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名古屋の映像制作会社のための情報システム業界の基礎知識

更新日:21 時間前

映像制作会社からみる情報システム産業は、遠いようで近いビジネスだと感じます。


まず、非常に緻密なルールや計算を積み上げながら、デジタルの文法でシステムを構築して、コンピューターに仕事をさせるプロセスは、あいまいな感性と、どこまでも主観的な判断を積み重ねる映像制作とは「月とすっぽん」な仕事です。


しかしながら、ビジネスとしての出発点や成果物の評価においては、共通の側面が多く見られます。どちらのビジネスも、クライアントの漠然とした要望や解決したい課題という「形のない状態」からスタートします。

情報システムにおける「要件定義」フェーズは、クライアントが求めるシステム像を具体化する重要なプロセスであり、これは映像制作における「企画」や「シナリオ」と類似しています。クライアント自身が具体的な答えを持っていない場合も多く、プロフェッショナルとしてヒアリングを通じて真のニーズを引き出し、言語化し、共通認識を形成する能力が不可欠です。不確実性の中から価値を創造していくという点で、両者は共通の課題を抱えています。


さらに、完成した成果物の評価基準も、明確な数値だけで測りきれない共通の難しさがあります。システムが「使いやすいか」「業務が本当に効率化されたか」といった定性的な効果や、映像が「ターゲット層に響いたか」「ブランド価値が向上したか」といった感覚的な評価は、最終的なビジネスの成否を左右する重要な要素です。客観的な指標に加え、主観的な満足度や効果が評価に大きく影響するという点で、両者は非常に似たビジネス特性を持っています。


現在、生成AIによる産業革命が進行しており、情報システム産業は社会のDX推進の中核として改めて注目されています。この産業が今もなお、高度な専門性とスキルを持つ人材を強く求めている背景には、外部から見た際のその「複雑性」や「専門性」が挙げられます。しかし、情報システムを未知の領域や特別な世界として捉え続けることは、現代ビジネスにおける競争力を低下させるリスクを伴います。

これからの時代を生き抜くためには、情報システム産業の全体像と主要な役割を理解し、その可能性を自社のビジネスにどう取り込むかを考えることが不可欠です。まずは、この不可欠なインフラの概略を把握し、デジタル変革の波に乗るための第一歩とすべきでしょう。

ひとまずはこの業界の概略を知っておきましょう。



情報システム産業


  1. 情報システム会社の全体像


情報システム会社は、現代企業のデジタル化を総合的に支援する専門集団です。その事業は多岐にわたり、それぞれが専門性を持った部署と専門職種のスタッフが連携して、お客様の課題解決にあたっています。


1.1 営業・コンサルティング部門の専門職


セールスエンジニア

技術的な知識を持ちながら営業活動を行う専門職で、お客様の技術的な質問に的確に答えながら最適なソリューションを提案します。


ITコンサルタント

お客様の事業課題を深く分析し、ITを活用した解決策を戦略的に立案する専門家です。単にシステムを提案するだけでなく、お客様の業務プロセス全体を見直し、効率化や競争力向上に繋がる包括的な改革案を提示します。


ビジネスアナリスト

お客様の業務要件を詳細に分析し、システム要件に落とし込む作業を担当します。


プリセールスエンジニア

営業段階での技術的な支援を行い、お客様との信頼関係構築と長期的なパートナーシップの基盤を作ります。



1.2 システム設計・開発部門の多様な専門職


システムエンジニア(SE)

システム全体の設計を担当する技術者です。お客様の要求を技術的に実現可能な設計に落とし込み、プログラマーが開発しやすい詳細設計書を作成します。上級のSEはリードエンジニアやチーフアーキテクトとして、システム全体のアーキテクチャを決定する重要な役割を担います。


プログラマー

設計書に基づいて実際にプログラムコードを記述する専門職です。使用する技術によって、Javaプログラマー、Pythonエンジニア、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアなどに専門分化しています。


データベースエンジニア(DBA:Database Administrator)

