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BEV、HEV、PHEVの違いを可視化する映像制作案

更新日:16 時間前

1997年12月10日に世界に先駆けて量産型ハイブリッド自動車として発売された、トヨタ自動車の「プリウス」。「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズで登場したこのクルマは、ずんぐりとした車形がむしろ環境に優しいクルマとしての認知を高め、ハリウッドセレブが争って購入したという話題も提供しました、その後、日本はもちろん世界各国で販売され、プリウスはハイブリッド車普及の先駆けとなりました。


あれからもうすぐ30年になろうとしている今、中国の政策によって、世界で電気自動車(BEV)の普及が進む今もなお、日本では消費者の需要が強く、ハイブリッドシステムは日本の自動車産業の基幹技術のひとつです。


弊社プロデューサーは、T社からの依頼で、当時あまり知られていなかったハイブリッドシステムの基本的な技術を、チーフエンジニアから教授され、部品会社や販売会社に説明するためのビデオのシナリオを書き、映像を制作(プロデュース)した経験を持ちます。

当時、このシステムはToyota Hybrid System =THS と呼び、この仕組みで走るクルマの特徴を、すばり「エンジンとモーターのいいといこ取り」と教えられ、THSの技術の核心は、「遊星ギア」と「回生ブレーキ」だとも教わりました。


今後、世界の動向はBEV(純粋に電気モーターだけで走るクルマ)と見込まれているものの、米国、中国の政治的な駆け引きの中での将来展望は予断を許しません。いましばらくは継続する可能性が高い「ハイブリッドシステム」について、勉強しておいて損はありません。


ページの最後には、BEV、HEV、PHEVを比較検討して、お客様が条件に合わせたベストチョイスをしていただくための映像コンテンツ案を掲載しました。



BEV/HEV/PHEV


予備知識


現在の一般社会では、自動車の駆動方法(エンジン / モーターの組み合わせ)の名称を、EV / HV / PHV という呼び名を使いますが、HVはもともとHEV(Hybrid Electric Vehicle)であり、PHVはPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)であったことから分かる通り、これらは将来の夢としての電気自動車(Electric Vehicle = EV)を標榜した技術でした。


しかし、HEVが想定外に一般社会に普及したことで、これが決して純粋には電気自動車ではないことを認知が進みました。そのためHEVはHVになり、PHEVはトヨタ自動車自身が「PHV」いう名をつけて販売したことから、PHEVもPHVに短縮され定着しました。


一方でもともとハイブリッド車が普及するまではElectric Vehicle = EVは本来は電動車全体の総称であり、HEVやFCEVに電気自動車要素を搭載していることを知っている自動車関係者は、技術的な会話ではコミュニケーションの齟齬を避けるために、バッテリーのみで走る車に対して「BEV」という呼び名を使うようになりました。



1. BEVとはなにか?


1.1 基本概念


BEV(Battery Electric Vehicle)は、バッテリーに蓄えた電力のみで走行する自動車です。内燃機関を持たず、電気モーターを駆動源として使用するため、走行時に排気ガスを一切排出しません。従来のガソリン車やディーゼル車とは根本的に異なる動力システムを採用しており、環境負荷の軽減と持続可能な交通手段として注目されています。



1.2 基本要素


BEVの主要構成要素は以下の通りです。


バッテリーパック

車両の心臓部であり、リチウムイオン電池が主流です。高電圧(通常400V~800V)で大容量の電力を蓄え、車両の航続距離を決定する重要な要素です。


電気モーター

電力を機械的エネルギーに変換する装置で、多くの場合AC(交流)モーターが使用されます。内燃機関と比較して高効率で、瞬時に最大トルクを発生できる特徴があります。


インバーター

バッテリーからの直流電力を交流電力に変換し、モーターの回転数や出力を制御します。車両の加速や減速をスムーズに行うために不可欠です。


充電システム

外部電源からバッテリーへの充電を管理し、充電ポート、充電制御装置、冷却システムなどが含まれます。


回生ブレーキシステム

減速時にモーターを発電機として動作させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに回収します。



1.3 動作原理


BEVはバッテリーに蓄えられた直流電力がインバーターによって交流電力に変換され、電気モーターに供給されます。電気モーターは電磁誘導の原理により回転力を発生し、この回転力がギアボックスを通じて車輪に伝達されます。

加速時はバッテリーから電力を消費し、減速時は回生ブレーキにより運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに戻します。この回生システムにより、従来の摩擦ブレーキと比較してエネルギー効率が大幅に向上します。

電気モーターは回転数制御が容易で、低回転から高トルクを発生できるため、変速機が不要または簡素化できる利点があります。



1.4 充電方法


BEVの充電方法は主に以下の種類があります。


普通充電(AC充電)

家庭用電源や公共施設の充電設備を使用する方法です。充電時間は6~8時間程度かかりますが、コストが安く、バッテリーへの負担が少ないため日常的な充電に適しています。


急速充電(DC充電)

高出力の直流電力を直接バッテリーに供給する方法で、30分~1時間程度で80%程度まで充電できます。長距離移動時の継ぎ充電に有効ですが、バッテリーの劣化を早める可能性があります。


