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名古屋の採用動画制作者が知っておきたい人事・採用事情(4)労務・法務用語から

更新日:5 日前

労働基準法


労働基準法は、労働時間、賃金、休日、休暇、解雇など、働く人々の労働条件に関する最低基準を定めた日本の法律であり、日本の労働環境の根幹をなしています。現在の日本では、この法律が全ての企業に適用され、企業はこれに違反する労働条件を定めることは許されません。近年では、働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制が設けられるなど、労働時間に関する規制が強化されました。また、有給休暇の確実な取得義務化など、労働者の権利保護の視点から改正が重ねられています。労働者の意識の高まりやインターネットを通じた情報共有の活発化により、労働基準法の遵守は企業のコンプライアンスの重要項目として、かつてないほど厳しく問われるようになっています。労働基準監督署による指導や是正勧告だけでなく、SNSなどでの情報拡散が企業のレピュテーションに大きな影響を与えるため、企業は常に最新の法改正動向に注視し、適切な労務管理を行うことが求められています。


法務のイメージ


労働契約法


労働契約法は、労働者と使用者(企業)の間で締結される労働契約に関する基本的なルールを定めた法律です。労働契約の成立、変更、終了に関する原則や、労働契約の解除(解雇など)の有効性などが定められており、労働者保護の観点から重要な役割を果たしています。現在の日本では、この法律に基づいて、労働契約における双方の権利と義務が明確にされ、特に解雇権濫用の制限や、労働契約の期間に関するルール(無期転換ルールなど)が重要なポイントとなっています。近年では、働き方の多様化に伴い、有期労働契約や派遣労働など、様々な雇用形態における労働契約の適正化が課題となっており、契約内容の明示義務の強化や、契約更新の合理性に関する議論が活発に行われています。企業は、トラブルを未然に防ぐためにも、労働契約法に則った契約書作成や、労働者との丁寧なコミュニケーションが不可欠とされています。



同一労働同一賃金


同一労働同一賃金は、同じ価値の労働に対しては、雇用形態(正規雇用、非正規雇用など)に関わらず、同じ賃金を支払うべきであるという考え方であり、現在の日本では、働き方改革の一環として法制化が進められ、2020年4月(中小企業は2021年4月)から施行されています。この原則は、不合理な待遇差を禁止し、非正規雇用労働者の待遇改善を図ることを目的としています。具体的には、基本給だけでなく、賞与、手当、福利厚生、教育訓練など、あらゆる待遇項目において、正規雇用労働者との間に不合理な差を設けることが禁じられています。企業は、正規・非正規雇用労働者の職務内容、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮し、待遇差が合理的な理由に基づくものであるかを客観的に説明する義務があります。これにより、企業は就業規則や賃金規程の見直しを迫られており、非正規雇用労働者のモチベーション向上や人材確保に繋がることが期待される一方で、人件費の増加や制度設計の複雑化といった課題も生じています。



限定正社員


限定正社員は、従来の正社員と比較して、勤務地、職務、労働時間などが限定された雇用形態であり、現在の日本において、多様な働き方へのニーズに応える形で導入が進んでいます。従来の無限定な転勤や職務変更を前提とした正社員では、家庭の事情や自身の専門性を深めたいといった理由から、キャリア形成が困難であると感じる労働者が少なくありませんでした。限定正社員制度は、このような労働者のニーズに応えつつ、企業側も特定の職務や地域で安定的に働いてくれる人材を確保できるというメリットがあります。同一労働同一賃金の原則が適用されるため、限定された範囲内での正規雇用労働者との不合理な待遇差は認められません。企業は、この制度を導入することで、育児や介護と両立したい社員、特定の専門性を追求したい社員など、多様な人材の確保と定着を図り、労働者のワークライフバランスの実現を支援しています。一方で、限定の範囲や待遇の透明性、そして将来的なキャリアパスの提示が重要となります。



無期転換ルール


無期転換ルールは、有期労働契約が繰り返し更新され、通算5年を超えた場合、労働者からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される制度です。これは、2013年4月1日に施行された改正労働契約法によって導入されました。現在の日本では、不安定な有期雇用労働者の雇用の安定を図ることを目的としており、多くの企業で有期雇用契約社員やパートタイマー、アルバイトなどに適用されています。企業は、このルールの導入により、契約更新の上限回数を設定したり、無期転換を前提とした人事制度を整備したりするなどの対応が求められています。安易な「雇い止め」は労働契約法上の解雇権濫用として争われるリスクがあるため、企業は無期転換の申し込みがあった場合の対応や、適切な雇用管理が必須となっています。一方で、無期転換後の職務内容や待遇、処遇について、企業がどのように設計していくかが、労働者のモチベーション維持や組織全体の生産性向上において重要な課題となっています。



パワーハラスメント


パワーハラスメント(パワハラ)は、職場において優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されることを指します。現在の日本では、職場でのハラスメント問題に対する社会的な関心が高まり、2020年6月に施行された「パワハラ防止法」(労働施策総合推進法の改正)により、企業にパワハラ防止措置を講じることが義務付けられました(中小企業は2022年4月から義務化)。企業は、パワハラ防止に関する方針の明確化と周知・啓発、相談窓口の設置、相談があった場合の迅速かつ適切な対応、再発防止措置の実施などが求められています。パワハラは、被害者の心身の健康を害するだけでなく、組織の生産性低下、離職率の増加、企業イメージの悪化など、企業経営に深刻な影響を及ぼすため、企業は研修の実施やハラスメント規定の整備を通じて、防止策の徹底と健全な職場環境の構築に努めています。



