動画・映像制作用語辞典 | 名古屋映像制作研究室
GRIP(グリップ)
撮影に使うハードウェアとスタッフを安全理に任務を遂行させるために、物理的に困難な状況を知恵と力でなんでも解決してくれる人たちです。
GRIPは映画やテレビの撮影現場で重要な技術スタッフの役割です。
ハリウッド映画のスタッフロールを見ていると必ず登場する職名で、しかもすごい数のスタッフの名前が挙がっていることも多いです。仕事内容は撮影に使うハードウェアとスタッフを安全理に任務を遂行させるために、物理的に困難な状況を知恵と力でなんでも解決してくれる人たちです。日本では数少ない人たちが本業としていますが、ハリウッドなどでは専門職として確立されており、キャリアパスも明確になっています。カマラ周りの造作のことならなんでも請け負う「大工さん」だと自認する職人スタッフもいます。
監督と撮影監督が望むことなら、どんな場所にでも機材を固定し、スタッフが安全、スムーズに職務を遂行できるように、足場やライフラインを設置してくれます。
カメラの設置や移動に必要な機材の設置と操作
ドリー(カメラを載せて移動させる台車)の設置と操作
クレーンやジブアームの組み立てと操作
カメラリグ(固定具)の設置
照明機材のサポート
ライトスタンドの設置
大型の照明機材の固定
光を調整するための様々な器具の取り付け
安全管理
機材の安全な設置と固定
スタッフや俳優の安全確保
危険な撮影シーンでの補助
グリップは「縁の下の力持ち」的な存在で、あらゆるカメラワークを実現するための技術的なサポートを行う専門職です。特に動きのある複雑なショットを撮影する際には、グリップの技術力が作品の質に大きく影響します。

【関連用語】
GRIPという言葉の語源について最も有力な説明としては、初期の映画撮影時代に遡ります。19世紀末から20世紀初頭にかけて、カメラや照明機材が非常に重く大きかった時代、これらの機材を「しっかりと握る(grip)」必要があった技術者たちがいました。特に重いカメラを固定し、安定させる役割を担っていた人々を"grip men"と呼ぶようになったとされています。
また、船舶用語との関連も指摘されています。船の積荷を扱う作業員を"grip"と呼んでいた慣習が、重い撮影機材を扱う映画スタッフにも転用された可能性があります。
これらの説は広く受け入れられていますが、映画産業の黎明期の記録が完全には残っていないため、正確な語源を100%の確実性を持って特定することは難しいです。
操演
日本の映画界には「操演」という職務があり、誰かが支えたり、コントロールしないと芝居にならない(自律的でない)演技やカメラワーク、自然現象などの撮影について、それを実現するための道具を使い、ときには道具を考案して、演出意図に合わせたシーンの撮影を実現するのが「操演」の役目です。