超急速充電

150kW以上の高出力充電で、10~20分程度で大幅な充電が可能です。最新の充電規格では350kW以上の出力も実現されています。


ワイヤレス充電

電磁誘導により非接触で充電する技術で、駐車するだけで自動的に充電できますが、まだ普及段階にあります。


充電効率やバッテリー寿命を考慮し、適切な充電方法を選択することが重要です。




2. BEVとエンジン車の製造における特徴


2.1 部品点数の大幅な違い


BEVはエンジン車と比較して部品点数が劇的に少なくなります。従来のガソリン車が約3万点の部品を使用するのに対し、BEVは約2万点程度と推定されており、約30~40%の部品点数削減が可能です。

この削減は主にパワートレイン部分で顕著に現れます。エンジン車では内燃機関、変速機、排気系、燃料系など数千点の部品が必要ですが、BEVではモーター、インバーター、減速機など数百点程度に簡素化されます。



2.2 機械部品から電子部品への転換


BEVの製造では機械加工から電子・電気部品の組み立てへと製造プロセスが大きく変化します。精密な機械加工が必要なエンジン部品(ピストン、クランクシャフト、カムシャフトなど)が不要になり、代わりに半導体、電子回路、バッテリーセルなどの電子部品が中心となります。



2.3 製造工程の変化


組み立て工程が大幅に簡素化されます。エンジン車では複雑な機械部品の精密な組み立てが必要ですが、BEVでは比較的単純な電気部品の接続が中心となります。これにより組み立て時間の短縮と品質の安定化が期待できます。

ただし、バッテリーパックの組み立ては新たな専門工程として重要性が増しています。数千個のバッテリーセルを安全に組み立て、冷却システムや安全装置を統合する高度な技術が必要です。



2.4 サプライチェーンの変化


従来の金属加工・機械部品メーカーから電子部品・化学メーカーへの依存度が高まります。特にバッテリーに使用されるリチウム、コバルト、ニッケルなどの希少金属の調達が重要になり、資源確保が製造戦略の鍵となります。



2.5 品質管理の特徴


機械的な精度管理から電気的特性の管理へと品質管理の焦点が移ります。バッテリーの性能バラつき、電子部品の信頼性、電磁適合性(EMC)などの検査が重要になります。



2.6 製造設備の違い


重厚な機械加工設備が不要になる一方で、クリーンルームや電気安全設備の重要性が増します。バッテリー製造では湿度管理が重要で、高電圧部品の取り扱いには特殊な安全対策が必要です。



2.7 製造コストの構造変化


エンジン車では製造コストの大部分が人件費と設備償却費でしたが、BEVでは**材料費(特にバッテリー)**の比重が大幅に増加します。バッテリーが車両コストの30~40%を占めるため、バッテリー技術の進歩とコスト削減が製造競争力を左右します。

これらの変化により、自動車産業の製造構造が根本的に変わり、新たな技術力とサプライチェーンの構築が求められています。




3. ハイブリッド電気自動車(HEV)について


3.1 HEVの基本概念


ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関と電気モーターを組み合わせた駆動システムを採用した自動車です。この二つの動力源を効率的に使い分けることで、従来の内燃機関のみの車両と比較して大幅な燃費向上を実現しています。

HEVの最大の特徴は、外部からの充電を必要とせず、走行中にエンジンの動力や回生ブレーキによって発電された電力をバッテリーに蓄えることです。この電力を使って電気モーターを駆動し、エンジンの負荷を軽減することで燃費を向上させています。

弊社プロデューサー制作事例

ハイブリッドの概念


3.2 HEVの構成要素


HEVは主に以下の要素で構成されています。


内燃機関(エンジン)

従来のガソリンエンジンやディーゼルエンジンが使用されますが、HEV用に最適化されています。効率の良い運転領域で動作するよう制御され、電気モーターとの協調により総合的な効率を向上させています。


電気モーター

発電機としても機能する電気モーターが搭載されています。低速域ではエンジンをアシストし、高速域では発電機として動作することもあります。また、車両の減速時には回生ブレーキとして機能し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えます。


バッテリー

ニッケル水素バッテリーやリチウムイオンバッテリーが使用されています。容量は比較的小さく、通常は1-2kWh程度です。このバッテリーは電気モーターの駆動や発電機からの電力を蓄える役割を果たします。


インバーター

直流電力を交流電力に変換する装置で、バッテリーの電力を電気モーターで使用できる形に変換します。また、回生ブレーキ時には交流電力を直流電力に変換してバッテリーに蓄えます。


動力分割機構(遊星ギア)

エンジンの動力を駆動輪への伝達と発電機の駆動に分割する機構です。プラネタリーギア(遊星ギア)を使用することが多く、エンジンと電気モーターの出力を効率的に組み合わせることができます。この遊星ギアシステムは、ハイブリッドシステムの心臓部とも言える重要な技術です。



3.3 HEVの動作原理


HEVの動作は、走行状況に応じて以下のモードに分けられます。


電気モーター走行

発進時や低速走行時には、エンジンを停止して電気モーターのみで走行します。この時、バッテリーに蓄えられた電力を使用するため、排出ガスがゼロとなり、静粛性も向上します。


エンジン走行

高速走行時や高負荷時には、エンジンのみで走行します。エンジンが最も効率的に動作する領域で運転され、余剰の動力は発電機を回してバッテリーに電力を蓄えます。


ハイブリッド走行

加速時や登坂時など、大きな動力が必要な場合には、エンジンと電気モーターの両方を使用して走行します。エンジンの出力を電気モーターでアシストすることで、必要な動力を確保しながら燃費を向上させます。