セクシャルハラスメント


セクシャルハラスメント(セクハラ)は、職場における性的な言動によって、労働者の就業環境が害されたり、労働条件において不利益を被ったりすることを指します。現在の日本では、男女雇用機会均等法に基づき、企業にはセクハラ防止のための措置を講じることが義務付けられており、近年は「パワハラ防止法」の施行により、その義務がより明確化されました。被害者の多くが女性ですが、男性が被害者となるケースや、同性間のハラスメントもセクハラの対象となります。企業は、セクハラに対する方針の明確化と周知、相談窓口の設置、相談があった場合の迅速かつ適切な対応、再発防止措置などが求められます。セクハラは、被害者の精神的な苦痛を伴い、職場における信頼関係を損なうだけでなく、企業の法的責任や社会的信用の失墜にも繋がります。企業は、定期的な研修やハラスメント規定の整備を通じて、性別に関わらず誰もが安心して働ける職場環境の確保に努めています。



マタニティハラスメント


マタニティハラスメント(マタハラ)は、妊娠・出産・育児を理由として、女性労働者が不利益な取り扱いを受けたり、就業環境を害されたりすることを指します。現在の日本では、少子化対策と女性活躍推進が喫緊の課題となる中で、マタハラ防止は非常に重要な取り組みとして認識されています。男女雇用機会均等法や育児介護休業法によって、企業にはマタハラ防止措置を講じることが義務付けられています。具体的な事例としては、妊娠を理由とした降格や解雇、育児休業の取得を妨害する言動、時短勤務を希望することに対する嫌がらせなどが挙げられます。企業は、妊娠・出産・育児に関する制度の周知徹底、相談窓口の設置、ハラスメント防止のための管理職研修の実施、復職支援の強化などを通じて、女性労働者が安心して妊娠・出産・育児と仕事を両立できる環境を整備することが求められています。これにより、女性のキャリア継続を支援し、多様な人材が活躍できる組織づくりを目指しています。



働き方改革関連法


働き方改革関連法は、2019年4月から順次施行された一連の法律改正の総称であり、現在の日本の労働環境に大きな影響を与えています。この法律群は、長時間労働の是正、多様な働き方の実現、公正な待遇の確保という三本柱で構成されています。具体的には、時間外労働の上限規制の導入(大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月)、年次有給休暇の年5日取得義務化、フレックスタイム制の拡充、高度プロフェッショナル制度の創設、そして「同一労働同一賃金」の法制化などが挙げられます。これらの法改正により、企業は労働時間管理の厳格化、就業規則の見直し、人事評価・賃金制度の再構築、生産性向上に向けた業務プロセスの改善など、多岐にわたる対応を迫られました。長時間労働が常態化していた企業文化に変化を促し、社員の健康増進やワークライフバランスの実現、ひいては企業の持続的な成長に資することを目的としています。



パワハラ防止法


パワハラ防止法(正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」の一部改正)は、2020年6月1日に施行された法律であり、現在の日本では、企業に職場におけるパワーハラスメントの防止措置を講じることを義務付けています(大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月から義務化)。これにより、パワハラは企業の「責任」として明確に位置づけられ、企業は「使用者」として防止に努めるだけでなく、具体的な対策を講じなければならなくなりました。義務付けられている措置としては、パワハラの定義と内容の明確化および周知・啓発、相談窓口の設置、相談があった場合の事実確認と適切な対応、再発防止措置などが含まれます。この法律の施行により、職場におけるハラスメントに対する意識が向上し、健全なコミュニケーションと相互理解に基づく、より働きやすい職場環境の実現が強く求められるようになっています。



育児・介護休業法


育児・介護休業法は、育児や家族の介護を行う労働者が、仕事と家庭生活を両立できるよう支援するための法律です。現在の日本では、少子高齢化が進み、共働き世帯が増加する中で、育児や介護を理由とした離職を防ぎ、多様な人材が働き続けられる社会を実現するために、その重要性が高まっています。特に、男性の育児休業取得促進が近年強化されており、2022年10月には「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されるなど、男性の育休取得をより柔軟かつ取得しやすい環境整備が進められています。企業は、育児休業や介護休業の取得を拒否してはならず、また、取得を理由とした不利益な取り扱いも禁じられています。企業は、社員への制度の周知徹底、育児・介護休業取得者への復職支援、柔軟な働き方の導入などを通じて、社員が安心して仕事と家庭生活を両立できる職場環境の構築に努めています。



高年齢者雇用安定法


高年齢者雇用安定法は、少子高齢化による労働力人口の減少に対応するため、高齢者の就業機会を確保し、その能力を最大限に活用することを目的とした法律です。現在の日本では、高齢化の進展が顕著であり、企業にとって高齢者層の人材活用は喫緊の課題となっています。2021年4月には法改正が施行され、企業に対して、65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの就業機会確保が努力義務化されました。具体的には、定年を70歳まで引き上げること、継続雇用制度を導入すること(70歳までの再雇用制度など)、あるいは、定年を廃止することなどが選択肢として挙げられています。企業は、これらの措置を通じて、意欲ある高齢者が長期間にわたって働き続けられる環境を整備し、彼らが持つ豊富な知識や経験を組織に還元できるよう努めています。一方で、高齢者の健康管理、スキルアップ支援、若手社員との連携、そして適切な人事評価・賃金制度の設計が課題となっています。



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