EUデータ法が示すIoTの方向性とデータ経済の行方と映像制作会社の役割
- Tomizo Jinno

- 9月17日
- 読了時間: 26分
更新日:10月11日
はじめに
IoTとは:概念と普及事例
モノのインターネット、すなわちIoT(Internet of Things)とは、様々な「モノ」をインターネットに接続することを意味します 。これにより、物理的なデバイスが相互に通信し、データを収集・共有することが可能となります。
IoTの応用範囲は、私たちの日常生活から産業の現場まで、多岐にわたります。身近な例としては、スマートフォンで操作できるスマート家電やスマートロック、健康状態を測定するウェアラブルデバイスなどが挙げられます。これらは個人の生活の利便性を向上させる目的で利用されています。
一方で、産業分野に特化したものは「IIoT(Industrial Internet of Things)」と呼ばれ、製造業における生産ラインのリアルタイム監視や、生産計画の最適化などに活用され、業務効率化や安全性向上に貢献しています 。また、都市全体を対象とした「スマートシティ」もIoTの主要な応用分野です。交通・モビリティ、環境・エネルギー、防災、インフラ管理といった多岐にわたる課題を、IoTセンサーから得られるデータを活用して解決しようとする取り組みが進められています 。
目次

Connected CarとSDVが示すIoTの進化と核心的な解決課題
自動車分野におけるIoTの代表例が Connected Car です。コネクテッドカーは常時インターネットにつながり、車両のセンサーで収集した情報をクラウドに送信し、遠隔診断・渋滞情報共有・地図更新・車両間通信などを可能にします。車は単なる移動手段ではなく、「走るIoTデバイス」として都市交通やモビリティサービス全体の一部を担う存在になりつつあります。
さらにその先にあるのが SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義型自動車) です。従来はハードウェア設計によって固定されていた自動車の機能を、ソフトウェアによって柔軟に定義・更新できる点が特徴です。OTA(Over The Air)アップデートにより、購入後も新機能の追加や性能改善が可能になり、車両は「常に進化するIoT製品」としての側面を持ちます。
名古屋を中心とした中部地方、それ以上に日本の産業の屋台骨を支えるトヨタ自動車が、SDV化する自動車製造ビジネスで勝ち残るには、このIoTが生み出す経済をどう取り込むかにかかっていると言えます。
IoTの概念とその倫理、法理を深く考えることは、これからの時代を生き抜く必須の知見であることに、メーカーだけでなく、多くの人たちが気づいていただければ幸いです。
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第1章:IoTの現況と市場の展望
1.1. 爆発的成長を続けるIoT市場
IoT市場は、近年、驚異的なペースで成長を続けています。世界のIoTセンサー市場は、2024年に626.7億米ドルと推定されており、2034年までには年平均成長率(CAGR)10〜15%程度で成長すると予測されています 。この成長は、ウェアラブルデバイスやスマートホーム機器、産業用機械といった接続機器の急速な増大を見込んでいます。例えば、米国では2024年初頭時点で、半数以上の世帯がスマートプロダクトを所有しています 。
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また、IoTの接続数も飛躍的に増加しています。GSMAのレポートによると、世界のIoT接続数は2023年に151億件に達し、2030年までには290億件を超える見込みです。別の予測では、2025年までに世界のIoTデバイスの総数が約440億台に達するとも言われています 。このような膨大な数のデバイスからリアルタイムで収集されるデータは、意思決定やビジネスオペレーションを劇的に変化させ、産業界全体の自動化とデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる主役となっています。
1.2. 応用分野から見るIoTの実践と価値
IoTの価値は、多岐にわたる応用分野で具体的に実証されています。
1.2.1. 都市の未来を形作るスマートシティ
スマートシティは、IoT技術を駆使して、エネルギー消費、環境悪化、治安といった都市が抱える深刻な課題の解決を目指す取り組みです。IoTセンサーは、交通・モビリティ、環境・エネルギー、防災、そしてインフラ管理の各分野で活用されています。
交通・モビリティ分野では、位置情報や交通観測データを利用して市民の移動を最適化し、自動運転の導入は都市部や観光地での混雑緩和、さらには交通空白地帯の解消に寄与します 。これにより、将来的な交通事業者の人手不足が深刻化しても、持続可能な公共交通サービスの提供が可能となります。
環境・エネルギー分野では、スマートグリッドを通じてエネルギーの総使用量を削減し、再生可能エネルギーの普及を促進します。また、防災においては、地形や気象データを活用した予測やシミュレーションにより、適切な避難誘導や災害対応体制を構築し、ロボット技術の活用も進められています。インフラ管理でも、道路モニタリングセンサーなどを通じてデータの収集とAIによる分析が進められ、維持管理の効率化・高度化が図られています。
