動画・映像制作用語
【ローリングシャッター現象】
rollingshuttereffect
「ローリングシャッター現象」は、デジタルカメラやビデオカメラで高速に動く被写体を撮影した際に、画像に歪みが生じる現象です。この現象は、主にCMOSイメージセンサーを使用するカメラで発生します。
1. 原理
ローリングシャッター現象は、イメージセンサーの読み出し方式に起因します。
ローリングシャッター方式:イメージセンサーが画像を捉える際、画面全体を一度に読み取るのではなく、上から下へ(またはその逆)ラインごとに順番に読み取ります。
このため、画面の上部と下部では撮影された時間にわずかなずれが生じます。
高速に動く被写体を撮影すると、この時間差によって画像が歪んでしまうのです。
2. 具体的な現象
ローリングシャッター現象によって、以下のような歪みが生じることがあります。
斜めの歪み:高速で動く被写体(例:電車の窓、回転するプロペラ)が斜めに歪んで写る。
部分的な露出の違い:高速に点滅する光源(例:蛍光灯、LED)を撮影すると、画面の一部が明るく、一部が暗く写る。
ジェリー効果:カメラ自体が振動している場合、画面全体がゼリーのように歪んで見える。
3. ローリングシャッターとグローバルシャッター
ローリングシャッター方式に対して、画面全体を一度に読み取る方式をグローバルシャッター方式と呼びます。グローバルシャッター方式では、ローリングシャッター現象は発生しません。
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【関連用語】
1. モアレ (Moire)
規則的な模様が重なり合うことで発生する、縞模様や干渉模様のことです。高精細な映像を撮影する際に、被写体の細かいパターンとイメージセンサーの画素配列が干渉することで発生します。
ローリングシャッター現象とは異なり、静止画でも動画でも発生する可能性があります。ローリングシャッター現象が発生しやすい高精細な映像撮影では、モアレも同時に発生しやすい傾向があります。
2. フリッカー (Flicker)
光源の明滅(周波数)によって発生する、映像のちらつきのことです。蛍光灯やLED照明など、交流電源を使用する光源で発生しやすいです。
ローリングシャッター現象と同様に、撮影タイミングと光源の明滅が同期しない場合に、映像の一部が明るく、一部が暗く写る現象が発生することがあります。
3. エリアシング (Aliasing)
デジタル信号処理において、元の信号に含まれる高周波成分が、サンプリング周波数よりも低い周波数に変換されてしまう現象です。映像では、細かい模様やエッジ部分がギザギザに表示されることがあります。
ローリングシャッター現象による歪みと合わせて、映像の品質を低下させる要因となります。
4. レンズフレア (Lens Flare)
強い光源がレンズに入り込むことで発生する、光の反射や拡散による現象です。映像に光の筋やゴーストなどが現れることがあります。
ローリングシャッター現象とは直接的な関連性はありませんが、撮影環境によっては同時に発生し、映像の品質を低下させる可能性があります。
5. ノイズ (Noise)
映像信号に混入する、不要な信号のことです。高感度撮影や長時間露光などで発生しやすいです。
ローリングシャッター現象が発生しやすい低照度環境では、ノイズも同時に発生しやすい傾向があります。