データベースの設計・構築・運用を専門とする技術者で、大量のデータを効率的に管理するための仕組みを構築します。


UI/UXデザイナー

システムの使いやすさと見た目の美しさを追求する専門職で、ユーザーインターフェースの設計からユーザー体験の最適化まで幅広く担当します。


Webデザイナー

企業のWebサイトやWebアプリケーションのビジュアルデザインを担当します。


モバイルアプリエンジニア

スマートフォンやタブレット向けのアプリケーション開発を専門とします。



1.3 プロジェクト管理の専門職


プロジェクトマネージャー(PM)

複雑なITプロジェクトを計画通りに進行させる責任者で、スケジュール管理、予算管理、リスク管理、品質管理のすべてを統括します。


プロジェクトリーダー(PL)

PMの下で具体的な開発チームを率いる役割を担い、日々の開発作業の進捗管理と品質確保を行います。


スクラムマスター

アジャイル開発手法を採用するプロジェクトにおいて、開発チームの生産性向上と課題解決を支援する専門職です。


PMO(Project Management Office)マネージャー

複数のプロジェクトを横断的に管理し、組織全体のプロジェクト管理能力向上を担当します。



1.4 品質管理・テスト部門の専門職


テストエンジニア

テスト計画の策定から実際のテスト実行まで、システムの品質確保に関わる全ての作業を担当します。


自動化テストエンジニア

テストの自動化ツールを活用して効率的なテスト実行環境を構築します。


パフォーマンステストエンジニア

システムの性能面での検証を専門とし、負荷テストやストレステストを実施します。


セキュリティテストエンジニア

システムのセキュリティ面での検証を担当し、脆弱性の発見と対策を行います。


ユーザビリティテストエンジニア

実際のユーザーの視点でシステムの使いやすさを検証します。



1.5 インフラ・運用部門:システムの基盤を支える専門職集団


インフラエンジニア

サーバー、ネットワーク、ストレージなどのIT基盤全般を担当する技術者です。


サーバーエンジニア

物理サーバーや仮想サーバーの構築・設定・運用を専門とします。


ネットワークエンジニア

企業内ネットワークやインターネット接続の設計・構築・運用を担当します。


クラウドエンジニア

AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなどのクラウドサービスを活用したインフラ構築を専門とします。


クラウドアーキテクト

クラウド環境での最適なシステム設計を行います。


マルチクラウドエンジニア

複数のクラウドサービスを組み合わせたシステム構築を担当します。


DevOpsエンジニア

開発(Development)と運用(Operations)を統合したアプローチでシステム構築を行う専門職です。自動化ツールを駆使して、効率的なシステム開発・運用環境を構築します。


システム運用エンジニア

稼働中のシステムの監視と保守を担当し、24時間365日体制でシステムの安定稼働を支えます。


監視エンジニア

システムの状態を常に監視し、異常の早期発見と対応を行います。


SRE(Site Reliability Engineer)

Googleが提唱した比較的新しい職種で、システムの信頼性向上を専門とします。開発と運用の境界を越えて、システム全体の安定性と拡張性を追求します。



1.6 データ管理とセキュリティの専門職


ストレージエンジニア

大容量データの保存・管理システムを専門とします。


バックアップエンジニア

重要なデータの保護と復旧システムを担当します。


データアーキテクト

企業のデータ戦略全体を設計します。


データ移行エンジニア

システム更新時のデータ移行作業を専門とします。


セキュリティエンジニア

システムのセキュリティ対策全般を担当します。


情報セキュリティアナリスト

セキュリティリスクの分析と対策立案を行います。


ペネトレーションテスター(ペンテスター)