回生ブレーキ

減速時や下り坂では、電気モーターが発電機として動作し、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えます。この仕組みにより、従来は熱として失われていたエネルギーを回収でき、ハイブリッドシステムの効率向上に大きく貢献しています。回生ブレーキは、ハイブリッドシステムの燃費向上における最も重要な技術の一つです。



3.4 HEVの種類


HEVには、システムの構成により以下の種類があります。


シリーズハイブリッド

エンジンは発電のみに使用され、駆動輪は常に電気モーターで駆動されます。エンジンと駆動輪が機械的に直結されていないため、エンジンを常に最適な回転数で運転できます。


パラレルハイブリッド

エンジンと電気モーターの両方が駆動輪に直結されており、それぞれが独立して、または協調して駆動力を発生させます。構造が比較的簡単で、従来の車両からの改良が容易です。


シリーズパラレルハイブリッド

シリーズとパラレルの両方の特徴を持つシステムで、動力分割機構により、エンジンの動力を駆動と発電に分割できます。最も高い効率を実現できるシステムとして、多くの車両で採用されています。



3.5 HEVの利点


燃費向上

エンジンと電気モーターの協調により、従来の車両と比較して30-40%の燃費向上が可能です。特に、停止・発進が多い市街地走行では大きな効果があります。


排出ガス削減

燃費向上により、二酸化炭素の排出量が大幅に削減されます。また、電気モーター走行時には排出ガスがゼロとなります。


静粛性

電気モーター走行時やエンジン停止時には、非常に静かな走行が可能です。特に住宅地や早朝・深夜の走行時に効果的です。


走行性能

電気モーターの特性により、発進時から最大トルクが得られ、スムーズで力強い加速が可能です。


メンテナンス性

回生ブレーキの使用により、従来のブレーキパッドの摩耗が軽減され、メンテナンス頻度が減少します。



3.6 HEVの課題


初期コスト

複雑なシステムにより、従来の車両と比較して初期購入価格が高くなります。


バッテリー交換コスト

バッテリーの劣化により交換が必要となった場合、高額な費用が発生する可能性があります。


重量増加

バッテリーやモーターの搭載により、車両重量が増加します。


低速走行時の静粛性

電気モーター走行時の静粛性は利点でもありますが、歩行者が車両の接近に気づきにくいという安全上の課題もあります。




4. ハイブリッドシステムの核心技術


4.1 遊星ギア(プラネタリーギア)システム


遊星ギアシステムは、ハイブリッドシステムの最も重要な技術の一つで、特にトヨタのハイブリッドシステム(THS:Toyota Hybrid System)において中核的な役割を果たしています。このシステムは、その名前の通り、太陽の周りを惑星が回るような構造をしており、機械的な無段変速機として機能します。


・遊星ギアの構造と構成要素


遊星ギアは、以下の四つの主要な要素から構成されています。


サンギア(太陽歯車)

システムの中心に位置する歯車で、通常は発電機(MG1:Motor Generator 1)に接続されています。サンギアは他の全ての歯車の動作を制御する基準となる要素です。


プラネタリーギア(遊星歯車)

サンギアの周りを回転する複数の小さな歯車です。これらの歯車は、サンギアと外側のリングギアの両方に噛み合っており、プラネタリーキャリアに支持されています。


リングギア(内歯車)

システムの外周に配置された内歯車で、通常は駆動輪に接続されています。リングギアは車両の推進力を最終的に伝達する要素です。


プラネタリーキャリア

プラネタリーギアを支持し、エンジンに直結されている要素です。エンジンの回転力を遊星ギアシステムに伝達します。


遊星ギア
遊星ギア

・遊星ギアの動作原理


遊星ギアシステムの最大の特徴は、三つの要素のうち一つを固定すると、残りの二つの要素の回転比が決まるという点です。ハイブリッドシステムでは、この特性を利用して以下のような動作を実現しています。


動力分割機能

エンジンからプラネタリーキャリアに入力された動力は、遊星ギアの作用により自動的に二つの経路に分割されます。一部は発電機(MG1)を回転させて電力を発生させ、残りは駆動輪に向かって伝達されます。この分割比は、各要素の回転速度によって連続的に変化します。


無段変速機能

発電機(MG1)の回転速度を制御することで、エンジンの回転速度と駆動輪の回転速度の関係を連続的に変化させることができます。これにより、従来の段階的な変速機では実現できない、滑らかで効率的な変速が可能になります。


回転数制御

エンジンの回転数を車速に関係なく最適な値に保つことができるため、エンジンを常に最も効率的な運転点で動作させることが可能です。これにより、大幅な燃費向上を実現しています。



・遊星ギアシステムの利点


機械的効率の高さ

遊星ギアシステムは純機械的な動力伝達が可能なため、電気的な変換損失を最小限に抑えることができます。効率は95%以上と非常に高く、エネルギー損失を最小限に抑えています。


コンパクト性

複数の機能を一つのシステムに統合できるため、システム全体をコンパクトに構成できます。これにより、車両の設計自由度が向上し、室内空間の確保にも貢献しています。


耐久性

機械的な構造であるため、電子制御システムと比較して耐久性に優れています。適切なメンテナンスを行えば、長期間にわたって安定した性能を発揮できます。


応答性

機械的な動力伝達のため、瞬時に動力配分を変更できます。これにより、運転者の要求に対して迅速に応答できます。



4.2 回生ブレーキシステム


回生ブレーキは、ハイブリッドシステムのもう一つの核心技術で、従来は熱として失われていた制動エネルギーを電気エネルギーとして回収する画期的なシステムです。このシステムの効率的な動作が、ハイブリッド車の燃費向上に決定的な役割を果たしています。


