B2B映像制作を成功に導く3つの基本ツール
- Tomizo Jinno
- 2017年8月10日
- 読了時間: 4分
更新日:6月14日
B2B映像制作において、発注者と制作会社の間に「言った」「言わない」の認識齟齬が生じることは、プロジェクトの停滞や期待外れの結果につながりかねません。私たちは映像制作のプロとして、お客様とのスムーズなコミュニケーションを何よりも重視しています。
そのために不可欠なのが、「見積書」「シナリオ」「スケジュール表」という3つのツール、すなわち3つの基本書類です。これらの書類を共有することで、お客様と制作会社が同じビジョンを持ち、プロジェクトを確実に成功へと導きます。
1. 見積書:プロジェクトの規模と予算を明確にする「設計図」
映像は目に見えない「ソフトウェア」ですが、その制作には明確なコストがかかります。見積書は、建築における「設計図」や「仕様書」に相当し、プロジェクトの規模と予算感を具体的に共有するための最も重要な書類です。
見積書には、以下のような項目が定量的に明記されます。
映像の尺(時間)
音楽・ナレーションの有無
撮影日数と場所
使用機材
編集時間
録音時間
これらは映像の「質」や「効果」を直接的に測るものではありません。しかし、お客様と制作会社が予算感や規模感についての共通認識を持つことは、ビジネスの基本であり、後の誤解を防ぐ上で不可欠です。
2. シナリオ:完成形を具体的に共有する「青写真」
「シナリオ」と聞くと、ナレーション原稿だけをイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、B2B映像制作におけるシナリオは、完成する映像の「青写真」とも言える非常に包括的なドキュメントです。
シナリオには、時系列で以下の要素が詳細に書き込まれます。
映像: 撮影対象の場所や人物、映し出す景色、創作するイラストやCGの具体的な描写
音声: ナレーション、セリフ、音楽、生音、効果音などの具体的な内容
ト書き: ドラマ仕立ての場合の、登場人物の動きや場面の状況説明など
シナリオは、誰が読んでも一定以上の共通した映像が頭に浮かぶように作成されます。もし、映像の具体的な定義がないまま制作をスタートさせてしまうと、それは「映像は製作者にお任せ」という一方的な依頼になりかねません。それでは、お客様の期待する映像が完成しないリスクが高まります。シナリオによって、完成イメージを明確にし、お客様のビジョンを確実に映像に反映させることが可能になります。
3. スケジュール表:プロジェクトの進行を可視化する「工程表」
ビジネスにおいて納期遵守は当然のことです。スケジュール表は、この納期を確実に守り、プロジェクトを円滑に進めるための「工程表」です。
スケジュール表には、プロジェクトの全プロセスにおける重要な「イベント」が明記されます。
お客様にいつまでに何をご用意いただくか
お客様にいつまでに何を承認していただくか
制作会社がいつまでに何を提示・提案するか
この表によって、お客様はプロジェクトの進行状況を把握し、必要なタイミングで適切な準備や判断を行うことができます。また、制作会社側も、提示・提案の義務を明確にし、プロジェクト全体の透明性を高めることができます。
「言った」「言わない」のトラブルを未然に防ぐために
同じ日本語を母国語とする者同士であっても、創作物を依頼する側と制作する側では、価値観や表現方法が完全に一致することは稀です。だからこそ、客観的な資料を用いて相互の認識を共通化する努力を惜しまないことが、何よりも重要になります。
もし、これらの客観的な資料が残っていれば、「どう話が違うのか?」という具体的な問題点について話し合い、解決の糸口を見つけることができます。しかし、これらの資料がなければ、水掛け論に終始し、紛争が解決することは永遠にありません。
「見積書」「シナリオ」「スケジュール表」。これらを明確に提示しない制作会社との取引には、十分な注意が必要です。お客様の大切な投資を無駄にしないためにも、これらの基本ツールを共有し、信頼できるパートナーと映像制作を進めることを強くお勧めします。
B2B映像制作について、さらに詳しくお話しを伺いたい場合は、お気軽にご連絡ください。

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