1.2.2. 産業界を変革するIIoT (Industrial IoT)
IIoT、すなわち産業用IoTは、製造、物流、輸送といった産業分野に特化したIoTの応用であり、業務効率化や安全性向上を目的としています。一般的な消費者向けIoTとは異なり、IIoTには以下のような特殊な要件が求められます。
堅牢性と安定性
予期せぬエラーや障害、セキュリティリスクに柔軟に対応できる常時稼働と堅牢性が不可欠です。
高度なセキュリティ
製造業では業務上の機密情報や知的財産を取り扱うため、高度なアクセス制御が必須となります。
大容量通信
工場の規模によっては多数のIIoT機器が必要となり、それぞれが通信を行うため、十分なネットワーク帯域幅が求められます。
IIoTの活用事例として、製造業における生産ラインのリアルタイム監視が挙げられます。機器にセンサーを組み込むことで、データの可視化や予知保全が可能となり、生産計画の最適化や属人化の解消に大きく貢献します。これにより、製造現場の生産性を劇的に向上させることが可能となります。
1.3. IoTを支える技術トレンド:5GとエッジAIの役割
IoTの次なる発展を支える鍵となるのが、5G通信技術とエッジコンピューティングの組み合わせです。5Gは「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」という3つの主要な特徴を持ち、従来の通信インフラでは実現が困難であったIoTシステムを可能にする可能性があります。
しかし、全てのデータをクラウドに送信する従来のモデルでは、ネットワークの混雑や遅延、セキュリティリスクが増大するという課題がありました。この問題を解決するのがエッジコンピューティングです。これは、データが生成されるデバイスに近い場所でデータを処理する技術であり、通信の最適化と遅延の極小化を実現します。
この2つの技術は互いに補完し合う関係にあります。例えば、自動運転車は、高精細な3Dマップや交通状況のリアルタイム情報をクラウドからダウンロードする際に5Gの大容量通信を必要とします。一方、衝突回避や緊急ブレーキといった瞬時の判断が必要な処理は、車載のエッジAIがリアルタイムに実行します。
このように、5Gが大量のデータを高速でエッジに送り、エッジAIがそれを瞬時に処理するという連携は、自動運転のようにリアルタイム性が不可欠なアプリケーションを次世代へと進化させます。5GとエッジAIは、相互に作用することで、IoTアプリケーションの性能を飛躍的に向上させる新たなエコシステムを構築していると言えます。
第2章:IoTが抱える本質的な課題
IoTの急速な普及は、その発展を妨げる多層的な課題を表面化させています。
2.1. 技術・運用上の課題
IoTエコシステム全体が抱える最大の課題の一つに、相互運用性の問題があります。多様な企業が独自の通信プロトコルやデータ形式でデバイスを開発しているため、異なる機器やシステム間でのデータのやり取りや統合が困難となっています。マッキンゼー社の試算では、この相互互換性の問題が、IoTがもたらすであろう価値の40%を引き出す上で障壁になっていると指摘されています。
また、IoTデバイスの爆発的な増加は、スケーラビリティの課題も生み出しています。中央集権的なクラウドシステムでは、数十億台規模のデバイスからの大量のトラフィックを処理しきれず、ネットワークの混雑や遅延が生じる可能性があります。これは、リアルタイム性が求められるアプリケーションにとって致命的な問題となり得ます。
さらに、デバイスの稼働には電力の確保が不可欠ですが、特に物理的な電源ケーブルの接続が難しい場所では、バッテリーの長時間駆動が課題となります。加えて、IoTシステムの導入には高額な設備投資が伴い、その妥当性を慎重に判断しなければ、企業の資金繰りを悪化させるリスクがあります。これらの技術的・経済的課題に加え、IoTシステムを適切に管理・運用し、膨大なデータを分析できる人材の確保と教育も喫緊の課題となっています。
2.2. セキュリティ・プライバシーの深刻なリスク構造
IoTの普及において、セキュリティとプライバシーは最も深刻なリスクの一つです。
2.2.1. 脆弱性の温床となるIoTデバイス
IoTデバイスは、その性質上、構造的な脆弱性を抱えています。まず、その種類が多岐にわたり、中には10年以上にわたって使用されるものも多く、ライフサイクルが長いという特徴があります。従来のPCやスマートフォンとは異なり、セキュリティ対策を後付けできない、あるいは画面がないために監視が行き届きにくいという問題があります。また、コストや性能の制約から、十分な暗号化などのセキュリティ対策を適用できない場合もあります。
さらに、ユーザーや管理者の設定・運用上の問題も脆弱性を高めています。最も典型的かつ危険なのが、工場出荷時の初期パスワードが変更されないまま運用されているケースです。このような機器は、攻撃者にとって格好の標的となります。
2.2.2. 監視カメラや産業機器を狙うサイバー攻撃の現実