・回生ブレーキの基本原理


回生ブレーキの動作原理は、電気モーターの可逆性を利用しています。通常、電気モーターは電気エネルギーを機械エネルギーに変換しますが、外部から回転力を与えると発電機として動作し、機械エネルギーを電気エネルギーに変換します。


運動エネルギーの回収

車両が減速する際、車輪の回転エネルギーが電気モーターに伝達されます。この時、電気モーターは発電機として動作し、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換します。


電気エネルギーの蓄積

発電された電気エネルギーは、インバーターを通じて直流電力に変換され、バッテリーに蓄えられます。この電力は、後で電気モーターの駆動に使用されます。


制動力の発生

電気モーターが発電機として動作する際、回転に対する抵抗力が発生します。この抵抗力が制動力として機能し、車両を減速させます。


フレミングの法則
フレミングの法則


・回生ブレーキの制御システム


回生ブレーキの効果を最大化するために、精密な制御システムが必要です。


制動力配分制御

運転者がブレーキペダルを踏む力に応じて、回生ブレーキと摩擦ブレーキの制動力を最適に配分します。軽い制動時には回生ブレーキを優先し、強い制動時には摩擦ブレーキを併用します。


回生効率最適化

車速、バッテリー残量、温度などの条件に応じて、回生ブレーキの動作を最適化します。バッテリーが満充電に近い場合は、回生量を制限して過充電を防ぎます。


車両安定性制御

回生ブレーキによる制動力が車両の安定性に影響を与えないよう、各輪の制動力を個別に制御します。滑りやすい路面では、回生ブレーキの効果を制限し、摩擦ブレーキを優先します。



・回生ブレーキの効果


エネルギー回収効率

回生ブレーキにより、制動エネルギーの約60-70%を電気エネルギーとして回収できます。これは、従来の摩擦ブレーキでは全て熱として失われていたエネルギーの大部分を有効活用できることを意味します。


燃費向上への貢献

回生ブレーキによる燃費向上効果は、走行パターンにより異なりますが、市街地走行では20-30%の燃費向上に貢献します。特に、停止・発進が頻繁な環境では、その効果が顕著に現れます。


ブレーキ部品の摩耗軽減

回生ブレーキの使用により、従来の摩擦ブレーキの使用頻度が減少し、ブレーキパッドやブレーキローターの摩耗が大幅に軽減されます。これにより、メンテナンスコストの削減にも貢献します。



・回生ブレーキの制約と課題


低速域での効果低下

回生ブレーキの効果は車速に依存するため、低速域では効果が低下します。完全停止直前では、摩擦ブレーキに切り替える必要があります。


バッテリー状態による制限

バッテリーが満充電に近い場合や、低温時にはバッテリーの受け入れ能力が低下し、回生ブレーキの効果が制限されます。


運転感覚の調整

回生ブレーキと摩擦ブレーキの切り替えにより、ブレーキフィールが変化する場合があります。運転者が違和感を感じないよう、精密な制御が必要です。



4.3 遊星ギアと回生ブレーキの協調制御


ハイブリッドシステムの真の効果は、遊星ギアシステムと回生ブレーキシステムが協調して動作することで発揮されます。


・統合制御システム


最適動作点制御

遊星ギアシステムにより、エンジンを最適な効率点で運転し、回生ブレーキシステムにより制動エネルギーを回収します。これらの制御を統合することで、システム全体の効率を最大化します。


予測制御

GPS情報や学習機能を活用して、走行ルートの勾配や交通状況を予測し、遊星ギアの動力配分と回生ブレーキの動作を事前に最適化します。


エネルギーマネジメント

バッテリーの充電状態を監視し、遊星ギアによる発電量と回生ブレーキによる回収量を最適化します。これにより、バッテリーを最も効率的に活用できます。



・相乗効果


燃費向上の最大化

遊星ギアによるエンジン効率の向上と、回生ブレーキによるエネルギー回収が相乗効果を発揮し、従来車と比較して40-50%の燃費向上を実現します。


システム効率の最適化

両システムの協調により、エネルギーの無駄を最小限に抑え、システム全体の効率を最大化します。


環境性能の向上

燃費向上により、二酸化炭素排出量を大幅に削減し、環境負荷を軽減します。

これらの技術革新により、ハイブリッドシステムは従来の自動車技術の限界を超えた性能を実現し、持続可能な交通手段として重要な役割を果たしています。




5. PHEVの基本概念


プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)は、HEVをさらに発展させたシステムで、外部電源からの充電が可能な大容量バッテリーを搭載した車両です。家庭用コンセントや専用充電設備から充電できるため、電気のみでの走行距離を大幅に延長することができます。

PHEVは、短距離の日常的な移動では電気のみで走行し、長距離移動時にはエンジンと電気モーターのハイブリッドシステムとして動作します。これにより、電気自動車の環境性能と従来の内燃機関車の航続距離を両立させた駆動システムとなっています。