実際の攻撃手法を用いてシステムの脆弱性を発見する専門職です。


SOC(Security Operations Center)アナリスト

セキュリティ監視を専門とし、サイバー攻撃の検知と対応を担当します。


CSIRT(Computer Security Incident Response Team)メンバー

セキュリティインシデントが発生した際の対応を専門とします。



1.7 データセンター・ファシリティ運用の専門職


データセンターエンジニア

物理的なデータセンター施設の運用を担当します。サーバーラックの管理、ケーブリング、物理的なセキュリティ管理などを行います。


ファシリティエンジニア

データセンターの建築設備(電源、空調、消火設備など)の設計・運用を専門とします。


電源エンジニア

無停電電源装置(UPS)や非常用発電機などの電源システムを管理します。


空調エンジニア

サーバールームの温度・湿度管理を専門とします。



1.8 SIer(System Integrator)の統合的役割


SIer(システムインテグレーター)

これらの様々な技術要素を統合して、お客様に最適なシステムを提供する役割を担います。SIerは単一の職種ではなく、プロジェクト全体を統括する役割を指し、前述の様々な専門職を束ねてプロジェクトを成功に導きます。


プライムSIer

お客様から直接案件を受注し、プロジェクト全体の責任を負います。


サブSIer

プライムSIerから一部の作業を受託し、特定の専門分野での高い技術力を提供します。


ニアショアSIer

地方や海外の開発拠点を活用したサービス提供を行います。



1.9 新技術・研究開発の専門職


リサーチエンジニア

AIやIoT、ブロックチェーンなどの新しい技術を研究し、お客様のビジネスにどのように活用できるかを検討します。


R&Dエンジニア

AIやIoT、ブロックチェーンなどの新しい技術を研究し、お客様のビジネスにどのように活用できるかを検討します。


AIエンジニア

機械学習やディープラーニング技術を活用したシステム開発を専門とします。


データサイエンティスト

大量のデータから有用な知見を抽出する専門職です。


機械学習エンジニア

AIモデルの開発から運用まで幅広く担当します。


IoTエンジニア

Internet of Things技術を活用したシステム構築を専門とします。


ブロックチェーンエンジニア

分散台帳技術を活用したシステム開発を担当します。


AR/VRエンジニア

拡張現実・仮想現実技術を活用したアプリケーション開発を専門とします。


量子コンピューティングエンジニア

次世代のコンピューティング技術の研究開発に携わります。


エッジコンピューティングエンジニア

ネットワークの端末側での処理技術を専門とします。



1.10 顧客サポート・教育の専門職


カスタマーサクセスエンジニア

お客様の継続的な成功を支援し、システムの効果的な活用をサポートします。


テクニカルサポートエンジニア

お客様からの技術的な問い合わせに対応します。


ヘルプデスクエンジニア

日常的な操作サポートを提供します。


テクニカルトレーナー

お客様や社内スタッフへの技術教育を担当します。


ドキュメントエンジニア

技術文書やマニュアルの作成を専門とします。


テクニカルライター

技術的な内容を分かりやすく文書化する専門職です。



1.11 品質・標準化の専門職


品質管理エンジニア

開発プロセス全体の品質向上を担当します。


プロセス改善エンジニア

業務プロセスの効率化と標準化を専門とします。


コンプライアンスエンジニア

法規制や業界標準への適合を確保します。


標準化エンジニア

社内の技術標準やガイドラインの策定を担当します。


アーキテクチャ統制エンジニア

システムアーキテクチャの一貫性を保つ役割を担います。



1.12 ビジネス・戦略系の専門職


ITストラテジスト

IT戦略の立案と実行支援を行います。


デジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルタント

企業のデジタル変革を総合的に支援します。


ビジネスプロセスコンサルタント

業務プロセスの分析と最適化を専門とします。


ERP(Enterprise Resource Planning)コンサルタント

統合基幹業務システムの導入支援を行います。


ROI(Return on Investment)アナリスト

IT投資の費用対効果を分析します。


TCO(Total Cost of Ownership)コンサルタント