IoT機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃は、深刻な被害を引き起こします。監視カメラも頻繁に狙われます。国土交通省が管理する河川の監視カメラが、初期パスワードの脆弱性を突かれて稼働停止に追い込まれた事例や、小学校の防犯カメラがウイルスに感染し、映像が盗み見られるリスクが指摘された事例もあります。また、テスラ車の脆弱性が発見され、遠隔操作が可能であった事例も報告されており、人命に関わるリスクも無視できません。
2.2.3. 「踏み台」としての悪用がもたらす連鎖的被害
IoT機器のセキュリティ課題は、単一のデバイスの被害に留まりません。たとえ機密情報を持たない機器であっても、インターネットに接続されているだけで攻撃対象となり得ます。攻撃者は脆弱なIoTデバイスを乗っ取り、「踏み台」として悪用し、そこから他のネットワーク機器やサーバーへの大規模な攻撃(DDoS攻撃など)を仕掛けることができます。マルウェア「Mirai」は、IoTデバイスを乗っ取ってボットネットを形成し、インターネット全体を揺るがす大規模なDDoS攻撃を引き起こしたことで知られています。
この種の攻撃が示すのは、IoTのセキュリティが、そのデバイスの性質(多様性、ライフサイクルの長さ、管理の難しさ)に起因する構造的な脆弱性を抱えているという事実です。従来のITセキュリティが特定の管理されたエンドポイントを対象としていたのに対し、IoTは物理世界に拡散した、管理が行き届きにくい脆弱なエンドポイントを大量に増殖させています。この状況が、単一デバイスの脆弱性がネットワーク全体の脅威となり得る危険な連鎖を生み出しているのです。
2.3. データガバナンスと所有権の法的混沌
IoTが生成するデータは、その経済的価値が注目される一方で、法的なガバナンスの枠組みが未整備であるという課題を抱えています。
2.3.1. 「データ」という無体物の所有権問題
法律上、「所有権」は有体物(形のあるモノ)を対象とする概念であり、データという形のない「無体物」には適用されません。データの保有権を表す「データオーナーシップ」という言葉は用いられますが、法的な定義が定まっているわけではなく、データを盗まれたとしても直ちに法的なクレームをつけることは困難です。また、知的財産権の観点からも、データ保護に決定的な手段がないのが現状です。(欧州では契約・知財法・不正競争防止法を組み合わせて保護する枠組みが存在します。)
2.3.2. データの経済的価値と誰が恩恵を受けるのかという問い
この法的混沌が、データの経済的価値をめぐる不均衡を生み出しています。データ共有による恩恵のほとんどを受けるのは企業であり、消費者が受ける恩恵はわずかだと考える人が大多数です。
この圧倒的な価値の不均衡は、データを収集・保有する企業に強大な優位性を与え、「データの囲い込み(ロックイン)」を助長しています。これにより、ユーザーは特定のサービスに縛られ、新規参入やイノベーションが阻害されるという根本的な問題が生じています。
第3章:EUデータ法が示すIoTデータ管理の新たな地平
IoTが抱えるこうした課題に対し、欧州連合(EU)は新たな法的枠組みを提示しました。それがEUデータ法(Data Act)です。
3.1. EUデータ法(Data Act)の概要と制定背景
3.1.1. EUデータ経済戦略における位置づけと目的
EUデータ法は、EUのデータ戦略に基づき、デジタル市場における技術革新を促進するために制定されました。IoT機器が生成する膨大な産業データの80%が未利用のまま放置されているという現状を、EUは「市場の失敗」と認識しました。この法律の目的は、データの再利用を促すことで、企業や個人がデータに基づいた新たなサービスを受けられるようにし、公正な競争環境を確立することにあります。2025年9月からの施行が予定されており、2028年までに2,700億ユーロの追加GDPを生み出すことが期待されています。
3.1.2. GDPRとの違い:非個人データへの焦点
EUデータ法は、GDPR(一般データ保護規則)と相互に補完し合う関係にあります。GDPRが個人を特定できる情報の保護を目的としているのに対し、データ法は主にIoT機器が生成する非個人データ(環境データ、メタデータなど)を主たる対象としています。企業は、IoT機器が個人情報を取り扱う場合、GDPRとデータ法の両方の要求を満たす必要があります。
3.2. IoT製造者・提供者に課される新たな義務と影響
EUデータ法の施行は、特にIoT製品の製造者や関連サービス提供者に対し、抜本的な事業モデルの見直しを迫るものです。
3.2.1. ユーザーのデータアクセス権の強化:設計段階からの対応
データ法は、製造者に対し、ユーザーが製品から生成されるデータに「容易に、安全に、無料で、継続的に」直接アクセスできるように、製品を設計する「Access-by-Design」の義務を課しています。この規定は、2026年9月12日以降に上市される製品に適用されます。また、販売前には、生成されるデータの性質やアクセス方法、利用目的などをユーザーに明確に伝えることも求められます。
3.2.2. 第三者へのデータ共有義務とそれに伴う制約
ユーザーは、データ保有者に対し、生成されたデータを第三者(例:メンテナンスや分析サービスを提供する企業)と共有するよう求める権利を持ちます。データ保有者は、不当な遅延なく、無料で、この要求に応じる必要があります。
