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映像制作を発注する企業担当者のための言葉の解説です。
シーケンス
映像編集において複数のショット(映像素材)を時系列に並べて構成した一連のまとまりのことです。映像編集における作業の自由度と管理のしやすさを両立させる重要な概念です。
シーケンスは、映像編集ソフトにおける「組み立ての場」あるいは「作業台」のような概念です。
編集ソフトでは、撮影された素材(クリップ)を並べて一本の映像作品を作り上げていきますが、その作業を行う空間がシーケンスです。例えば、30分の番組を作る際、オープニング、本編パート1、本編パート2、エンディングといった具合に、内容ごとに別々のシーケンスを作って編集を進めることができます。
シーケンスの特徴的な点は、そこで組み立てた映像を、さらに大きなシーケンスの中の一つの素材として使えることです。つまり、パーツとして作ったものを組み合わせて、より大きな作品を構築できるのです。この入れ子構造により、複雑な編集作業を整理して進めることができます。
また、同じ素材を使って異なる尺や構成の作品を作る場合も、別々のシーケンスで作業することで、元の編集を保持したまま新しいバージョンを作ることができます。このように、シーケンスは映像編集における作業の自由度と管理のしやすさを両立させる重要な概念となっています。
基本的なこと
編集作業の基本単位
複数の映像・音声素材を時系列で配置
独立して再生・編集が可能
他のシーケンスと組み合わせ可能
使われ方の例
1つのシーンをシーケンスとして作成
オープニングをひとつのシーケンスに
CMをひとつのシーケンスとして制作
特殊効果のパートを別シーケンスで作成
シーケンスを使うのは、大きな作品を管理しやすい単位に分けられることと、複数の編集者が同時に異なるパートを作業できるからです。また、同じ素材を使って異なるバージョンを作ることも容易になります。

執筆者・神野富三
名古屋の映像制作会社 株式会社SynApps 代表取締役プロデューサー
シナリオ・演出・編集まで一貫して手がける映像プロデューサー・ディレクターとして、JR東海・トヨタ自動車など200社以上の映像制作に携わる。
映像制作会社としての視点
ノンリニア編集において、シーケンスをどう扱うかは「編集のスピード」と「ミスの少なさ」に直結します。
1. 「機能別」にシーケンスを分ける
1本の長い動画を1つのシーケンスで完成させようとするのは、初心者によくある罠です。プロジェクトが重くなり、ミスも増えます。
パーツ別(シーン別): 「オープニング」「本編A」「インタビュー」「エンディング」のように、シーンごとにシーケンスを分けて編集します。
工程別: 「カット編集用(色やテロップなし)」「完成版(仕上げ)」のように、段階ごとにシーケンスを複製して進めます。
メリット: 万が一データが壊れても被害が最小限で済み、動作も軽くなります。
2. 「ネスト(入れ子)」を修正のハブにする
「ネスト」をうまく使うと、修正に強い構造が作れます。
コツ: 何度も登場する「番組ロゴのアニメーション」や「共通のコーナータイトル」などは、必ず単独のシーケンス(ネスト)にしておきます。
理由: クライアントから「ロゴの色を少し変えて」と言われた際、1つのネストシーケンスを修正するだけで、本編内の10箇所のロゴが一瞬ですべて差し替わります。
3. 「バージョン管理」は複製で対応する(非破壊の鉄則)
「今の状態も悪くないけど、別パターンも試したい」という時、同じシーケンスをいじり直してはいけません。
コツ: シーケンスを右クリックして「複製」し、「本編_v01」「本編_v02」と名前をつけてから新しい作業に入ります。
メリット: 迷走したときに、確実に「一歩前の納得していた状態」に1秒で戻れます。
マスター・シーケンスの作成
最後に、バラバラに作った「シーン別シーケンス」を、1つの「マスター(完成用)シーケンス」に並べます。
イメージ:[シーン1の箱] + [シーン2の箱] + [シーン3の箱] = [最終的な1本の動画]
このように、「大きな1本」を直接いじるのではなく、「小さな部品を組み上げて、最後に1本にまとめる」*のがプロらしいシーケンスの扱い方です。