システムの総保有コストの最適化を支援します。



1.13 専門分野別のアーキテクト


エンタープライズアーキテクト

企業全体のIT戦略とアーキテクチャを統括します。


ソリューションアーキテクト

特定の業務課題に対する包括的な解決策を設計します。


テクニカルアーキテクト

技術面での最適な設計を行います。


セキュリティアーキテクト

セキュリティを考慮したシステム設計を専門とします。


ネットワークアーキテクト

大規模なネットワーク設計を担当します。



1.14 業界特化型の専門職


金融系システムエンジニア

銀行や証券会社などの金融機関向けシステムを専門とします。


医療系システムエンジニア

病院や医療機関向けのシステム開発を担当します。


製造業系システムエンジニア

工場の生産管理システムやIoTシステムを専門とします。


流通系システムエンジニア

小売業や物流業向けのシステム開発を行います。


公共系システムエンジニア

官公庁や自治体向けのシステム構築を専門とします。


教育系システムエンジニア

学校や教育機関向けのシステム開発を担当します。



1.15 新しい働き方とスペシャリスト


リモートワークコンサルタント

企業のリモートワーク環境整備を支援します。


ワークフローエンジニア

業務プロセスの自動化システムを構築します。


チャットボットエンジニア

AI技術を活用した自動応答システムを開発します。


RPA(Robotic Process Automation)エンジニア

定型業務の自動化を専門とします。


ローコード・ノーコードエンジニア

プログラミング知識が少ない人でも使えるシステム開発プラットフォームを活用したソリューション提供を行います。



1.16 持続可能性・環境対応の専門職


グリーンITエンジニア

環境負荷の少ないITシステムの設計・運用を専門とします。


エネルギー効率エンジニア

データセンターの消費電力最適化を担当します。


カーボンニュートラルコンサルタント

IT活動による環境影響の削減を支援します。


サステナビリティエンジニア

持続可能なIT運用の実現を目指します。



1.17 専門職間の連携と価値創造


これらの多様な専門職は、単独で働くのではなく、密接に連携してお客様の課題解決にあたります。例えば、大規模なシステム更新プロジェクトでは、ITコンサルタントが課題を分析し、システムアーキテクトが全体設計を行い、各専門エンジニアが実装を担当し、プロジェクトマネージャーが全体を統括し、テストエンジニアが品質を確保し、運用エンジニアが安定稼働を支えます。

この連携により、単なる技術的な機能提供を超えて、お客様のビジネス価値向上に直結する総合的なソリューションが実現されます。各専門職の高い技術力と豊富な経験が組み合わさることで、複雑で高度な要求にも対応できる体制が構築されています。



1.18 キャリア開発とスキル向上


情報システム会社では、これらの多様な専門職に対応したキャリアパスを用意しています。技術系では、ジュニアエンジニアからシニアエンジニア、リードエンジニア、テクニカルアーキテクトへと成長できる道筋があります。管理系では、チームリーダーからプロジェクトマネージャー、部門マネージャー、事業部長へのキャリアパスが用意されています。

また、技術の進歩が早いIT業界において、継続的な学習と資格取得が重要視されています。AWS認定、Microsoft Azure認定、Google Cloud認定などのクラウド関連資格、CISSP、CEHなどのセキュリティ関連資格、PMP、ITILなどの管理関連資格など、様々な専門資格の取得が奨励されています。




  1. 企業の成り立ち(SIerの種類)による分類

情報システム会社(特にSIer: System Integrator)は、その成り立ちによって以下の5つに大別されます。


2.1 メーカー系SIer


親会社がハードウェア(パソコン、サーバー、ネットワーク機器など)を製造しているメーカーで、その情報システム部門が独立・分社化してできた企業です。

親会社のハードウェアと組み合わせたトータルソリューションの提供が得意で、安定した経営基盤を持つことが多いです。親会社の製品に強みを持つため、特定の技術に特化しやすい傾向があります。

例: 富士通、NEC、日立製作所などのグループ会社



2.2 ユーザー系SIer


IT以外の業種(金融、通信、商社、流通など)を本業とする大手企業のIT部門が独立・分社化してできた企業です。

親会社で培った特定の業界知識や業務知識が豊富で、その業界特有のシステム開発に強みを発揮します。親会社からの安定した案件があるため、経営が安定しやすい傾向があります。