一方で、公平性を保つための制約も設けられています。データを共有された第三者は、そのデータを生成元であるIoT製品と「直接競合する製品」の開発に利用することは禁止されます。また、データ保有者の営業秘密が含まれる場合には、その保護のための措置が認められています。
3.2.3. サービスのスイッチング容易化がもたらす競争環境の変化
データ法は、クラウドサービスを含むデータ処理サービスのプロバイダー間の相互運用性を推進し、ユーザーが特定のサービスに縛られることなく、柔軟に他社へ移行できるようにします。この「スイッチング」制度は、独自のサービスで顧客を囲い込んできた製造者やサービス提供者にとって、これまでにない競争環境をもたらします。今後は、ハードウェアの性能だけでなく、サービス自体の品質や付加価値で勝負することが求められるでしょう。
この一連の動きは、EUが「法」という手段を用いて、IoT分野における公正な競争とイノベーションを促進しようとする、極めて戦略的な市場再設計の試みであると評価できます。従来のデータ経済では、データを収集・保有する企業が圧倒的な情報優位性を持ち、データの経済的価値を独占していました。データ法は、この状況を是正するために、ユーザーにデータのアクセス権を与え、第三者との共有を義務付けることで、データという「資源」を市場全体に解放し、特定の企業による独占を打破しようとしているのです。
3.3. EUデータ法の施行がグローバル企業にもたらす戦略的含意
3.3.1. EU市場での事業継続に必要なコンプライアンス対応
EUデータ法は、EU域外に拠点を置く日本企業であっても、EU市場にIoT製品や関連サービスを提供している場合は適用を受けます。そのため、EUでの事業継続を目指す企業は、この法律への対応が不可欠です。厳格な設計要件(Access-by-Design)や、ユーザーからのデータ共有要求に応じるための体制構築など、従来のビジネスモデルを根本から見直す必要があります。GDPRと同様に、違反した場合は最大で全世界年間売上高の4%という高額な制裁金が科されるリスクがあるため、これは単なる法務上の問題ではなく、経営の最重要課題として認識されるべきです。
まとめ:データ駆動型社会の実現に向けた提言
IoTは、経済と社会に多大な恩恵をもたらす一方で、その発展は相互運用性、セキュリティ、そしてデータのガバナンスという本質的な課題に直面しています。EUデータ法は、こうした課題に対し、法的な力で秩序を確立し、データを「特定企業が囲い込む資源」から「社会全体の共有財」へと再定義しようとする画期的な試みです。この法制度はEU域内だけでなく、グローバルなデータガバナンスのスタンダードを形成する可能性を秘めています。
この新たな時代の潮流に対応し、企業が持続的な成長を遂げるためには、以下の多層的な戦略的転換が求められます。
1.コンプライアンス体制の構築
EU市場向けにIoT製品を開発する際には、設計段階からデータ法とGDPRの要件を組み込む「コンプライアンス・バイ・デザイン」を徹底することが不可欠です。
2.データ戦略の再考
データを独占する従来のビジネスモデルから、データ共有を前提とし、そこから生まれるエコシステム全体で新たな価値を創出するオープンなデータ戦略への転換を図るべきです。
3.セキュリティの経営課題化
IoTデバイスのライフサイクル全体を考慮したセキュリティ管理体制を構築し、脆弱性対策や人材育成に継続的に投資を行う必要があります。これは、単なるコストではなく、事業の存続に関わるリスク管理と捉えるべきです。
4.オープンイノベーションの促進
他社とのデータ共有を前提とした製品開発・サービス提供モデルを積極的に模索することで、異業種間の提携や新たなビジネス機会を創出し、データ駆動型社会の実現に貢献できるでしょう。
これらの取り組みを通じて、企業は新たな法規制を制約と捉えるのではなく、信頼を構築し、長期的な競争優位性を確立する好機として捉えるべきです。
映像制作会社の提言 : IoTの啓発と安全な普及に向けたコンテンツ案
IoTの概念は急速に社会に浸透しつつありますが、セキュリティやプライバシーといった課題に対する一般市民や企業の理解はまだ十分とは言えません。映像制作会社が持つストーリーテリングの力と視覚的な表現は、この理解を深め、より安全なIoT社会の構築に大きく貢献できると考えられます。以下に、啓発・教育を目的とした映像コンテンツの制作案をいくつかご提案いたします。
1. 一般消費者向け:身近な脅威と対策を伝える短編シリーズ
ターゲット:IoTデバイスを所有する一般家庭、ITリテラシーが高くない人々
目的:身近なIoTデバイスに潜む危険性を具体的に示し、簡単な対策を促すこと。
コンテンツ案:
「ハッキングされたスマートホーム」: スマートスピーカーや監視カメラ、スマートキーといった家庭内のIoT機器が乗っ取られる様子をドラマ仕立てで描きます。子どもへの音声による罵声や、遠隔からの不審な操作など、現実的な恐怖を演出することで、視聴者の危機意識を喚起します。最後に、初期パスワードの変更やソフトウェアの定期的なアップデートといった、誰でもできる具体的な対策を明示します。
2. 中小企業向け:ビジネスリスクとしてのIoTセキュリティ
ターゲット:IoT導入を検討している中小企業の経営者、システム担当者
目的:IoTセキュリティが単なる技術的問題ではなく、事業存続に関わる経営リスクであることを訴えること。
コンテンツ案:
「たった一つのセンサーから始まる連鎖」: 工場内に導入された安価なIoTセンサーが、サイバー攻撃の「踏み台」として悪用され、生産ラインの停止や機密情報の流出につながる様を、サスペンスフルなドキュメンタリー形式で描きます。このコンテンツを通じて、デバイス単体のセキュリティだけでなく、ネットワーク環境全体を考慮したセキュリティ管理体制の重要性を強調します。
「IoTセキュリティ対策、カードゲームを始めよう」: インシデント発生時の対応を学ぶためのカードゲームや、ワークショップ形式の研修コンテンツを映像化します。参加者が役割を演じ、コミュニケーションを通じて課題を解決していく様子を追うことで、企業内の連携強化の重要性も伝えます。
3. 技術者向け:実践的なサイバーセキュリティ講座
ターゲット:IoT関連製品の開発者、ITエンジニア、運用担当者
目的:より専門的かつ実践的なセキュリティ知識を提供すること。
コンテンツ案:
「ハッカーの視点から学ぶIoTセキュリティ」: ポートスキャンなど、具体的なサイバー攻撃の手法をホワイトハットハッカーの視点から解説するシリーズ動画です。攻撃の仕組みを可視化することで、システムの脆弱性を発見し、対策を講じるための知識を提供します。
「IoTセキュリティガイドライン」:IPA(情報処理推進機構)のガイドラインなどを基に、IoTデバイスのライフサイクル全体(企画、開発、運用、廃棄)にわたるセキュリティ対策のポイントを解説するアニメーション映像を制作します。
これらのコンテンツは、日本語だけでなく、英語字幕版 も制作することで、海外拠点を含めた啓発活動にも活用できるでしょう。IoTの安全な普及には、技術の進化だけでなく、それを利用する人々の意識改革が不可欠です。映像制作の力で、この重要な役割の一端を担うことができると確信しています。
【弊社プロデューサー制作実績】
【IT・情報システム関連記事】
【この記事について】
本記事は、名古屋の映像制作会社・株式会社SynAppsが執筆しました。私たちは「名古屋映像制作研究室」を主宰し、各業界の知見を収集・分析しながら、企業が抱える課題を映像制作の力で支援することを目指しています。BtoB領域における映像には、産業ごとの深い理解が不可欠であり、その知識と経験をもとに制作に取り組んでいます。
【執筆者プロフィール】
株式会社SynApps 代表取締役/プロデューサー。名古屋を中心に、地域企業や団体のBtoB分野の映像制作を専門とする。プロデューサー/シナリオライターとして35年、ディレクター/エディターとして20年の実績を持つ。
引用文献
IoTセンサー市場規模とシェア、統計レポート2025-2034 - Global Market Insights, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.gminsights.com/ja/industry-analysis/iot-sensors-market
2025年、世界のIoTデバイスは“約440億台”へ あらゆる機器を“つなぐ”IoT - KEYENCE, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.keyence.co.jp/ss/general/manufacture-tips/iot-device.jsp
IoTを活用したスマートシティ・ソリューション - Taoglas, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.taoglas.com/jp/market-verticals-smart-cities-japan/
【別冊①】 スマートシティを通じて導入される 主なサービス, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/extra-1.pdf
IIoT(インダストリアルIoT)【IoTとの違い、IIoT化のメリット ..., 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.smartmat.io/column/production_management/8099
IIoTとは?IoTとの違いや製造業のIIoT化で期待できる効果・導入事例 ..., 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.techs-s.com/media/show/178
2030年までに爆発的に普及すると予測されているIoTとエッジコンピューティングとは, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.mitsuiwa.co.jp/journal/column/2030-iot/
5G×エッジコンピューティングに秘められた可能性とは!?|OPTAGE for Business, 9月 17, 2025にアクセス、 https://optage.co.jp/business/contents/article/20210113-1.html
IoTを導入する際の課題と解決策 メリットや活用できるサービスも紹介 - NTTドコモビジネス, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.ntt.com/business/lp/iot/column/iot-company.html
