名古屋の映像制作会社が読み解く:日本文化と広報の極意
- Tomizo Jinno
- 2017年3月28日
- 読了時間: 4分
更新日:6月13日
日本文化における広報活動の重要性
現代社会において、組織の広報活動は不可欠な要素です。一部の組織や個人が広報活動に対して抵抗を示すことがあります。特に、旧態依然とした組織文化においては、情報共有を避け、保身を図ろうとする傾向が見られます。これは、広報が透明性を高め、潜在的な「セキュリティホール」となるという認識に基づいている可能性があります。しかし、ガバナンスやコンプライアンスが重視される現代においては、このような姿勢は組織にとってリスクとなりえます。
広報の多角的機能
広報活動は、単なる情報発信に留まりません。その機能は多岐にわたり、社会との建設的な対話を促進します。具体的には、以下の要素が含まれます。
アナウンスメント: 事業活動や商品に関する情報の広報、告知。
インフォメーション: 顧客やステークホルダーへの情報提供、広告活動。
コミュニケーション: 顧客管理、クレーム対応、リスクマネジメント、対話を通じた関係構築。
レポート: 投資家向け情報(IR)、規制当局への報告、ステークホルダーへの透明性の高い情報開示。
レコード: 組織活動の記録と保存。
これらの機能を適切に遂行するためには、組織内の各部署が連携し、事業活動やその進捗を明確に文書化し共有することが不可欠です。また、組織の方針を対外的に一貫性をもって発信し、必要な対象に公平かつ公正に情報公開を行う必要があります。このプロセスは、組織内の機能不全を顕在化させる可能性があり、広報担当者が組織内で孤立する一因となることもあります。
「不言実行」の文化と広報
日本文化には、「不言実行」を美徳とする価値観が根強く存在します。このため、自ら情報を発信することに対して「信頼性が低い」「胡散臭い」といった先入観を抱かれる傾向があります。また、広報担当者に対して「軽薄」といった印象を持つ人も少なくありません。実際に、メディアとの関係を過度に誇示する広報担当者がいることも事実です。
しかし、「良い商品を作っていれば売れる」「良い活動をしていれば認められる」という考え方は、現代においては通用しません。どんなに優れた商品や活動であっても、その存在が社会に認知されなければ、価値を発揮することはできません。情報過多の現代において、真に価値ある商品や活動が社会から支持を得るためには、積極的な広報活動が不可欠です。
日本における広報の「他慢」の極意
日本文化の特性を踏まえると、広報活動においては「自慢」ではなく「他慢」が重要となります。つまり、自ら誇張して宣伝するのではなく、第三者による評価や推薦を通じて、その価値を伝えることが効果的です。この「匙加減」を適切にコントロールすることが、日本における広報担当者の重要なスキルとなります。
リスクマネジメントにおける広報の役割
広報活動のもう一つの重要な側面は、リスクマネジメントにおける役割です。組織が社会との対話を継続的に行うことで、不祥事や事故が発生した際のリスク管理のためのパイプが形成されます。このパイプを持たない組織は、メディアやソーシャルネットワーク上での炎上リスクに無防備となり、企業イメージの毀損や信頼失墜に繋がりかねません。
「沈黙は肯定」という認識が広がる現代社会において、組織が社会的に存在し続けるためには、広報活動は必須です。広報活動を怠る組織は、社会に対して存在しないのと同義であり、その無防備さは計り知れません。
現代は「映像の時代」であり、悪意ある情報は瞬く間に拡散する一方で、その火を消し止める上でも映像を適切に活用するスキルが求められます。映像を制御するスキルは、広報を制御するスキルと本質的に共通する部分が多いと言えるでしょう。
広報活動は、組織の持続的な成長と社会からの信頼獲得に不可欠な要素です。貴社の広報活動は、これらの点を十分に考慮されていますでしょうか。

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