5.1 PHEVの構成要素


PHEVの基本構成はHEVと似ていますが、以下の点で大きく異なります。


大容量バッテリー

PHEVには通常10-20kWh程度の大容量バッテリーが搭載されており、これはHEVの10倍以上の容量になります。この大容量バッテリーにより、電気のみでの走行距離は40-100km程度まで延長されます。


外部充電システム

車両に充電ポートが設けられており、家庭用コンセント(AC100V/200V)や専用充電設備(AC200V、DC急速充電)から充電することができます。


強化された電気モーター

より長距離の電気走行に対応するため、出力の大きい電気モーターが搭載されています。


高度な制御システム

外部充電による電力とエンジンによる発電を効率的に管理するため、より高度な制御システムが必要となります。



5.2 PHEVの動作原理


PHEVの動作は、基本的にはHEVと同様ですが、以下の特徴があります。


EVモード(電気自動車モード)

バッテリーに十分な電力がある場合、エンジンを完全に停止して電気のみで走行します。この距離は車種により異なりますが、一般的に40-100kmの走行が可能です。


ハイブリッドモード

バッテリーの電力が不足した場合や、高速走行時など大きな動力が必要な場合には、HEVと同様にエンジンと電気モーターを協調させて走行します。


チャージモード

一部の車両では、エンジンを使用してバッテリーを積極的に充電するモードが設けられています。これにより、後で電気走行を行う準備ができます。



5.3 PHEVの充電方法


PHEVの充電には以下の方法があります。


家庭用コンセント充電(AC100V)

一般的な家庭用コンセントから充電が可能です。充電時間は長くなりますが、特別な設備を必要とせず、最も手軽な充電方法です。


家庭用電源充電(AC200V)

エアコンなどで使用される200V電源を使用した充電です。100V充電と比較して約半分の時間で充電が完了します。


専用充電設備(普通充電)

商業施設や駐車場などに設置された専用の充電設備を使用します。AC200Vが一般的で、安全性と利便性が向上しています。


急速充電(DC)

高速道路のサービスエリアなどに設置されたDC急速充電器を使用します。短時間で大量の電力を充電できますが、バッテリーへの負荷が大きいため、頻繁な使用は推奨されません。



5.4 PHEVの利点


電気走行距離の延長

大容量バッテリーにより、日常的な短距離移動であれば電気のみで走行でき、ガソリンを全く使用しない日も多くなります。


航続距離の不安解消

電気のみで走行できる距離を超えても、エンジンが動作するため、電気自動車のような航続距離の不安がありません。


充電インフラの依存度軽減

充電設備が利用できない場合でも、エンジンで走行できるため、充電インフラの整備状況に左右されにくいです。


さらなる燃費向上

適切に充電して使用すれば、HEVよりもさらに高い燃費性能を実現できます。


電力需要の分散

夜間電力を使用した充電により、電力需要の平準化に貢献できます。


非常用電源としての活用(V2H:Vehicle to Home)

PHEVの大容量バッテリーは、停電時や災害時の非常用電源として家庭に電力を供給できます。10-20kWhの容量があれば、一般家庭の1-2日分の電力を賄うことが可能で、災害時のエネルギーセキュリティを大幅に向上させます。この機能は、PHEVの最も重要な利点の一つです。特に日本のような自然災害の多い国では、この機能は非常に重要で、台風や地震による停電時に、冷蔵庫、照明、通信機器などの必要最低限の電力を確保できます。



5.5 PHEVの課題


高い初期コスト

大容量バッテリーと充電システムにより、HEVよりもさらに高い初期コストとなります。


重量とスペース

大容量バッテリーの搭載により、車両重量が増加し、荷室スペースが圧迫される場合があります。


充電の手間

最大限の効果を得るためには、定期的な充電が必要で、使用者の充電習慣が燃費に大きく影響します。


バッテリー劣化

充電回数が多いため、バッテリーの劣化が早く進む可能性があります。


充電インフラの必要性

外出先での充電を考慮すると、充電インフラの整備が重要となります。


レアメタル資源の課題

PHEVの大容量バッテリーには、リチウム、コバルト、ニッケル、希土類元素などのレアメタルが大量に使用されています。これらの資源は地政学的リスクを抱えており、供給の安定性や価格変動が大きな課題となっています。また、採掘時の環境負荷や労働環境の問題も指摘されており、持続可能性の観点から重要な検討事項です。



6. HEVとPHEVの比較


6.1 技術的な違い


バッテリー容量

HEVは1-2kWh程度の小容量バッテリーを搭載するのに対し、PHEVは10-20kWh程度の大容量バッテリーを搭載しています。この違いにより、電気のみでの走行距離に大きな差が生じます。