相互互換性基準の欠如がどのようにIoTをダメにするのか | Think IT(シンクイット), 9月 17, 2025にアクセス、 https://thinkit.co.jp/article/11318
IoT 接続性 - IoT レンズ - AWS Documentation, 9月 17, 2025にアクセス、 https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/wellarchitected/latest/iot-lens/iot-connectivity.html
工場をIoT化する際に考慮すべき課題にはどのようなものがある? - 株式会社ASTINA, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.astina.co/media/7300/
IoTの3つの特性からみる4つのセキュリティ課題, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.paloaltonetworks.com/blog/2020/08/iot-and-its-four-security-issues/?lang=ja
IoTセキュリティの課題・対策方法とは? 不正アクセスは閉域網でブロック! - NTTドコモビジネス, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.ntt.com/business/lp/iot/column/security.html
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IoTデバイスを狙ったサイバー犯罪とセキュリティ対策について ..., 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.mcafee.com/blogs/ja-jp/internet-security/cybercrime-targeting-iot-devices/
IoTのセキュリティ対策とは?3つのセキュリティリスクとその対応策 | オージス総研, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.ogis-ri.co.jp/column/system_dev/embedded/c106352.html
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ビッグデータやIoTのビジネスにおける契約の検討 - コラム - 弁護士法人 淀屋橋・山上合同, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.yglpc.com/column/201801_1190/
データドリブンエコノミーとは?新たなデジタル革命の到来 - グロースマーケティング, 9月 17, 2025にアクセス、 https://growth-marketing.jp/knowledge/what-is-the-data-driven-economy/
EUデータ法(Data Act)対応支援 - KPMGジャパン, 9月 17, 2025にアクセス、 https://kpmg.com/jp/ja/home/services/advisory/risk-consulting/global-privacy-compliance/eu-data-act.html
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欧州データ法:データへの公平なアクセスと利用に関する規則ーIoT ..., 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/awareness-cyber-security/eu_data_act.html
セキュリティ啓発コンテンツ(インシデント演習・IoT/DXに関するセキュリティ対策) - IPA, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/incident-response-exercise.html
IoT人材育成のための 講習会企画ガイド - 総務省, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.soumu.go.jp/main_content/000757039.pdf
新入社員がIoTデバイスハッキングを学んでみた【第1回 - YouTube, 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=t1atluVhZ7c
映像コンテンツ一覧 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理 ..., 9月 17, 2025にアクセス、 https://www.ipa.go.jp/security/videos/list.html




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