例: NTTデータ(通信系)、野村総合研究所(金融系)、日鉄ソリューションズ(鉄鋼系)など



2.3 独立系SIer


 特定の親会社を持たず、独立した経営を行っている企業です。

親会社の制約がないため、特定のメーカーの製品や技術に縛られず、顧客の課題に対して最も最適なシステムや技術を選択・提案できる自由度の高さが特徴です。幅広い業界・業種の案件を手掛けることが多いです。

例: 大塚商会、TIS、SCSKなど



2.4 外資系SIer


海外に本社を持つ情報システム会社で、日本法人や支社が日本国内で事業を展開しています。

グローバルなノウハウや最新技術、製品を日本市場に導入し、高い専門性や特定の技術(クラウド、AIなど)に強みを持つことが多いです。成果主義の傾向が強いこともあります。

例: アクセンチュア、IBM、SAPなど



2.5 コンサル系SIer


ITコンサルティングを主軸とし、戦略立案からシステム導入、運用まで一貫して支援する企業です。

お客様の経営課題や事業戦略の深い理解に基づき、ITを活用した抜本的な解決策を提案する上流工程に強みがあります。

例: アビームコンサルティング、フューチャーアーキテクトなど




  1. 事業分野・提供サービスによる分類

情報システム会社は、提供するサービスやソリューションの種類によっても分類できます。


3.1 システム開発会社


業務系システム開発

企業の基幹業務(販売管理、生産管理、会計、人事など)を効率化するためのシステムを開発します。


Webシステム開発

Webブラウザやインターネットを通じて利用されるシステム(ECサイト、SNS、業務システムなど)を開発します。


モバイルアプリ開発

スマートフォンやタブレット向けのアプリケーションを開発します。


組込みシステム開発

家電や自動車、産業機器などに組み込まれるシステムを開発します。


パッケージソフトウェア開発

特定の業務や業界向けに汎用的に利用できるソフトウェア製品を開発・販売します。



3.2 インフラ構築・運用会社


サーバー・ネットワーク構築

システム稼働に必要なサーバー、ネットワーク機器、ストレージなどのITインフラを設計・構築します。


クラウドインテグレーション

AWS、Azure、GCPなどのクラウドサービスを活用したシステム構築や移行、運用を支援します。


システム運用・保守

稼働中のシステムの監視、障害対応、メンテナンスなどを行い、安定稼働を維持します。



3.3 ITコンサルティング会社


企業のIT戦略立案、業務プロセス改善、DX推進などを専門とします。



3.4 セキュリティサービス会社


情報セキュリティ対策のコンサルティング、セキュリティシステムの導入、脆弱性診断、SOC(セキュリティオペレーションセンター)による監視などを行います。



3.5 データ関連サービス会社


データ分析、データ基盤構築、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入支援などを提供します。



3.6 その他専門分野


AI開発、IoTソリューション、XR(AR/VR/MR)開発、ブロックチェーン開発など、特定の先端技術に特化した企業もあります。


これらの分類は重複することもあり、一つの情報システム会社が複数の種類のサービスを提供していることも少なくありません。




  1. 名古屋・愛知・東海・中部地方の情報システム企業


4.1 製造業、特に自動車産業との強いつながり


中部地方は「ものづくり王国」と呼ばれ、特に自動車産業が非常に盛んです。この地域の情報システム会社は、その産業特性を強く反映しています。


製造業向けシステム開発の多さ

生産管理システム、FA(ファクトリーオートメーション)関連の制御システム、IoTを活用した工場内のシステムなど、製造業向けのシステム開発案件が他地域に比べて圧倒的に多い傾向があります。


自動車関連システム開発の優位性

トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカーやその関連企業との取引が多く、車載システム開発や自動車販売店向けシステムなど、自動車業界特有の高度なシステム開発に強みを持つ企業が多数存在します。これらの分野での開発経験は、エンジニアにとっても重要なキャリアとなります。


ユーザー系SIerの存在感

トヨタシステムズ(トヨタグループ)、デンソーテクノ(デンソーグループ)など、自動車メーカーや部品メーカーのユーザー系SIerが多数存在し、安定した基盤と専門性の高い技術を提供しています。