充電方式

HEVは走行中の回生ブレーキやエンジンによる発電のみでバッテリーを充電しますが、PHEVは外部からの充電も可能です。


システムの複雑さ

PHEVは外部充電システムや大容量バッテリーの制御が必要なため、HEVよりも複雑なシステムとなっています。



6.2 使用環境による適性


短距離中心の使用

日常的な移動が短距離中心で、自宅での充電が可能な場合、PHEVの方が大きなメリットがあります。電気のみでの走行により、燃料費を大幅に削減できます。


長距離使用

長距離移動が多い場合、HEVの方が適している場合があります。PHEVの大容量バッテリーの重量により、高速道路での燃費がHEVより劣る場合があるためです。


充電環境

自宅や職場に充電設備がある場合はPHEVが有利ですが、充電環境が整っていない場合はHEVの方が使いやすいです。



6.3 経済性の比較


初期コスト

HEVの方が初期コストは安く、PHEVは高額になります。


ランニングコスト

適切に充電して使用すれば、PHEVの方がランニングコストは安くなります。電気代はガソリン代よりも安価なためです。


補助金・税制優遇

多くの国や地域で、PHEVの方がHEVよりも手厚い補助金や税制優遇を受けることができます。




7. 最新の技術動向


7.1 バッテリー技術の進歩


リチウムイオンバッテリーの改良

エネルギー密度の向上により、同じ容量でもより軽量・小型のバッテリーが開発されています。また、充電速度の向上や寿命の延長も進んでいます。


次世代バッテリー

全固体電池や次世代リチウムイオン電池の開発により、さらなる性能向上が期待されています。



7.2 制御技術の高度化


AI技術の活用

人工知能を活用した学習機能により、運転者の運転パターンを学習し、より効率的なエネルギー管理が可能になっています。


予測制御

GPSや地図情報を活用して、走行ルートの勾配や交通状況を予測し、最適なエネルギー配分を行う技術が開発されています。



7.3 充電技術の進歩


急速充電技術

充電時間の短縮により、PHEVの利便性が向上しています。


ワイヤレス充電

駐車時に自動的に充電を開始するワイヤレス充電技術の実用化が進んでいます。


V2H(Vehicle to Home)技術

車両のバッテリーを家庭用電源として活用する技術により、災害時の非常用電源としても活用できます。PHEVの大容量バッテリーは、停電時に家庭全体の電力を数日間供給できる能力を持っています。



8. 環境への影響


8.1 温室効果ガス削減効果


HEVとPHEVは、従来の内燃機関車と比較して大幅な温室効果ガス削減効果があります。PHEVの場合、適切に充電して使用すれば、さらに大きな削減効果が期待できます。



8.2 レアメタル資源問題と対策


ハイブリッドシステム、特にPHEVが直面する最大の課題の一つが、レアメタル資源の問題です。


・主要なレアメタルと課題


リチウム

バッテリーの主要材料であるリチウムは、世界の埋蔵量の約半分が南米(チリ、アルゼンチン、ボリビア)に集中しています。需要の急増により価格が不安定化し、供給不足への懸念が高まっています。


コバルト

高性能バッテリーに不可欠なコバルトは、約60%がコンゴ民主共和国で産出されています。政情不安定、児童労働問題、環境汚染などの深刻な社会問題を抱えており、倫理的な調達が重要な課題となっています。


ニッケル

バッテリーの容量向上に重要なニッケルは、インドネシア、フィリピン、ロシアなどに偏在しており、地政学的リスクを抱えています。


希土類元素

モーター用永久磁石に使用される希土類元素(ネオジム、ディスプロシウムなど)は、中国が世界産出量の約80%を占めており、供給の安定性が懸念されています。



・対策と技術開発


リサイクル技術の向上

使用済みバッテリーからレアメタルを回収・再利用する技術が開発されており、資源循環型社会の構築が進められています。


代替材料の開発

コバルトフリーバッテリーや、希土類を使用しない同期リラクタンスモーターなど、レアメタルへの依存度を減らす技術開発が進んでいます。


供給源の多様化

特定地域への依存を減らすため、新たな鉱山開発や海底資源開発などにより、供給源の多様化が図られています。



・環境・社会への影響


製造から廃棄までのライフサイクル全体で環境負荷を評価すると、バッテリー製造時の環境負荷はあるものの、使用期間中の削減効果により、トータルでは環境負荷が軽減されます。ただし、レアメタル採掘による環境破壊や、採掘地域の労働環境問題については、継続的な改善が必要です。



・電力供給の脱炭素化


電力供給の脱炭素化が進むことで、PHEVの環境効果はさらに向上します。再生可能エネルギーの普及により、電気走行時の環境負荷がさらに軽減されます。また、レアメタル採掘・精製工程での再生可能エネルギー利用も、全体的な環境負荷軽減に貢献します。



9. 今後の展望


市場の拡大

HEVとPHEVの市場は今後も拡大が予想されます。環境規制の強化や技術の進歩により、より多くの車種でこれらのシステムが採用されるでしょう。


技術の進化

バッテリー技術の進歩により、PHEVの電気走行距離はさらに延長され、HEVの燃費性能も向上するでしょう。また、製造コストの削減により、より多くの消費者が購入しやすくなることが期待されます。


インフラの整備

充電インフラの整備が進むことで、PHEVの利便性が向上し、普及が加速するでしょう。



ハイブリッド電気自動車(HEV)とプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)は、いずれも内燃機関と電気モーターを組み合わせた駆動システムですが、それぞれ異なる特徴と適用場面があります。

HEVは、外部充電を必要とせず、回生ブレーキやエンジンによる発電でバッテリーを充電する比較的シンプルなシステムです。初期コストが抑えられ、充電の手間がないため、幅広いユーザーに適しています。

PHEVは、外部充電が可能な大容量バッテリーを搭載し、電気のみでの走行距離を大幅に延長したシステムです。適切に充電して使用すれば、さらに大きな環境効果と経済効果を得ることができますが、初期コストが高く、充電の手間が必要です。


