで様々な背景を合成することができます。


時間の短縮

撮影後の編集作業を効率化することができます。


表現の幅を広げる

実際のロケでは実現できないような映像表現が可能になります。



クロマキーを行う上での注意点


キーカラーの選択

背景色と被写体の色が重ならないように、適切なキーカラーを選択する必要があります。


照明

均一な照明を当てることで、キーイングの精度を上げることができます。


背景の素材

キーカラー以外の部分に余計な影や反射がないように、背景の素材を選ぶ必要があります。


編集ソフト

クロマキー合成に対応した編集ソフトが必要です。

TomizoJInno.jpeg

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー

シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。

映像制作会社としての視点


クロマキー撮影でよくある失敗


理論上は単純な処理ですが、実際の現場では撮影条件のわずかな不備が、合成品質に大きな影響を与えます。


1. 背景色の品質が不適切

クロマキー用の背景は、色味が均一である必要があります。

背景幕を張ったのはいいけれど、しわが目立ったまま撮影してしまうと、一様に抜くことができません。背景幕を使った撮影にはスチームアイロンは必携です。


2. 被写体と背景の距離が近すぎる

被写体と背景の距離が近い場合、被写体の影が背景に落ち込みます。
この影はキーイング処理で完全に除去することが難しく、輪郭の不自然さや背景の欠損につながります。クロマキー撮影では、被写体と背景の間に十分な距離を確保することが重要です。


3. グリーンかぶり(スピル)が発生する

背景色の反射光が被写体に回り込み、髪の毛や衣服の縁が緑や青に染まる現象を、グリーンかぶり(スピル)と呼びます。
スピルが強いと、キーイング後の輪郭補正や色補正の負担が増し、自然な合成が困難になります。


4. 衣装や小物の色が背景色と近い

被写体の衣装や小物が背景色(グリーン/ブルー)に近い場合、その部分まで背景として認識され、人物の一部が欠損します。
撮影前に衣装の色味を確認し、背景色と競合しない配色を選定する必要があります。またメガネを掛けた人を撮影する場合は「ブルラートカット」が入っていないかよくチェックしましょう。入っていると眼鏡が青く反射することがあります。


5. 髪の毛や半透明素材の処理が困難

髪の毛の細い部分や、レース・チュールなどの半透明素材は、背景色と混ざりやすく、キーイング処理が特に難しい要素です。
逆光やハイライトが強い場合、輪郭が溶けたように見えることがあります。


6. 背景照明が不足している

背景への照明が不十分な場合、背景が暗くなり、ノイズや色ムラが強調されます。
被写体だけを明るく照らしても、背景が暗いままではキーイングの精度が低下します。被写体用照明とは別に、背景専用の照明設計が必要です。


7. 撮影時は問題がなく見えても、編集時に破綻する

撮影現場のモニターでは問題なく見えても、編集時に拡大表示や厳密なキーイング処理を行うことで、影、スピル、色ムラなどの問題が顕在化することがあります。
クロマキー撮影では、本番前に実際の編集工程を想定したテストカットを行うことが望まれます。


8. 合成後の背景との色温度・ライティングが一致しない

人物の照明条件と、合成後の背景映像の光の向き・色温度が一致しない場合、合成特有の違和感が生じます。
クロマキー撮影では、最終的に合成される背景を想定したライティング設計が重要です。


9. 床を含むクロマキーの難易度が高い

床まで含めたクロマキー撮影では、足元の影、床のシワ、反射、靴底の色など、処理すべき要素が増加します。
背景のみのクロマキーと比較して、撮影・編集ともに難易度が大幅に上がります。


10. 撮影時の品質が編集工程の負担を大きく左右する

クロマキー撮影は、編集工程での調整に頼る手法ではありません。
撮影時の照明設計、背景の均一性、被写体との距離といった基本条件が、最終的な合成品質の大部分を左右します。「なんとかなるだろう」が地獄を見た経験は誰もがあるようです。

関連記事

bottom of page