4.2 堅実な経営と特定の技術・領域への特化


堅実な経営体質

中部地方の企業全体に言えることですが、情報システム会社もまた、無借金経営など堅実な財務体質を持つ企業が多い傾向があります。これは、地元企業との長期的な信頼関係に基づいたビジネス展開を重視していることの表れとも言えます。


特定の業界・業務への特化

製造業向け以外にも、流通業のシステム構築に特化した企業(例:テスク)、国際物流システムに強みを持つ企業、自治体や医療機関向けのシステム開発に強みを持つ企業など、特定の業界や業務に深く入り込んで専門的なソリューションを提供している企業が多く見られます。


制御系システムへの強み

FAやロボット制御といった「制御系システム」の開発を得意とするエンジニアや企業が多く、これも製造業の集積地ならではの特徴です。



4.3 IT人材の採用における課題と動向


ITエンジニアの有効求人倍率の高さ

愛知県は製造業従事者が多く、理系人材がものづくり分野に流れる傾向があるため、ITエンジニアの採用は非常に難しい状況にあります。IT・通信分野の有効求人倍率やITエンジニアの職種別有効求人倍率は全国平均よりも高く、人材獲得競争が激しいです。


勤続年数が長く、転職率が低い傾向

愛知県は全国的に見ても勤続年数が長く、転職率が低い傾向があります。これは、企業側にとっては安定した人材確保が難しい反面、採用できた人材は長期的に活躍してくれる可能性が高いことを意味します。


未経験者採用の相対的な多さ

東京都と比較すると、愛知県は未経験者のITエンジニア採用の割合が相対的に高い傾向が見られます。これは人材不足を補うための企業努力の一環とも考えられます。


特定の地域への通勤志向

名古屋市内での開発案件に人気が集まりやすく、名古屋市近郊(製造業の拠点が多い場所)での案件はエンジニアが集まりにくいという地域特性も存在します。



4.4 セキュリティ意識の向上と課題


東海4県における情報セキュリティ実態調査では、約1割の企業がサイバー攻撃の被害にあった経験がある一方で、約3割の企業が攻撃を受けたかどうか「わからない」と回答しており、セキュリティ状況の把握が十分でない企業も一定数存在します。これは、情報システム会社にとってセキュリティソリューション提供の機会が多いことを示唆しています。




  1. まとめ


名古屋、東海地方、中部地方の情報システム会社は、製造業、特に自動車産業との強固な結びつきが最大の傾向と言えます。これにより、製造業向け、制御系、車載系といった分野で高い技術力とノウハウを蓄積しています。経営は堅実な企業が多く、特定の業界や業務に特化して専門性を高める傾向が見られます。

一方で、IT人材の採用は競争が激しく、特に経験豊富なエンジニアの確保が課題となっています。このため、未経験者の育成や長期的なキャリア形成支援に力を入れる企業も増えています。地域の産業構造を反映し、そのDXを推進する上で不可欠な役割を担っていると言えるでしょう。



情報システム産業は多様な専門職による総合的価値創造ビジネス


情報システム会社は、これらの多様で高度な専門職が連携することで、単なる技術提供を超えた総合的な価値を創造しています。各専門職が持つ深い知識と豊富な経験が融合することで、お客様の複雑な課題に対して最適な解決策を提供することができます。

PRビデオでは、これらの専門職が一丸となってお客様の成功を支援する姿を描くことで、情報システム会社の真の価値と、そこで働く人々の専門性と情熱を効果的に伝えることができるでしょう。技術者一人ひとりの専門性が、最終的にお客様の事業成功と社会全体のデジタル化推進に貢献している様子を示すことが、最も説得力のあるメッセージとなるはずです。

現代社会のデジタルインフラを支えているのは、これらの多様な専門職の連携と努力です。映像制作会社は、その価値と重要性を分かりやすく伝えることで、情報システム会社の社会的意義と存在価値を効果的にアピールできるはずです。



【弊社制作事例】

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