技術の進歩により、これらのシステムはさらに改良され、より多くの人々にとって魅力的な選択肢となることが期待されます。日本のエネルギー事情は他の国々とは大きく異なるため、BEV化については低環境負荷を総合的に判断する必要があります。環境保護と経済性を両立させた次世代の自動車技術として、HEVとPHEVは今後しばらくは重要な位置を占め続けるでしょう。



10. 名古屋の映像制作会社が提案する

「BEV・HEV・PHEVあなたならどれを選ぶ!」


10.1 HEVとPHEV、あなたならどちらを選ぶ?


機構・機能から見たベネフィット比較

基本的な機構の違い


HEV(ハイブリッド車)の機構

  • エンジン + 小容量モーター + 小容量バッテリー

  • エンジンが主動力、モーターが補助

  • バッテリーは走行中の回生ブレーキで自動充電

  • 外部充電機能なし



PHEV(プラグインハイブリッド車)の機構

  • エンジン + 大容量モーター + 大容量バッテリー

  • モーターが主動力、エンジンが補助

  • 外部充電機能あり(家庭用電源・充電スタンド)

  • EV走行とHV走行の両方に対応



機能面での決定的な違い

機能

HEV

PHEV

EV走行距離

1〜2km程度

50〜70km程度

充電方法

走行中の自動充電のみ

外部充電 + 走行中充電

走行モード

エンジン主体の1モード

EV走行・HV走行の2モード

電力供給

車内電装品のみ

家庭用電源として利用可能


あなたのライフスタイル別ベネフィット比較


通勤・買い物中心の近距離ユーザー


HEVのメリット

  • 手軽さ: 充電を意識する必要がない

  • 価格: 車両価格が50万円程度安い

  • 維持: 充電設備工事が不要


PHEVのメリット

  • 経済性: 日常の大部分をEV走行で電気代のみ

  • 静粛性: 朝の住宅街でも音を気にしない

  • 環境性: CO2排出量を大幅削減


年間コスト比較例(年間1万km走行)

  • HEV: 燃料費 約8万円

  • PHEV: 電気代 約3万円 + たまのガソリン代 約1万円



長距離ドライブ好きユーザー


HEVのメリット

  • 航続距離: 1,000km超の長距離走行が可能

  • 給油: 全国どこでも3分で満タン

  • 荷物: 燃料タンクが小さくならない


PHEVのメリット

  • 燃費: 高速道路でもHV走行で優れた燃費

  • パワー: モーターの瞬発力で追い越しが楽

  • 災害時: 避難先での電源確保が可能


長距離走行時の燃費比較

  • HEV: 約25km/L

  • PHEV: 約22km/L(HV走行時)



戸建て住宅ユーザー


HEVのメリット

  • 設備不要: 充電設備の設置コストゼロ

  • メンテナンス: 充電ケーブルの管理不要


PHEVのメリット

  • 自宅充電: 深夜電力で格安充電(約200円/回)

  • 非常電源: 停電時に家全体の電力をバックアップ

  • 売電: 余剰電力を電力会社に売却可能


災害時の電力供給能力

  • HEV: 小型電化製品のみ(100V/1.5kW)

  • PHEV: 家庭全体(100V・200V/最大6kW、3〜5日分)



マンション・アパート住まいユーザー


HEVのメリット

  • 制約なし: 充電環境を選ばない

  • 引越し: 住環境の変化に左右されない


PHEVのメリット

  • 充電スポット: 職場・商業施設での充電活用

  • 将来性: 充電インフラ拡充で利便性向上



10年後を見据えた選択


HEVを選ぶべき人


  • シンプル重視: 充電を考えたくない

  • 価格優先: 初期投資を抑えたい

  • 長距離多用: 年間2万km以上走行

  • 賃貸住宅: 充電設備の設置が困難


PHEVを選ぶべき人


  • 経済性重視: ランニングコストを下げたい

  • 環境意識: CO2削減に積極的

  • 戸建て住宅: 自宅充電環境を整備可能

  • 災害備え: 非常用電源として活用したい



あなたの選択は?


HEV: 手軽さと実用性を重視する現実派

  • 充電の手間をかけずに燃費向上を実現

  • 従来車からの乗り換えが最もスムーズ


PHEV: 経済性と環境性を追求する先進派

  • 日常はEV、長距離はHVの「いいとこ取り」

  • 初期投資は高いが長期的にはより経済的



最終的な判断基準


  1. 年間走行距離: 1万km以下ならPHEV有利

  2. 住環境: 戸建てならPHEV、集合住宅ならHEV

  3. 価格感度: 初期コスト重視ならHEV、総コスト重視ならPHEV

  4. 充電への意識: 面倒ならHEV、楽しめるならPHEV




10.2 PHEVとBEV、あなたならどちらを選ぶ?


機構・機能から見たベネフィット比較

基本的な機構の違い


PHEV(プラグインハイブリッド車)の機構


  • エンジン + 大容量モーター + 中容量バッテリー

  • EV走行とHV走行の両方に対応

  • 外部充電機能 + 走行中の自動充電

  • 航続距離の不安がない2つの動力源


BEV(バッテリー電気自動車)の機構


  • 大容量モーター + 大容量バッテリーのみ

  • 100%電気走行のみ

  • 外部充電機能のみ

  • シンプルな単一動力源



機能面での決定的な違い

機能

PHEV

BEV

EV走行距離

50〜70km程度

300〜600km程度

総航続距離

1,000km超

300〜600km

充電時間

普通充電3〜4時間

普通充電8〜12時間、急速充電30〜60分

動力源

電気 + ガソリン

電気のみ

車両重量

重い(2つのシステム)

