動画・映像制作用語
【ナラティブ】
narrative
「ナラティブ」とは、出来事や経験を、時間的な順序や因果関係に基づいて語る「物語」のことです。単なる事実の羅列ではなく、語り手の解釈や感情、意図などが込められた、意味のある「語り」である点が重要です。
個人的な経験から、社会的な出来事、学術的な理論まで、幅広い分野で用いられ、人々の理解や行動に影響を与える力を持っている物語・・・それがナラティブです。
と説明されても非常に抽象的です。その理由は、この概念をひとことで置き換えられる日本語(単語)がないからです。実際、この言葉をいままで使ったことはもちろん、聞いたことがないという人も多いことでしょう。私は映像のシナリオを書く職業であることから、Narrativeという言葉に出会い、自分の仕事の本質を言い当てられたような気持ちになり、この言葉をこの映像・動画制作用語に掲載しました。
ナラティブ(narrative)は、日本語では文脈によっていくつかの意味を持ちます。
1. 物語、話、語り
出来事や経験を、時間的な順序や因果関係に基づいて語る形式。
小説、映画、演劇などの創作作品におけるストーリー展開。
個人の経験や歴史を語る個人的な物語。
2. 物語論、物語構造
物語の構造や機能、役割などを分析・研究する学問分野。
物語がどのように意味を生み出し、人々に影響を与えるかを考察する。
3. 語り口、語り方
特定の視点や解釈に基づいて出来事を語る方法。
特定の集団や文化における共通の物語や価値観。
4. 医療や心理学におけるナラティブ
患者やクライアントが自身の経験を語ることを通して、病気や問題を理解し、対処していくアプローチ。
患者自身の語るストーリーを重視し、医療者や専門家との協働関係を築く。
ナラティブの例
個人の人生経験を語る自伝や回顧録
企業やブランドが自社の歴史や理念を語るストーリー
社会的な問題や出来事に対する人々の語り
医療現場における患者の病気の経験談
この言葉が日本語で定着しつつある背景には、医療や心理学などの分野で、ナラティブの概念が重要視されるようになったことがあるようです。
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1. ストーリー
登場人物が織りなす出来事を時間軸に沿って語るものです。単なる出来事の羅列ではなく、登場人物の感情や行動、それらが引き起こす結果が描かれることで、読者や視聴者は物語に引き込まれます。
2. コンテクスト
物語や出来事が生じる背景や状況のことです。登場人物の置かれた環境、社会的な背景、歴史的な出来事など、物語を理解するために必要な情報が含まれます。
3. プロット
物語の筋書きや展開のことです。出来事の因果関係や時間的な流れを整理し、物語の骨格を形成しますットは物語のテーマを効果的に伝える役割も担い、物語に深みと意味を与えます。
4. テーマ
物語を通して伝えたい中心的な考え方やメッセージのことです。作者が読者や視聴者に問いかけたい普遍的な問題や価値観が表現されます。
5. 世界観
物語が展開される舞台となる世界の設定や価値観のことです。物理的な環境だけでなく、社会制度、文化、歴史、宗教など、物語を構成するあらゆる要素が含まれます。世界観は、物語の雰囲気や登場人物の行動に大きな影響を与え、読者や視聴者を物語の世界に引き込みます。