軽い(バッテリー分は重い)

メンテナンス

エンジン + 電気系

電気系のみ


あなたのライフスタイル別ベネフィット比較


通勤・買い物中心の近距離ユーザー


PHEVのメリット


  • 安心感: 充電を忘れてもガソリンで走行可能

  • 柔軟性: 急な長距離移動にも対応

  • 価格: BEVより車両価格が安い場合が多い



BEVのメリット


  • 経済性: 電気代のみで圧倒的に安い

  • 静粛性: 完全無音の走行

  • 環境性: 走行時CO2排出ゼロ

  • メンテナンス: エンジンオイル交換など不要



年間コスト比較例(年間1万km走行)


  • PHEV: 電気代 約3万円 + ガソリン代 約1万円

  • BEV: 電気代 約2万円のみ




長距離ドライブ好きユーザー


PHEVのメリット


  • 航続距離: 1,000km超の長距離走行が可能

  • 充電不安: 充電スポットを気にせず旅行可能

  • 充電時間: ガソリン給油で3分で満タン

  • 寒冷地: 暖房使用でも航続距離が変わらない



BEVのメリット


  • 高速料金: 一部地域でEV割引適用

  • 走行性能: 低重心で優れた操縦安定性

  • 加速性能: 瞬発力のあるリニアな加速

  • ランニングコスト: 長距離でも燃料費が圧倒的に安い



長距離走行時の課題


  • PHEV: 高速道路での燃費 約22km/L

  • BEV: 充電計画必須、冬季は航続距離20%減



戸建て住宅ユーザー


PHEVのメリット


  • 充電設備: 200V普通充電で十分

  • 電力契約: 大容量契約不要

  • 停電時: V2H設備でより長時間の電力供給



BEVのメリット


  • 自宅充電: 深夜電力で格安充電(約500円/回)

  • 太陽光発電: 余剰電力の有効活用

  • V2H: 家庭用蓄電池として活用可能



災害時の電力供給能力


  • PHEV: 3〜5日分の家庭用電力

  • BEV: 7〜10日分の家庭用電力(大容量バッテリー)



マンション・アパート住まいユーザー


PHEVのメリット


  • 充電制約: 充電できない日があっても問題なし

  • 外出先充電: 充電スポットを気軽に利用

  • 賃貸対応: 住環境の変化に左右されない



BEVのメリット


  • 職場充電: 会社の充電設備を最大限活用

  • 商業施設: 買い物中の充電で日常カバー

  • 充電コスト: 自宅充電できなくても電気代で済む



充電インフラとの相性


現在の充電環境(2025年)


  • 急速充電器: 全国約30,000基

  • 普通充電器: 全国約60,000基

  • 充電時間: 急速充電30分で80%回復(BEV)



PHEVの充電スタイル


  • 気軽な充電: 「充電できる時にする」スタイル

  • 短時間充電: 普通充電で50kmの距離をカバー

  • 充電忘れ: 忘れてもガソリンで対応可能



BEVの充電スタイル


  • 計画的充電: 長距離では充電計画が必須

  • 定期充電: 週1〜2回の定期的な充電が必要

  • 充電時間: 買い物時間を充電時間に活用



10年後を見据えた選択


PHEVを選ぶべき人


  • 充電不安: 航続距離の不安を感じる

  • 長距離多用: 年間2万km以上、長距離が多い

  • 充電環境: 安定した充電環境が確保できない

  • 移行期: EVへの段階的な移行を希望



BEVを選ぶべき人


  • 環境重視: 完全ゼロエミッション志向

  • 経済性: ランニングコストを最小化したい

  • 充電環境: 自宅または職場で安定した充電が可能

  • テクノロジー: 最新技術を積極的に取り入れたい



技術進化の見通し


2030年に向けた変化


  • BEV航続距離: 500〜800kmが標準に

  • 充電時間: 急速充電15分で80%回復

  • 充電インフラ: 現在の3倍以上に拡充

  • 電池価格: 現在の半分以下に低下



市場での位置づけ


  • PHEV: 移行期の「つなぎ」技術から長期併存へ

  • BEV: メインストリーム化、選択肢が大幅拡大



結論:あなたの選択は?


PHEV: 安心感と柔軟性を重視する現実派


  • 充電不安を抱えずにEV体験を楽しめる

  • 既存のガソリンインフラも活用可能

  • 段階的なEV移行の第一歩として最適



BEV: 環境性と経済性を追求する先進派


  • 完全ゼロエミッション走行を実現

  • 圧倒的な経済性でランニングコストを最小化

  • 自宅充電環境があれば最も合理的



最終的な判断基準


  1. 年間走行距離: 1万km以下ならBEV有利、2万km超ならPHEV

  2. 充電環境: 安定した充電環境があればBEV

  3. 長距離頻度: 月1回以上の長距離移動があればPHEV

  4. 価格感度: 初期コスト重視ならPHEV、総コスト重視ならBEV

  5. 充電への意識: 計画的充電ができればBEV、気軽さ重視ならPHEV



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【弊社プロデューサー自動車関連制作実績】


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【この記事について】

本記事は、製造品出荷額日本一を誇る東海圏・名古屋に拠点を置く株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、各業界の知見を収集・分析しながら、企業が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、産業ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。


【執筆者プロフィール】

株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。

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